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小島寛明の「規制とテクノロジー」 ― 第7回

個人情報を信託対象資産にしたい:

三菱UFJ信託銀行が「情報銀行」を始めるワケ

2019年01月28日 09時00分更新

文● 小島寛明

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 さまざまな分野の企業が参入の準備を進める情報銀行。その1社が三菱UFJ信託銀行だ。2019年度中に情報銀行としてのサービス開始を目指し、2018年末には1000人規模の実験も実施した。

 サービス開発を進める上での立ち位置を、同社FinTech推進室の齊藤達哉氏は「企業がデータを囲い込むのではなくて、個人がコントロールすべきという世界観に立っている」と説明する。

 同社が前面に打ち出しているのは「情報の預け先」としての信頼性の高さだ。

●個人情報を「信託」対象に

 三菱の名前や、三菱が経営する銀行は身近な存在だが、信託銀行にはなかなか縁がない。齊藤氏に「信託銀行を一言で説明するとしたら」と聞くと、こんな答えが返ってきた。

 「資産をお守りする器です」

 信託協会のWebサイトでは、個人や企業などが信託し、財産を管理・運用することを「信託業務」と呼ぶと説明されている。

 遺言書を預かり、遺言通りに遺産を分割する役割を担うこともある。

 そんな信託銀行が新たな信託対象にしようとしているのが個人のデータ管理というわけだ。

●1000人規模で実験した

 三菱UFJ信託銀行は2018年11月から12月、個人データを信託するプラットフォーム「DPRIME」の実験をした。

 参加したのはアシックス、NTTデータ、東京海上日動火災保険、三菱UFJ銀行など10社の社員ら約1000人だ。参加者には位置情報や、歩き方などのデータが収集できるスニーカーも配った。

 スマホを通じて、三菱UFJ信託銀行のシステムには参加者の行動履歴などが蓄積される。スニーカーに取り付けたセンサーで、歩き方が「望ましい」かどうかについても評価する。

 参加者に対しては、「あなたのためのフィットネスプランを作ります」といった様々なオファーが届く。プランを作ってもらう代わりに、7日分の歩行データと行動履歴を企業側に提供する。

 三菱UFJ信託銀行は、こうした個人のデータをどのように管理するのだろうか。

●勝手な第三者への情報提供はない

 齊藤氏は「個人にとっての貸し金庫のようなもの。勝手に第三者には提供せず、すべて利用者の同意のもとで流通させる特徴がある」と説明する。

 同じ信託銀行の内部でも、別の部署が個人データを利用したければ、他社と同じ立場で、利用者にオファーを出すことになる。

 同社を通じてデータの提供を受ける企業も、銀行が取引先を調査するように、事前に審査をすることで、信頼性を高める考えだ。

 1000人を対象にした実験を通じて、どんなデータの提供には抵抗感が強いかなども見えてきた。

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