Windows Info 第551回
RTX Spark搭載のWindows機はPCの大きな変化の始まりか? Windowsハードウェア、AI PCはどうなる?
2026年11月01日 10時00分更新
NVIDIA RTX Sparkを採用したPCがMicrosoftなどから登場
クアルコム以外のSoCという意味でもWindows 10/11では初
Microsoftは、この10月に新しいSurfaceを発表した。詳細に関しては、さまざまなニュースサイトで取り上げられたので、ここでは繰り返さない。Microsoftのサイトや以下の記事などを参照いただきたい。
●Microsoft Surface
https://www.microsoft.com/ja-jp/surface
●RTX Spark搭載ノートPC「Surface Laptop Ultra」、ローカルAIで堪能するならメモリーは最低48GBは必要か?
https://ascii.jp/elem/000/004/441/4441841/
今回発表されたSurfaceは、すべてARM64アーキテクチャのものだが、従来と異なるのはNVIDIA製のSoCが一部採用されていることだ。これまでWindowsが動作するARMアーキテクチャのマシンは、クアルコムのSnapdragonシリーズに限定されてきた。
技術的にはSoCアーキテクチャを1つに絞り込むことで、ドライバ開発などが容易になり、Windowsの移植が短時間で可能になる、OEMメーカーのサポートも容易になるといったメリットがある。ただ、Snapdragonシリーズだけが対象だったのには、このほかになんらかのビジネス的な関係がMicrosoftとクアルコムの間にあったからと考えられる。このため、今までSnapdragonだけがWindows 10/11移植のターゲットだったのだろう。
採用されたSoCは、Blackwell GPU、Cortex-X925/A725(最大10コア)、最大128GBのメモリを搭載可能なRTX Sparkである。なお、RTX Sparkを採用したPCは、Microsoft以外からも発売される。また、他のプロセッサメーカーが同性能のSoCを投入する可能性もある。
「普通のPC」「Copilot+ PC」と合わせて
Windows PCは大きく分けて3種類に
Microsoftは「Copilot+ PC」を昨年発表した。高性能なNPUは、ローカル推論を可能にして、オフラインでのAI利用が可能になった。これは、Microsoft側にもメリットがある。現在のAIはクラウド側の機能として実現されている。昨今のAIブームでは、大量の推論をクラウド側で大量の推論処理をする必要があるが、その設備コストが過剰になってきた。
ユーザーが大量の推論を可能にするには、有料サービスに加入する必要もあるが、AI利用のメリットが理解されてきた今、有料化しても、AI利用を抑えることができずにいる。これは、Microsoftだけの問題ではなく、多くのAIに共通の問題である。
Copilot+ PCは、ある程度の推論をローカルで可能にしたが、扱えるのは、小規模もしくは中規模言語モデルまでである。これに対して、SparkクラスPCは大規模言語モデルを扱うことができるスペックを持つ。
これでWindows 11のPCハードウェアは、以下の表のようになる。AIハードウェアを持たないPC(非AI PC)、Copilot+ PC、SparkクラスPCの3種類になる。Copilot+ PCの評判がそれほど良くなかったことを考えると、SparkクラスPCがすぐに受け入れられることはないだろう。しかし、開発者やクリエーター向けのマシンとしては他にない性能があるため、一定の需要はあるはずだ。
AIを提供する他社でもAIクラウドコストが上昇しているのは同じ。いつかは、設備投資などが大きくなり、採算が取れなくなる。かといってAIを提供しないわけにもいかない。となると、PCやスマートフォン、タブレットなどを持つ企業は、ローカル推論に移行してくるだろう。あるいはすでに準備に入っているかもしれない。
このときに、必要なSoCをどこから調達するのか? ゼロからの半導体開発は時間がかかり、手っ取り早い方法は、SoCメーカーからの購入である。
そう考えると、SurfaceにNVIDIAが入り、Snapdragonの独占が終わったのはクアルコムがMicrosoft以外への販売が可能になるからではないか?(実際にGooglebookにも採用されている) スマートフォンやタブレット、Windows以外のPCの合計台数は、Windows PCを大きく上回る。これらの大半がARMアーキテクチャを採用しており、ハードウェア開発の技術的なハードルも高くない。
半導体製品である以上、将来的にはSoCコストも下がるはずだ。このとき、販売数が多ければ多いほど、コスト低下も大きくなる。これにより、Microsoft自身も半導体コスト削減というメリットが出る。
スマートフォンでは、メモリの増強や高性能なNPUの搭載など、汎用のAI推論ハードウェアが標準的になっていくかもしれない。AI用のハードウェアを搭載した「AI PC」と合わせ、PC/スマートフォン/タブレットは、ここで、大きな転換点を迎えるのかもしれない。
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