COMPUTEX TAIPEI 2026レポート 第111回
MediaTekがCOMPUTEXで6G無線プロトタイプとAIネットワーク最適化技術を初披露、最新トレンドをチェック
2026年06月06日 15時00分更新
MediaTekが、COMPUTEX TAIPEI 2026において次世代通信規格「6G」のプロトタイプや、人工知能(AI)を活用したネットワーク最適化技術、車載向けのSoCなどを公開した。
6G関連ではEricssonおよびSkyworksとの協力のもと、6G無線の相互運用性(Radio Interoperability)プロトタイプを展示。また、6Gネットワークにおける「Device Cloud」という技術コンセプトのデモンストレーションを実施した。
この技術は、スマートフォンなどの端末が自らのアンテナだけでは電波状況が不十分な場合に、周囲にあるCPE(顧客宅内機器)やIoT機器、自動車などが搭載するアンテナをワイヤレスで借り受けて通信能力を補強する仕組み。「Collaborative MIMO(Co-MIMO)」と呼ばれるこのモジュールを利用することで、複数デバイスのアンテナを統合してスループットやカバレッジの向上が可能だ。
商用5Gネットワーク下で行なわれたデモでは、この協調機能を使用しない場合の通信速度130Mbpsに対し、機能をオンにすることで220Mbpsへと約69%の向上が確認された。
家庭や企業向けのネットワーク機器に向けて、AIを組み込んだ最適化ソリューションも複数公開された。
「AI Network Doctor」機能は、通信トラブルの検知から解決までを自動化するシステム。例えば、隣接するネットワーク機器との間で電波干渉が発生し通信品質が低下した場合、AIが干渉をリアルタイムに検知し、自己修復(セルフヒーリング)アクションを実行する。これにより、サポートへの問い合わせや修理を待つことなく、1分未満での問題解決が可能になるとのこと。
また、「AI Energy Saving」機能は、ネットワークの使用状況を常時監視し、トラフィック需要に応じて消費電力を調整。利用者が減少して通信量が低下した際には、自動的に省電力モードに移行する。ブースでの実演では、約8Wの消費電力を約4Wへと、最大50%の省電力化が実証された。
さらに、次世代規格「Wi-Fi 8」に対応する「Filogic 8000」シリーズや、ゲームやビデオ会議などのトラフィックをAIが識別して優先度を管理し、遅延を低減する「Agentic AI Network Engine(MediaTek T930)」も展示されていた。
Wi-Fi 8の主要な新機能である、複数アクセスポイント間の協調技術(Multi-AP Coordination)として、「協調空間再利用(Co-SR)」や「協調ビームフォーミング(Co-BF)を紹介
自動車向けのソリューションとして、スマートコックピット用プラットフォーム「Dimensity AX C-X1」を展示。同製品はNVIDIAのGPUを搭載し、ハードウェアによるレイトレーシングやAIフレーム生成機能(NVIDIA DLSS)をサポートすることで、車内において高品質なゲーミング体験が提供できるとのこと。
通信技術としては、5Gテレマティクスプラットフォーム「MT2739」を公開。このチップは、自動車向けの5G NR-NTN技術を用いた衛星ビデオ通話を世界で初めてサポートする。同時に、オンデバイスのモデムAIを用いて通信のハンドオーバーを改善する機能も実演。地下駐車場への進入時など、基地局の信号が途切れやすい環境下において、AIが信号パターンを学習し、最適な通信に切り替えることで、動画再生時の通信の途切れ(スタッタリング率)を低下させる効果をアピールしていた。
そのほかMediaTek製のプロセッサーを搭載したコンシューマー機も多数紹介。特に、今回のCOMPUTEXでNVIDIAが発表したWindows向けプロセッサー「RTX Spark」は、CPU部分をMediaTekが開発していることもあり、秋に発売予定のRTX Spark搭載ノートPCを複数展示し、来場者の注目を集めていた。
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