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業務を変えるkintoneユーザー事例 第317回

紙とExcelまみれのアナログ業務からの脱却

「新しいことは面倒だ」という保守的な社員の心をほぐし、社内DXを推進させたヒントはYouTubeにあった

2026年07月08日 11時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水 写真提供●サイボウズ

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西部道路株式会社の村野三喜男さん(工事部 営業所所長)と中嶋加奈子さん(総務部)

 道路を平坦にする会社の社内業務は凸凹だった。紙とExcelでアナログな運用が続いていた会社がkintoneのライトプランを導入したことをきっかけに、低コスト内製化を目指したプロジェクトは、必要書類の自動作成を達成し、圧倒的な決済スピードを実現した。

 kintone hive 2026 fukuokaの1番手として登壇したのは、一般土木工事や高速道路といったインフラを支えている「西部道路」の村野三喜男さんと中嶋加奈子さん。プレゼンでは、専務が導入したkintoneで遊び感覚でアプリを作っていたところを見つかり、社内展開のプロジェクトに抜擢された二人が、kintoneを社内に広め、業務効率化を図っていく課程について語られた。

道路を平坦にするプロの会社で、社内業務は紙とExcelの二重苦に悩んでいた

 西部道路は長崎県佐世保市を拠点に舗装工事をメインとする創業78年の建設会社だ。一般土木工事や管工事、アスファルト廃材のリサイクルまでをグループ内で一元化し、高速道路や災害対策の急傾斜工事などを手がけている。本社を中心に4支店、6営業所で事業を展開し、「人と地域をつなぐ未来への道づくり」を掲げてSDGsやCSRにも取り組んでいる。

 登壇したのは、工事部で営業所所長を務める村野さんと、総務部でバックオフィスを担う中嶋さんの二人。村野さんは所長業務と現場業務、DX業務を兼ねる新しいもの好きで、中嶋さんは効率化が好きで、事務の枠を超えて一級土木施工管理技士も取得している。

kintone hive 2026 fukuokaのトップバッターは西部道路株式会社

「社名にも入っている通り、道路を平坦にするプロなんです。しかし、社内業務は凸凹でした。その凸凹をどうにかしてみようと、本日ここに立っています」(村野さん)

 建設業の3Kといえば、きつい、汚い、危険だったが、現在、国が推進する新しい3Kは、休暇が取れる、給料がいい、希望が持てる、だという。その希望の芽が、約3年前に訪れた。若い経営陣の参画で、大手銀行から専務が入社したのだ。ただ、専務は多忙で出張も多く、帰社するたびに机の上には回覧物や承認待ちの書類が山積みになっていた。現場も同様で、すべてが紙管理で手書きの申請書が多く、便利な世の中なのにアナログな運用が続いていたと、中嶋さんは嘆いた。

 建設業では、入札から落札、契約までを本社が担い、契約後に現場管理が始まる。村野さんの営業所では、案件情報をすべて手入力でExcelにまとめ、本社とメールでやり取りする。工事を受注するたびに転記を重ね、月に2回、それらのExcelが本社に集まっていた。中嶋さんの業務も、受注契約から注文書作成、役所や下請け業者との変更契約、請求書作成まで、書類作成が中心だった。

「同じ情報を何度も入力し、コピー&ペーストを繰り返していました。完成した書類も保管用に大量に印刷して、種類別にファイリングしていく。書類を作成するよりも、書類を探す時間の方が手間取っていたんです。そんなときに、kintoneと出会います」(中嶋さん)

案件情報を手入力するExcelと、増え続ける紙の書類が二重苦を生んでいた

専務に見つかって始まった道しるべプロジェクト、低コスト内製化でアプリを177個に増やした

 kintoneを導入したのは約2年前だ。専務の主導でライトプランを契約し、同年12月には4支店6営業所すべてで従業員説明会を開いた。当初は休暇申請に使うだけで、二人はあくまでユーザーだったという。ところが、伴走担当者から、自分たちでアプリを作れると聞かされる。

「それなら、と業務効率のために遊び感覚でアプリを作っていたら、専務に見つかりました。そこからは早くて、社内展開を打診され、組織横断型の道しるべプロジェクトが立ち上がったんです」(村野さん)

 コンセプトは「低コスト内製化」だ。専務からは、お金を出せば良くなって当たり前で、それをどう活かすかが大事だと言われた。村野さんはその言葉を受け、とりあえずライトプランでいけるところまで、とことん低コストにこだわった。

 そんなとき、サイボウズから開発環境の紹介を受ける。ライトプランではプラグインが使えないが、開発ライセンス環境ではスタンダードプランを1年間無料で使えるのだ。村野さんは約3ヵ月間、2つのドメインを行き来しながら検証を続けた。

「開発環境でアプリを作っていく中で、ライトプランの限界を感じました。プラグインの重要さと素晴らしさを知り、プレゼンの甲斐もあって、スタンダードプランへの契約を勝ち取ったんです」(村野さん)

「低コスト内製化」をコンセプトに道しるべプロジェクトが動き出した

休暇申請アプリを入り口に、まずは全社員にkintoneを触ってもらう仕掛けを作った

 その結果、約半年でアプリの数は177個にまで増えた。ただ、二人の熱量が上がるほど、社内との温度差も広がっていったそう。そもそもkintoneとは何かという状態の従業員も多く、今のままでも困っていない、新しいことは面倒だ、という声が返ってきた。人に伝えることの難しさに、二人は直面することとなった。

 温度差を埋めるため、二人はYouTubeなどで情報を集め、使いやすさの追求に踏み出す。まず用意したのが、説明不要で直感的に使えるスマホ風のポータル画面だ。全員が使う機能からkintoneへの入り口を作り、Excelの感覚を残して違和感なく操作できるよう配慮した。ショートカットのリンクも置いて一覧画面や新規画面へワンクリックで移動できるようにし、移動先でも迷わないよう説明を添え、無料の目次プラグインで縦長のレコードも一発でスクロールできるようにした。

スマホ風のポータル画面。左がスマートフォン、右がパソコンの表示

 次の一手が、休暇申請アプリだった。これまでの休暇願いは手書きで、用紙は事務所にしかなく、記入後は上司に対面で申請し、そこから承認印を集める作業が続いていた。アプリ化で、その承認印集めは廃止。必要な情報は自動で取得され、誰でもワンクリックで申請できる。上司も従業員も気を使う気まずい時間は解消し、休暇を取るハードルが一気に下がった。いつでもどこにいても休みを申請でき、新しい3Kのうちの一つが実現したのだ。

#06 手書きと承認印集めが必要だった休暇願いは、ワンクリックでの申請に変わった

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