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社名変更から2年目を迎えたNTTドコモビジネスの事業戦略

鍛えたインフラも、伴走人材も用意できる NTTドコビジが「企業のAI実装力」のために支援できること

2026年10月02日 13時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 「企業のAI実装力を次の成長へ」を掲げ、NTTドコモビジネスは2026年9月28日に事業戦略発表会を実施。AIに最適化された「AI-Centric ICTプラットフォーム」と重点4領域、パートナリングという3つの成長戦略と進捗について説明し、2030年度の法人向け売上2.6兆円の目標に向けた道筋を披露した。

NTTドコモビジネス 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 小島克重氏

企業のAI実装力を高めるためのAIインフラに注力

 社名変更から2年目に突入したNTTドコモビジネスの事業戦略発表会に登壇したのは代表取締役社長 社長執行役員 CEOの小島克重氏。テーマの中心に据えたのは、もちろんAIである。企業のAI実装力を高め、次の成長をつなげるための同社の戦略とその進捗について説明した。

 NTTコミュニケーション時代、同社が提供してきたのはネットワークを中心とするインフラ領域であり、成長のドライバーもICT、データ活用、DXへと変遷してきた。そしてNTTドコモの法人事業を統合し、社名をNTTドコモビジネスに変更した現在、同社がドライバーとして位置づけているのが、AIを前提としたビジネスの抜本的な改革を意味する「AX」だ。

 小島氏はこの1年を「AIに対する期待と不安が大きく高まった1年」と総括する。AIエージェントやフィジカルAIへの期待が高まる一方、進化を続けるフロンティアAIにセキュリティリスクを感じる経営者も多い。また、地政学的・国家安全保障の観点から、データやAIを自国のインフラに保持する「ソブリンAI」という概念も認知されつつある。こうした中、企業はAXを推進し、競争力を高めていく必要がある。

 このAXを支えるべく、ネットワークのみならず、GPUコンピューティング、セキュリティ、マネージドサービスなどを組み込んだ「AI-Centric ICTプラットフォーム」をより高度化させていくのがサービス面での進化の中心となる。その上で、「AI」「IoT」「デジタルBPO」「地域・中小DX」という4つの重点領域の事業をそれぞれ強化しつつ、パートナーリングの強化を図るというのが、成長のための基本戦略だ。

 NTTドコモグループは2026年3月期に法人向け売上高が2兆円を突破したが、前述した重点4領域では2025年度に3000億円強、各領域で対前年比200億円規模の成長になったという。今回発表された2026年度の戦略も、前述したプラットフォーム、重点4領域、パートナリングという3つの成長戦略は基本変わらず、それぞれに強化を図る。これにより、法人向け売上高を2030年度には2.6兆円にまで拡大し、重点領域も7000億円規模にまで伸ばしていく計画だ。

NTTドコモビジネスの2030年までの成長戦略

コンピューティング、ネットワーク、セキュリティまでフルスタックで提供

 AIアプリケーションを「家そのもの」とするなら、AIインフラは家を機能させるために必要な設備全般を指すという。すなわち、基礎や電気設備、水道、道路、建物管理、防犯・防災設備などだ。その点、AI-Centric ICTプラットフォームはAIインフラとして必要なコンピューティング、ネットワーク、セキュリティをフルスタックで提供する点が最大の特徴と言える。事業戦略説明会では、NTTドコモビジネス 代表取締役副社長 金井 俊夫氏からAI-Centric ICTプラットフォームにおける取り組みが紹介された。

NTTドコモビジネス 代表取締役副社長 金井 俊夫氏

 たとえば、基礎や電気設備にあたるコンピューティングを支えるデータセンターに関しては、電力の増大を見越した液冷対応を推進しており、2029年度3Qに液冷方式を標準とした都心型のAIデータセンターを竣工させる。また、旺盛なAI需要に迅速に応えるべく、2027年秋には東京電力パワーグリッドとの連携によるコンテナ型データセンターを展開していくという。電力とネットワークをまとめて提供できるのみならず、最新GPUを収容できる液冷対応設計になっているのも注目点だ。

 さらにGPUを必要なときに必要な分だけ利用できるGPU as a Serviceも推進しており、自社データをセキュアに迅速に活用したいAIのソブリンニーズに応える。約170ヶ所の自社・他社データセンターがIOWNベースの大容量・低遅延ネットワーク「docomo business APN Plus powered by IOWN」で相互接続されており、全国分散したAIコンピューター基盤として、ユーザーのAI活用を支援するという。

 水道や道路などに例えられるネットワークに関しては、拠点向けの「docomo business RINK」、IoT・フィジカルAI向けの「docomo business SIGN」、データセンター間を接続するdocomo business APN Plus powered by IOWNが用意されている。大きな特徴は機能や帯域をAPIやポータルから設定できるNaaS(Network as a Service)機能と使った分だけ支払う従量課金、そして脅威検出や遮断などを組み込んだネットワークセキュリティ機能になる。

 マネージドサービスに関しては、ICT環境の運用に加え、セキュリティの分析・監視・対処まで、AIによる自動化・高速化が重要になるという。具体的な取り組みとしては、「FinOps」と呼ばれるAIインフラコストの可視化やコンサルティング、AIによるマシンスピードでの攻撃に対応した脅威分析・対処を実現するAI SOCなどの提供が挙げられた。

AI-Centric ICTプラットフォームの概要

SIで担っていた役務がサービスへ AIインフラでITコストは下げられる

 事業戦略説明会で中心に据えられたAI-Centric ICTプラットフォームに関しては、AI時代に向けて着実に進化している様が伺えた。ポイントになるのは、変化への対応力。めまぐるしく変わる市場動向とユーザーニーズに対応すべく、コンテナデータセンターでは東京電力パワーグリッドと、AIエージェント分野ではEXAWIZARDSといった具合に、自社開発にこだわらずパートナーとサービス展開できるのが、今のNTTドコモビジネスだ。

 一方で、AIの導入効果を求める企業はLLMに対して投資してしまい、AI-Centric ICTプラットフォームのようなAIインフラに対して投資するのか?という素朴な疑問がある。これに対して、小島氏は「多くの企業がAIのトークンコストを選別しようとしている段階にある」として、適正なコストがAIインフラに投資されるという見込みを語る。

 金井氏も、「AIによって従来SIで担っていた役務がサービス化されるため、トータルでITコストが下がるとご案内できている」と説明。変化に柔軟に対応できるインフラを、安価に迅速に利用できるというメリットをいかに訴求できるかが、今後の課題と言えるだろう。

 また、重点4領域においては、「デジタルBPO」領域でのFDE(Forward Deployed Engineer)を冠したAX実装人材の取り組みに、これまでと違うユニークさを感じた。現在、グループ全体には1.4万人のAI活用人材がおり、このうち約5000人が「FDEライト」として全国で地域密着型のAI活用支援を行なっているとのこと。また、AXの構想、設計、実装、運用まで業界特化FDEも2027年度までに1000名規模に拡大する予定だという。

3つの成長領域を強化し、AI実装力を高める

 インフラも鍛え、伴走人材も用意する。インフラと人材で観点は違うが、「企業のAI実装力を高める」という目標は共通している。前述したパートナーシップを含めて、目標のためにさまざまな打ち手を提供できる点が、今のNTTドコモビジネスの強みと言えるだろう。

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