古式ゆかしき銀行の夜間バッチがGitHub CopilotとAzureで生まれ変わる
ラスボスCOBOLを倒すために、7チームはなにを選択し、なにを捨てたのか?
2026年09月11日 07時00分更新
AIがあれば言語を知らなくともモダナイゼーションできる
今回はCOBOLという言語にこだわった企画だが、言語を知らなくても、AIがあればモダナイゼーションできる。言語の壁を越えられる、そう感じさせてくれたのは、NECソリューションイノベータと日立製作所のプレゼンだ。
「2年生と保護者」を謳うNECソリューションイノベータのチームは、COBOLの業務知識を持つメンバーがおらず、システムの整合性を人手で担保するのが困難だった。そのため、開発自体をGitHub Copilotに任せられるISSUE駆動開発の仕組み構築とサービス移行の進捗を可視化できる仕組み作りに専念したという。
具体的にはISSUEベースでタスクを分割し、ISSUEの作成から実装までをAIで実行。GitHub Copilotをパラレルに稼働させることで、生産効率を向上した。あわせてGitHub Copilotのカスタムインストラクションで実装やレビューのルールを作成し、プロンプトに依存しない品質、人手に極力依存しない作業フローを実現した。
このチームはAzureや.NETテクノロジーの活用にも長けており、Azure Container Apps/Jobによる自動スケールとマネージド実行、Blazor Serverを用いたSSO・ロール管理、監査機能、Azure Database for PostgreSQL flexible serverでのHA構成、Azure Service Busによるトランザクション送信の標準化、Azure Functionsで構築した監査なども実装にこぎつけた。保守性や拡張性も優れているという。
また、「再現性のあるモダナイゼーション」を目指した日立製作所のチームは、COBOLからJavaへの移行でAI-DLC(AI-Driven Development Life Cycle)というAI駆動型フレームワークを採用。解析・要件復元・設計・実装を進め、レガシーCOBOLの暗黙知をAIエージェント主導で形式知化することにチャレンジした。具体的にはCOBOLの暗黙的な構造と制御を、Java/Spring Batchの明示的な設計に翻訳。業務ロジックを変えず設計の型だけを刷新するという取り組みだ。
AI-DLCではAIの解析結果を人間が承認するプロセスを採用し、AIエージェントは全体を管理するメインエージェント、COBOL解析やテスト作成など複数のサブエージェントを用意。また、テスト駆動による移行品質の担保を目指し、移行元となるCOBOLのテストデータを「正」とし、移行後のJava/Azure環境でも出力が一致することを確認するテストを自動化した。さらに同作業を並列実行することで、出力の揺れを軽減したという。現新比較にこだわったのが、このチームだ。
柳原氏は、日立チームのアプローチは自身がCOBOLアプリケーションを構築するアプローチに似ていると指摘した。「今回、最初にやったのは、GitHubにCOBOLアプリケーションを作るための知恵を作りました。何が必要か、COBOLのプラクティスをGitHub Copilotに徹底的に教え込み、アプリケーションを作るためのナレッジベースを構築しました。COBOLを知らない、経験がないみなさんにとって、この暗黙知を形式知にするというアプローチは最適だと思います」と評価した。
「AIで楽しいレガシーマイグレーション」が根付いてほしい
今回のGitHub Copilot Lv3も実に見応えのあるプレゼン大会だった。限りある時間とメンバーのスキルを最大限に活用するための、各チームの取捨選択とこだわりがプレゼンににじみ出ていた。最後、柳原氏も「感動しました。みなさんがこれからの日本を背負ってくれると思いました」と感慨深そうにコメントしていたが、本当にその通りだ。
今回、大谷はまとめとして「若いエンジニアに過去の言語を改めて学ばせるのかというのは、レガシーマイグレーションの課題。でも、この課題に対して、AIという選択肢があるじゃんという気づきを、体得してくれた。これが、このイベントの意義だと思う」とコメントさせてもらった。難易度MAXだったCOBOLという過去の遺産を前に、悩み苦しんだ体験は各メンバーの大きな糧になるはずだ。
目標やアプローチは各チームで異なっていたが、「楽しかった!」という各メンバーの感想は今回も共通だった。毎回GitHub Copilot Quest後の懇親会は、最後のメンバーを送り出すのが大変なくらい盛り上がるのだが(笑)、今回も若手エンジニアを中心にハッカソンを大いに楽しんでもらったと思う。「2025年の崖」を過ぎ、まだまだレガシーシステムが問題として残り続けている今の日本。「AIで楽しいレガシーマイグレーション」が業界に根付くといいなと本気で考えている。
ここまで紙面を費やしても、イベントの素晴らしさや熱気をすべて伝えられている自信がない。そのため、イベント全編を収録したYouTube番組の方を視聴いただきたい。長編ではあるが、必ず「よい持ち帰り」があるはずだ。というか、観て!!
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