古式ゆかしき銀行の夜間バッチがGitHub CopilotとAzureで生まれ変わる
ラスボスCOBOLを倒すために、7チームはなにを選択し、なにを捨てたのか?
2026年09月11日 07時00分更新
日本マイクロソフト社長、COBOLコンソーシアム会長が参加者にエール
そんなラスボスとの戦いに向かう戦士たちに、GitHubのTシャツをまとって熱いエールを送ってくれたのが、日本マイクロソフト代表取締役社長の津坂美樹氏だ。
津坂氏は、「COBOLの歴史はビジネス用コンピューターの歴史そのものと言われており、長年の間、社会インフラや産業の発展を支えてきました」と指摘。一方で、「技術者の高齢化に加え、設計書が残っていないケースも多く、システムの更新が困難になっている。生成AIのような新しい技術への対応も難しい」と課題を挙げた。経済産業省も「レガシーマイグレーションの課題は、単なる一情報システム部の課題ではなく、社会全体の課題である」と指摘しているという。
この課題に生成AIという新しいツールでメスを入れるのが、GitHub Copilotだ。「仕様を読み解き、コードやテストを生成し、移行プランを作成して、クラウド上で動かす。そうした取り組みをGitHub CopilotとAzureがサポートします。今日のハッカソンは、その実践の場として大いにご活用下さい」と津坂氏はアピール。その上で、「今日はぜひ試し、悩み、議論し、工夫し、なによりも楽しんでください!」と参加者に熱いエールを送った。
そして、COBOLをテーマとしたイベントということで、特別コメンテーターも参加してくれた。COBOL資産のモダナイズや基幹システムのOSS活用を得意とする東京システムハウス システムインテグレーション事業部 取締役事業部長の比毛寛之氏だ。
比毛氏は入社以来、四半世紀近くレガシーマイグレーションに関わっており、現在はCOBOLコンソーシアムの会長を務める。挨拶に立った比毛氏は、「みなさんの会社にも参加いただいています」とコメント。また、今回のCOBOLアプリケーションのDB接続部分であるOC-SQLを開発しているのも東京システムハウスだ。
「COBOLは誤解も多い」とのことで、比毛氏らもIPAの依頼で寄稿したり、YouTubeチャンネルでCOBOLを説明したり、COBOLの誤解を改めて、真実として情報提供することにも注力している。「今回のアプリは3万行程度だが、世界では今もなお2200億ものCOBOLコードが稼働しており、社会基盤を支えています。COBOLが手を離せば、社会が大混乱します」と指摘。2025年の崖を経て、維持が限界に達した現在、こうしたハッカソンに意味があると語り、参加者との有意義なディスカッションを期待した。
ランチ中のメンバーを直撃したら、各社とも頭を抱えていた
さて、9時からスタートしたハッカソンは、趣旨説明を経て、さっそくスタート。各チームは会場となる日本マイクロソフトの品川オフィスの会議室で、モダナイゼーション&Azureデプロイをスタートさせる。われわれ主催者も部屋に入らず、各社の作業を外から見守ることになる。
過去のGitHub Copilot Questは、作業中の時間は廊下で数人のエンジニアが出歩いていたり、歓談していたりしていたのだが、今回はほぼ人気が見られず。各部屋で集中してハッカソンに臨んでいたのではないかと思われる。ただ昼時だけは、プレゼンを行なう大会議室に集合し、各社入り交じってランチをとることになったため、私と比毛氏で各メンバーに進捗を聞くことにした。
今となっては謙遜だったと思うのだが、ランチ時の段階で「順調です!」という答えを返してきた参加者はほとんどいなかった。「けっこう絶望です」「やばいですね」「ここまで作ってきたとは……」「頭抱えてます」など率直な意見も出てきた。今回は単にモダナイズするのみならず、Azureにデプロイし、さらにマイグレーション先の言語や環境の自由度も高い。さまざまな選択肢の中でどのようにハッカソンを進めるのか、試行錯誤している各チームの様子が見え隠れしていた。
各社の7時間の取り組みは、あとのプレゼンでも披露されるのだが、多くのチームでおおむね共通していたのは、午前中はコードを読み解き、方針を決定するところに費やしてきた点。各社ともCOBOLの経験者はほとんどいないため、コードの解析はひたすらGitHub Copilot頼り。そんなチームに対して、COBOLマイグレーションのプロである比毛氏が、「(可読性の高い)COBOLのコードって、翻訳すれば読めますよ」とフォローしていたのが印象的だった。
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