ASCII倶楽部では格安SIMの通信速度を毎日計測しています。いまでは数多く格安SIMが存在していますが、最も異なるのは通信速度です。というのも、格安SIMは月額料金はどこも同じ。たとえば、音声通話付きSIMで、毎月のデータ通信容量が3GBのプランであれば、どの格安SIMでも1600円前後というのが相場です。
通信速度はスマホを使ううえで無視できない要素。通信速度が遅いとネットを閲覧したり、アプリをインストールしたり、といった行為を快適に楽しめなくなります。頻繁に「格安SIMに乗り換えたら通信速度遅すぎて驚いた」という人がいますが、キャリアに比べて格安SIMの通信速度は遅いのも事実。許容できる遅さもある一方で、ネットを閲覧するだけで日が暮れるのではないか、と思うほど遅い格安SIMもありました。
ASCII倶楽部で測定している格安SIM
・IIJmio
・BIGLOBEモバイル
・OCNモバイルONE
・LINEモバイル
・mineo(ドコモ)
・mineo(au)
・DMMモバイル
・nuroモバイル
・UQ mobile
・Y! mobile
・b-mobile
・楽天モバイル
この記事では実際に計測しないとわからなかったことを中心に紹介していきます。紹介するのは「データ容量の追加」「通信速度は1ヵ月ごとに変動する」「迷ってるなら格安SIMに乗り換えたほうがいい」の3つです。
実際に計測してわかったこと その1:
データ容量の追加は「割高」 1ヵ月で1万円以上請求されることも
ASCII倶楽部での格安SIMの通信速度の計測方法は、Google検索で「スピードテスト」と調べると表示される「インターネット速度テスト」を利用しています。各時間帯で格安SIMそれぞれ5回ずつ計測し、「下り(ダウンロード)」「上り(アップロード)」の5回分の速度から平均値と中央値を算出する形式を採用しています。
説明文にも記載されているように「この速度テストで通常転送するデータは40MB未満」です。一度の消費量は定かではありませんが、40MBぴったり消費していると想定しましょう。先述したように、12時、15時、18時の3つの時間帯で格安SIMごとに5回ずつ計測しています。つまり、ひとつの時間帯ごとに40MB×5回で200MB消費しています。さらにこれを3つの時間帯で計測しているため、1日あたり200MB×3回で600MBも使っていることになります。
1ヵ月で平日は20日間あるとしても、600MB×20日で1万2000MBを消費しているわけです。GBに直すと1ヵ月あたり12GBも使っている計算です。
実は、ASCII倶楽部で格安SIMを計測することになった当初、契約したデータ通信容量のプランは3~6GB程度のものばかりでした。何も考えず「とりあえず5GBくらいあれば1ヵ月耐えられるでしょ」という根拠のない自信から生まれた計算でした。そのおかげで、わずか数日でデータ通信容量はものの見事に残量ゼロ(=通信速度制限)。これでは格安SIMの通信速度計測は数日で企画倒れ。しかし、そんなときでもかすかな希望はあったのです。
「データ通信容量が足りなければ、追加すればいいのでは?」
キャリアを契約している人でも経験がある方がいるかもしれませんが、データ通信容量がゼロになったとき、データ通信容量を追加で購入することが可能です。キャリアだと1GBあたり1000円で追加できます。データ通信容量がゼロになると、200kbps程度しか速度がでないのでネットは激遅。しかし、データ通信容量を購入さえすれば、速度は元通り。私は基本的にあまりスマホのデータ通信容量を消費しないのであまり経験はないですけど、1000円なら気軽に払ってしまいます。ところが、格安SIMでは1000円で済まされないことも……。
格安SIMでは、キャリアと同様に「データ容量の追加購入」をすることは可能です。ですが、格安SIMごとに追加購入の料金が異なります。条件も異なるので一概には言い切れませんが、高い格安SIMだと、100MBあたり300円という価格で提供されています。「300円なら安い」と思うかもしれませんが、1GB換算で3000円です。キャリアの3倍です。
100MBあたり300円でデータ容量を追加できるのは「BIGLOBEモバイル」。これだけだと、BIGLOBEモバイルのネガキャンになりかねないので補足しますが、「一定以上のデータ通信容量の追加購入をするくらいなら、契約しているプランを変更したほうがいい」というのが格安SIMにおける基本事項。この点、BIGLOBEモバイルは非常に親切で、データを追加購入するページにもしっかりこの文言が記載されています。
格安SIMによって、データ通信容量の追加購入の料金は異なります。基本的には1000円前後……なのですが、1500円だったり2000円だったりする格安SIMも多いです。なので、最初に格安SIMを契約するときは「自分が使うであろうデータ通信容量を見積もってから契約する」というのをオススメします。まぁ、先述したように途中でプランを変更できるのですけどね。ちなみに、ASCII倶楽部で契約したとあるSIM(すみません忘れました)は、データを追加しまくった影響で1ヵ月間で1万円以上も請求されました。
無論、いまでは契約プランを変更したおかげで、データ通信容量を追加購入することはなくなりました。よかったよかった。
実際に計測してわかったこと その2:
通信速度が速くなったり、遅くなったりするSIMがある
格安SIMを使ううえで、最も気にする人が多いと思われる「通信速度」。このためにASCII倶楽部では通信速度を平日毎日計測しているのです。すでにご存知のとおり、キャリアに比べて格安SIMは基本的に通信速度は遅いです。とくに、12時や18時といったスマホを使う人が急増する時間帯においては、多くの格安SIMは「お世辞にも速いとは言えない」ような速度です。
通信速度が遅くなるのは、「格安」なだけあって格安SIMの欠点のひとつでもあります。ただ、毎日計測していて気がついたことのひとつに「通信速度は日々刻々と変化するという」こと。さらに時間帯によって変動するだけでなく、計測場所を少し移動するだけでも速度は大きくかわります。
ひとまず、飯田橋駅付近で計測していた4月の格安SIM通信速度平日1ヵ月間の平均値をご覧ください。
12時(下り/上り) | 15時(下り/上り) | 18時(下り/上り) | |
---|---|---|---|
IIJmio | 0.47Mbps/6.58Mbps | 13.8Mbps/8.16Mbps | 0.81Mbps/6.45Mbps |
BIGLOBEモバイル | 0.34Mbps/9.43Mbps | 9.25Mbps/11.5Mbps | 0.83Mbps/8.82Mbps |
OCNモバイルONE | 0.36Mbps/13.4Mbps | 27.8Mbps/12.6Mbps | 0.93Mbps/11.9Mbps |
LINEモバイル | 0.30Mbps/14.2Mbps | 8.03Mbps/13.0Mbps | 0.53Mbps/13.3Mbps |
mineo(ドコモ) | 0.34Mbps/9.19Mbps | 23.6Mbps/12.0Mbps | 0.77Mbps/8.62Mbps |
mineo(au) | 0.30Mbps/5.40Mbps | 8.96Mbps/5.97Mbps | 0.75Mbps/5.87Mbps |
DMMモバイル | 0.46Mbps/6.19Mbps | 13.6Mbps/7.96Mbps | 0.73Mbps/5.40Mbps |
nuroモバイル | 0.40Mbps/10.3Mbps | 27.4Mbps/12.5Mbps | 1.41Mbps/9.57Mbps |
UQ mobile | 7.30Mbps/7.26Mbps | 10.2Mbps/6.77Mbps | 10.4Mbps/6.12Mbps |
Y!mobile | 12.9Mbps/8.63Mbps | 12.8Mbps/10.8Mbps | 15.0Mbps/11.9Mbps |
b-mobile | 1.36Mbps/11.7Mbps | 3.58Mbps/12.5Mbps | 1.57Mbps/11.9Mbps |
楽天モバイル | 0.55Mbps/14.1Mbps | 7.24Mbps/13.6Mbps | 1.20Mbps/13.9Mbps |
5月からは格安SIMの通信速度を計測する場所を飯田橋から神楽坂に変更しました。冒頭にも記載したように、場所を変えれば格安SIMの通信速度も変化するのではないかという仮説を立てたためです。
私が立てた仮説の具体的な内容は以下です。
・飯田橋に比べるとオフィス街ではないから「MVNO」も12時台や18時台でもある程度速くなる
・UQ mobileとY!mobileは大きく変わらない
・15時台はどの「MVNO」「サブキャリア」ともに飯田橋計測時よりも速い
それでは、神楽坂駅付近での格安SIM12回線の通信速度1週間ぶんの平均値をご覧ください。
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