東大先端研・西尾氏やデル、日本マイクロソフトらが「最終防衛ライン」のあり方を語る
「PC調達はもはや経営層が考えるべき課題」 “侵入前提”時代に問われるエンドポイントの真価
2026年10月02日 11時00分更新
PC調達はもはやIT部門の仕事ではなく「経営判断」
加えて現代においては、外部からの脅威だけではなく、内側で稼働するAIに対するガバナンスにも目を向けなければならない。例えば、AIエージェントに高度なタスクを実行させるには、相応の権限を付与する必要があるが、過剰な権限を与えてしまうと、踏み台として悪用されかねない。
インテルの大野誠氏は、AIの推論処理がクラウドからエンドポイント(エッジ)へと移行しつつあり、トークン課金の課題も緩和されると言及。一方で、AIにどのような学習をさせ、どのように管理をし、どこまで権限を与えるかは、企業がポリシーとして明確に定める必要があると強調した。
一方の日本マイクロソフトの仲西氏は、人を管理するのとは異なる「AIを管理するための新しいガバナンス体系」が求められると訴え、「まず、自社・他社製を問わず導入するAIが安全かどうかをスクリーニングする採用プロセスを設け、データへのアクセス権限を適切に制御する仕組みを、すべての企業が検討するようになっていく」と予測した。
こうしたAI時代における脅威防御やガバナンス強化に向けて、経営者はどのような手を打つべきなのか。
ファシリテーターの西尾氏は、現場がどれほど危機感を持っていたとしても、最終的に経営層が予算を投じる意思決定を下さなければ何も始まらないと訴えた。そして、「そういう意味で2025年は、日本の経営者が様々なインシデントを直視した象徴的な年であり、2026年現在もその流れが続いている。社会の一員として最低限果たすべき善管注意義務の中にサイバーセキュリティが位置付けられ、経営哲学や企業倫理の不可欠な要素として組み込まれるようになるべき」だと続けた。
インテルの大野氏は、予算に加えて無視できない要素として「人材育成」を挙げ、「AI時代を生き残るには、トレーニングが不可欠。ここは目を背けずに投資すべき重要なポイントである」と強調した。
そして、大野氏とデル・テクノロジーズのクワァー氏が揃って提言したのが「PC調達のあり方」だ。クワァー氏は、「AIが端末上で動く時代において、それは『生産性向上のためのツール』から『ビジネスが実行される基盤』へと変貌する」と語った。
しかし、前述のデル・テクノロジーズの調査では、約7割が「OS以下のレイヤーの保護が重要である」と認識する一方で、PC購入時に低レイヤーの信頼性を検証している企業は2割未満にとどまり、「大きなギャップがある」(クワァー氏)のが現状だ。クワァー氏は、「AIを実行する場所である端末が、信頼に足るものかどうかが問われている。だからこそ、PCの調達・購買というのはIT部門ではなく、経営層が考えるべき課題である」と改めて強調した。
最後に西尾氏は、「ハードウェアのセキュリティ投資、とりわけOSより下の領域は後付けできないのがポイント。PCの選定とは本来、減価償却が終わるまでそのセキュリティ水準で戦い続けることを意味する重い決断である。本体の軽さやデザインだけではなく、セキュリティも重要な選定基準として組み込んでいただきたい」と締めくくった。
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