【Macworld 2007 Vol.5】
アップル重役が語る新製品──「iPhoneにとって日本は重要な市場だが、克服すべき課題も多い」
2007年01月10日 00時00分更新
Macworld Expo/San Francisco 2007で発表された2つの新製品、ネットワークメディアプレーヤー『Apple TV』と携帯電話機『iPhone』について、グループインタビューが行なわれた。
日本のプレスの質問に答えたのは、ワールドワイドプロダクトマーケティング ハードウェア担当バイスプレジデントのデビッド・ムーディー(David Moody)氏と、アップル社ワールドワイドプロダクトマーケティングiPod担当バイスプレジデントのグレッグ・ジョズウィアック(Greg Joswiak、通称、ジョズ)氏。ムーディー氏がApple TV、ジョズ氏がiPhoneについての回答を引き受けた。
──iPhoneは2008年からアジア市場でも発売するという話ですが、この“アジア”に日本は含まれますか?
【ジョズ氏】 iPhoneについては、まずは米国、年末にかけて欧州、そしてアジアについては2008年に展開する計画です。具体的にどの国で発売するといった詳細は、現時点で決まっていません。われわれのフォーカスは、この製品をまず米国市場で成功させるところにあります。
──iPhoneが使用するネットワークは、どちらも日本には関係のないクワッドバンドGSMとEDGEなんですよね?
【ジョズ氏】それも現時点で詳細を話せない理由の1つ。市場を広げていくにつれて、いろいろ細かな問題も出てくるでしょう。例えば日本市場にはGSMのネットワークが存在しません。そのため、もし日本で展開するとしたら、われわれは別のテクノロジーを検討する必要があります。
日本はiPodのマーケットシェアも50%近くありますし、われわれにとって重要な市場の1つです。だからこそ、現段階で製品の技術的詳細を明かすことについては慎重になっています。
──もしこの製品を日本市場で展開したとしたら、成功する公算はありますか?
【ジョズ氏】日本はわれわれにとって非常にいい市場です。iPodは50%の市場シェアで大変成功しています。ソニーのマーケットシェアは20%程度で、パナソニックは9〜10%です。
われわれはこの市場で好成績を収めていて、iPhoneのような製品を投入しても十分うまくやっていけると考えています。日本の顧客は、製品全体としての完成度の高さや、細部に及ぶ品質といった価値を非常に重視してくれるからです。
日本は携帯電話業界にとっても非常に大きく、世界をリードするマーケットでもあります。こうしたことからも、われわれがiPhoneを日本に展開し、成功する上で重要な要素はいくつも見つかりますが、実際に製品を展開するためには、まだいくつか検討しなければならない課題があります
──iPhoneではOS Xが稼動していると言いますが、Mac OS X用のアプリケーションをユーザーが自由にインストールできるのでしょうか?
【ジョズ氏】できません。iPhoneはクローズドなプラットフォームです。これにはセキュリティー上の理由があって、コンピュータウィルスなどの侵入を防ぐ上でも重要になります。さまざまな情報を表示するウィジェットについても同様です。
──iPhoneはMac OS Xで動作するとされていますが、一体どういう意味ですか? iPhoneのOSは、Mac OS Xのどの程度の部分を再現しているのでしょう。
【ジョズ氏】iPhoneのOSは、すべての機能を再現した完全なMac OS Xです。もちろん、携帯電話のデザインにあわせて最適化されている部分はある。しかし、Mac OS Xとしての機能はすべて備えています。
スティーブ・ジョブズが基調講演で「他の携帯電話と比べて数年先を行っている」と語っていましたが、それはまさにこのことに触れたものです。
──アプリケーション開発の道をデベロッパーに対して公開しますか?
【ジョズ氏】サードパーティーへの展開は、今のところ考えていません。先のセキュリティーの問題がその理由に当たります。iPodのコンテンツ保護と同様の状況だとも言えるでしょう。われわれの側で用意したソフトを公開することはあるでしょうが、サードパーティー側で用意したコンテンツを提供する予定はありません。
──この製品がサードパーティーに大きなチャンスを備えていることも事実ですが。
【ジョズ氏】iPodと同様のDockコネクタも備えているし、これまでのiPod用アクセサリーで使えるものも多いでしょう。しかし、その一方で、携帯電話機であるということから、いくつか技術的に考慮しなければならないことも出てきます。
例えば、電波を発するような部品があれば、それらをシールドしなければいけない、といったようなことです。ただ、そうした技術的な問題を解決すれば、十分に広いサードパーティーチャンスを与えることができると思っています。
──ソフトウェア・アップデートなどの形で、新しいアプリケーションが追加されることはあるのでしょうか?
【ジョズ氏】その予定です。インターフェースなども含めて、自由に変更ができるはずです。