このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

ロゴも一新した「Claris FileMaker 2026」の機能強化をまとめて紹介

「Claris FileMaker」のAI機能が今年も進化! 使いやすさと安定性を両立させた新版が登場

2026年06月10日 10時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 Appleの100%子会社であるClaris Internationalは、2026年6月10日、ローコード開発ツールである「Claris FileMaker(クラリスファイルメーカー)」の新版「Claris FileMaker 2026」を提供開始した。

Claris FileMaker 2026

 新版では、主に「実用的なAI機能の実装」「開発者・ユーザー双方の使い勝手」において機能強化を図り、事業継続を実現する2つのバックアップサービスも追加した。

 なお、新版の内部バージョンは“26”となり、前版(Claris FileMaker 2025)の22からジャンプアップ。AppleのiOS同様、リリース年に揃えた恰好だ。

より実用的なAI活用のための機能を拡充、AI駆動開発の第一歩も

 ひとつ目に紹介するのが、AI関連の新機能だ。前版で大幅に強化された生成AIとの連携をさらに拡張し、AIを効果的に活用する基盤として進化を遂げた。

 まずは、「AIモデルと実行環境」の拡張だ。自動化のコマンドであるスクリプトステップにおいて、既存のOpenAI、Anthropic、Cohereに加え、新たにGoogleのGeminiを標準サポート。複雑な設定なしに、既存のスクリプトステップから最適なAIモデルを選択できる手軽さが、FileMakerの強みだろう。

標準サポートするモデルプロバイダと利用できるスクリプトステップ

 また前版では、機微情報を扱うシステム向けに、AIモデルサーバーによりローカルLLMを構築できる仕組みも実装している。新版では、AI処理のリソース最適化に向け、別マシンにAIモデルサーバーをインストールできるようになった。その他にも、AI処理を高速化する推論エンジン「vLLM」もサポートしている(現状はUbuntuのCUDA環境のみ)。

 さらに、AIのデータ理解を深める「フィールドアノテーション」機能も追加した。フィールドの役割をAIにインプットする機能で、機密データの利用を防ぐガードレールとしても機能する。また、画像データに対しても、スクリプトステップによるテキスト化でAIの理解度を高める「イメージキャプション」機能を搭載した。

フィールドアノテーションの追加

 前版で標準サポートされたRAG構築においても、AIの回答精度を高める「チャンキングサイズの調整」機能を拡充した。データの性質により参照させる情報のサイズを最適化することで、自社の業務を熟知したAIアシスタントの実装が可能になる。

RAG運用ではチャンキングサイズの最適化に対応

 AIエージェントにFileMakerでの開発任せる“未来の第一歩”として、XML関連の機能も強化された。カスタムAppをXMLとして出力する際に、スクリプトやテーブル単位での「分割出力」に対応。これにより、AIに読み込ませるトークン量を節約できる。加えて、XMLの適用によってカスタムAppの構造的な変更が可能なコマンドラインツールも整備している。

開発生産性・QOLの向上、Webアクセシビリティも強化

 続いて紹介するのは開発における使い勝手の向上だ。

 まず、macOSにおける「インスペクタ」が改善されている。インスペクタとは、レイアウト作成時のツールパレットにあたる。

 新版では、インスペクタを構成する4つのタブを2つに統合。さらに、選択したオブジェクトで実行できる機能だけが表示されるなど、より直感的なUIに刷新された。なお、従来のインスペクタに戻す機能も用意されている。

インスペクタの改善

 スクリプトのワークスペース(開発環境)では、前版で実装されたスクリプトの「折りたたみ」機能が、開発者が無効化したステップやコメントにも拡大。よりアクティブなロジックに集中できるようになった。カスタム関数についても、前版のフォルダ管理が強化され、各フォルダ階層で名前や作成日、カスタム順位による「並べ替え」が可能になっている。

 フィールドの設定では、「入力の許可と禁止」のカスタマイズ性が向上した。これまで入力の可否のみ設定可能で、より細かい制御はテクニックが求められたり、アクセス権での制御が必要だった。今回、フィールドの入力動作を「編集」「選択のみ」「表示のみ」「計算式で設定」から設定でき、特に「選択のみ」は、「カーソル移動が可能」かつ「内容のコピーはできるが編集は不可」という新しい動作を適用できる。

フィールドへの「入力の許可と禁止」の強化

 ここまでの機能強化はほんの一部に過ぎず、他にも画面の表示倍率をスクリプトから1%単位(25%~400%の間)で調整できるようになるなど、開発生産性を高める様々な改善が施されている。

 一方で、エンドユーザー向けには、国際的なWebアクセシビリティ基準である「WCAG」への対応を進めた。

 米国では、公共システムにおいてWCAGへの準拠が義務化されており、日本でも改正障害者差別解消法の施行以降、同規格への対応が求められるようになっている。

 こうした背景を受け、ブラウザ版のFileMaker WebDirectにおいてアクセシビリティを改善。例えば、表示画面を音声として出力する「スクリーンリーダー」との互換性を強化し、フォーカス(カーソル)管理も調整している。

FileMaker WebDirectにおけるアクセシビリティの改善

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    Claude CodeのPlan modeをやめてみる ~grill-meスキルで一歩ずつ設計を固め、アプリを作る~

  2. 2位

    ネットワーク

    「手のひらネットワーク機器」第4弾が登場、テーマは“ShowNetを手のひらに”! こだわりの両面マウントや高密度ポートも 6月11日発売

  3. 3位

    デジタル

    「そんなことも知らんで、介護やってるんですか?」 救急隊員の一言からkintone×AIの組織変革が始まった

  4. 4位

    TECH

    Obsidianで構築したエンジニアの「第二の脳」― 個人ナレッジベース構築のすべて

  5. 5位

    TECH

    FortiGateの圧倒的シェアをサプライチェーン防御に生かす フォーティネット 2026年度事業戦略

  6. 6位

    デジタル

    ブラックスケルトンモデルも登場!ヤマハ初のWi-Fi 7対応AP「WLX333」「WLX232」投入

  7. 7位

    ITトピック

    AIによるソフト開発加速の裏で「未テストの本番投入」も増加/「AIで日常生活が変わった」まだ45%/企業のコンサルへの不満、ほか

  8. 8位

    TECH

    出自で決まる「SASE」の最適解 主要外資ベンダー5社のコンセプトと強み

  9. 9位

    ビジネス・開発

    「デザインの仕事は半減するかもしれない」 MIXIデザイン本部が挑む「AIネイティブなものづくり」への転換

  10. 10位

    ビジネス・開発

    急増するトークン消費にマルチモデル化 AI活用は“見える化”してから広げる時代に

集計期間:
2026年06月03日~2026年06月09日
  • 角川アスキー総合研究所