懐かしの名作も、話題の新作も。ファミコン世代のゲーム放浪記 第53回
移植絶望の怪作ロボSTGが令和に復活! 「ゲッP-X」は“大人が本気で作ったバカ”の最高峰だ
2026年05月15日 19時00分更新
大味だけど気持ちいい、これぞスーパーロボット式シューティング
では、肝心のシューティングゲームとしてはどうなのか。正直に言えば、かなり大味です。ステージは狭めで、キャラクターは大きく、被弾もしやすい。いまの緻密な弾幕シューティングを期待すると、少々荒っぽく感じるかもしれません。
ただし、それでいいのです。なぜなら本作はHP制なので、多少の被弾は問題なし。しかも変形中は無敵です。細かく避けるより、多少ダメージを受けながらも敵をボコボコになぎ倒していくほうが気持ちいい。これはまさに当時のスーパーロボット的な手触り。
そのため、難易度は比較的誰でも楽しみやすいものになっています。シューティングが得意でなくても、ロボットを変形させながらドカドカ攻撃していく爽快感がある。「細かいことは気にせず攻撃あるのみ」という作りが作品のテーマと見事に噛み合っています。ゲームデザインまでスーパーロボット的。なんという力技。好きです。
何もそこまでしなくても……レベルのリマスター
今回のリマスター版では、クイックセーブや巻き戻し機能が用意され、より遊びやすくなっているそうな。昔のゲームにありがちな「ここでやられたら最初からです、はい残念」というつらさを、令和の機能でやわらげてくれるのはありがたいところ。オリジナルの味を楽しみつつ、プレイ環境は現代向け。
……とまあ、これだけなら最近のレトロゲームのリマスター版でありそうな配慮ですが、何しろ今回は先述したアニメ部分までリマスターしているのですから見上げたもの。しかも、「オリジナルのベータカムテープから再デジタル化→超解像技術による高精細化→本来の毎秒24コマで完全収録」という、豪華愛蔵版みたいなレベルの作業をしているそうです。
「何もそこまでしなくても……」と思うかもしれませんが、そもそもがやりすぎ感あふれる作品ですから、リマスターのそれだけの熱量でやりたいということなのでしょう。ここまでくると、メーカー側の採算は取れているのかどうかといったことまで気になってきます。
昭和レトロ好きにも刺さる、令和にこそ遊びたい怪作
「ゲッP-X」は、単なる懐古向けタイトルではありません。もちろん、私と同世代で70年代、80年代のロボットアニメやヒーローものに何らかの情念を持っている人には、かなり刺さるはずです。
しかし同時に、昭和レトロに興味がある若い人にも体験してほしい一本。近年は昭和のデザイン、アナログ感、昔のテレビ番組風演出に新鮮さを感じる人も多いはず。そういう意味で「ゲッP-X」は、令和にこそ再評価される可能性がある作品だと思っています。
移植は絶望的と思われた名作が、現代機で遊べる。それだけでも十分に事件です。しかし「ゲッP-X」の場合、それに加えて「こんなゲーム、本当に作っていた時代があったのか」という驚きまで味わえます。ロボットアニメへの愛、パロディへの執念、ムービーへの過剰投資、声優陣の豪華さ、そしてゲームとしての豪快さ。すべてが暑苦しく、すべてが楽しい。
きれいにまとまった優等生ではありません。むしろ、好きなものを詰め込みすぎてランドセルが閉まらなくなった小学生のようなゲームです。ただし、そのランドセルを背負っているのは本気の大人たち。だからこそ、とんでもない熱量がある。
「70年代風ロボットアニメ ゲッP-X スペシャルパック -PS5」は、ロボットアニメ好きなら一度は浴びておきたい怪作にして名作の奇跡のリマスターです。細かい理屈は後回しでいい。変形して、叫んで、撃って、笑って、次回予告を見る。それでいい。むしろ、それがいい。
令和のゲーム機で、昭和ロボアニメの魂を全身に浴びる。そんな体験、そうそうないですからね。発売が楽しみでなりません。
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