レノボ・ジャパンは5月28日、2026年度の事業戦略&FIFAワールドカップ 2026におけるレノボの取り組みについての説明会を実施した。
発表会では同社が掲げるミッション「Smarter AI for All」の実現に向けた包括的なAIインフラ戦略を提示。さらに、2026年に開催されるFIFAワールドカップの「公式テクノロジーパートナー」に就任したことも発表され、AIとテクノロジーを駆使した大規模な大会運営の舞台裏が明かされた。
発表会の冒頭では、レノボが持つ最大の強みとして、スマートフォンやPCといったデバイスから、サーバー、データセンター、クラウドに至るまでを網羅する「ポケットからクラウドまで」の広大な製品ポートフォリオが強調された。
従来のデータセンター中心の「学習」だけでなく、今後はデバイスやオンプレミス環境での「推論」が急拡大すると予測。その両面をサポートするハイブリッドAIの重要性が示された。
AI普及を阻む「3つの大きな課題」への処方箋
戦略的なビジョンが語られた後、発表会では「AIを実験で終わらせず、いかに実運用(社会実装)に繋げていくか」という、より実践的なテーマを深掘りするパネルセッションへと移行。
モデレーターを務めるレノボ・ジャパン代表の檜山氏のもと、インフラ事業を統括するレノボ・エンタープライズ・ソリューションズの代表・張氏と、サービス・ソリューション部門を率いる執行役員常務の山口氏が登壇。AI導入において直面する「壁」を乗り越えるための同社の具体的な戦略が明かされた。
まずAIを実運用(社会実装)へ繋げる上で直面している課題として、「コスト」「電力消費」「リソース不足」の3点が挙げられ、それぞれの解決策が提示された。
まず、GPUやメモリなどの部材不足とコスト高騰に対しては、部材を絞り込み数量をまとめて確保することで短納期かつ低コストで提供する仕組み「Top Choice Express(TCE)」や、初期投資を抑えて使用した分だけ支払う従量課金制モデル「TruScale(トゥルースケール)」を提供し、企業の投資リスクを軽減するという。
また、2030年までに現在の3倍に達すると予測されているデータセンターの爆発的な消費電力への対策として、同社の液体冷却技術「Neptune(ネプチューン)」が紹介された。これは常温の水(最大45度)を用いて冷却し、熱の95%以上を除去する技術で、冷却に関わるコストを約40%削減できるという。
IT部門のリソース不足の解消に向けては、調達から導入、保守までを一括で引き受ける「運用アウトソーシング」の推進を発表。その象徴的な事例として、日立グループのグローバルPC運用(数十万台規模)をレノボが一括受託したことが明かされた。
さらに、レノボが描く次世代のAI体験として、特定のデバイスに縛られず、PCやスマホを跨いでユーザーの好みを理解する「パーソナルAIエージェント」の方針も説明。特定の技術に固執せず、業界標準のプロトコルを活用しながらオープンなエコシステムを構築していくとした。
FIFAワールドカップ2026を支える、史上初の公式テクノロジーパートナーに
発表会後半では、2026年に北米3カ国(カナダ、アメリカ、メキシコ)で開催される「FIFAワールドカップ2026」において、レノボが史上初とうたう「公式テクノロジーパートナー」に就任した詳細が語られた。
2026年大会は参加チームが48チームへ、試合数も104試合へと拡大し、世界で60億人が視聴すると予想される史上最大のイベントとなる。
同社は公式テクノロジーパートナーとして、本大会にてFIFA、運営、観戦者へのサービス、そしてサッカーテクノロジーを提供するという。
具体的には通常700〜800名規模のFIFA組織において、大会期間中には管理デバイスが1万7000台まで急増するが、レノボは「デジタルワークプレイス・ソリューション」を通じて機器の配備・管理・運用をエンドツーエンドでサポート。使用後のデバイスはレノボが買い取り、再生品(リファービッシュ品)として他国のサッカー協会へ提供することでリユースを促進するという。
技術的なトピックとして、数百万のデータポイントと2000以上のKPIを活用した生成AI/LLM「FIFA AI Pro」の共同開発が発表された。このAIは全48の参加国に平等に提供されるため、リソースの少ない国でも強豪国の戦術分析や選手ごとの最適トレーニング案などを得られるようになり、競技力の格差 segments(サッカーの民主化)を目指すという。
さらに、全1200名の選手をアバター(デジタルツイン)化し、高精度カメラと連動して瞬時のオフサイド判定やゴール判定を支援する技術や、審判のカメラ映像をAIで補正してテレビ放送で迫力ある審判目線を提供する「レフリービュー」なども導入される。
ファンや選手への新しい体験として、空港から会場への経路案内や施設内の混雑状況をリアルタイムで知らせる「スマートウェイファインディング」、過去のレジェンド選手と自撮りができるホログラムコンテンツなども用意。さらにデビッド・ベッカム氏がパートナーに就任し、デジタル化の推進をサポートする。
レノボは、これまでF1(フォーミュラ1)のスポンサーシップで培ってきた「ミッションクリティカルなデータをリアルタイムで収集・解析・活用する技術」を、このワールドカップに全面投入する構えだ。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります






















