株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー
~リアルタイムな遠隔点検を実現し、安全性向上と省人化に貢献~
発表のポイント:
◆ ドローンが撮影する映像を操縦者に伝送する際、無線区間で発生する遅延揺らぎを低減し、映像品質を安定化する技術を開発しました。
◆ ローカル5GとフレッツVPNで接続して、約60km離れた遠隔地からドローン操縦環境を構築し、本技術の有効性を実証しました。
◆ 安定した映像伝送により、ドローン遠隔操縦を精密に行え、点検業務を現地派遣なく実施可能であることを確認しました。
NTT株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:島田 明、以下「NTT」)、株式会社エヌ・ティ・ティ エムイー(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:池田 敬、以下「NTT-ME」)、株式会社NTT e-Drone Technology(代表取締役社長:滝澤 正宏、以下「NTTイードローン」)は、無線区間で発生する遅延揺らぎを低減する技術を開発し、約60km離れた拠点間における遠隔ドローン操縦環境を構築して実証しました。本実証実験では、ローカル5G※1とフレッツVPN※2を介して、操縦者へ安定して映像伝送が行え、遠隔からドローン操縦が可能であることを確認しました。これにより、危険な場所における点検業務を現地派遣なく精密に実施可能となります。
なお、本技術については2026年5月27日(水)、28日(木)に開催される「つくばフォーラム2026※3」に展示予定です。
1.背景
日本においては労働力不足が深刻化しており、インフラや設備の点検業務においても人手確保が課題となっています。そのため、ドローンを用いた遠隔点検に対する期待が高まっており、現地派遣なく点検作業を実施する手段として注目されています。
点検箇所が固定的かつ比較的広いエリアであれば、自動飛行による点検が適しています。一方で建設現場や工場内点検といった、点検箇所が日によって変わる場合や比較的狭い空間においては、ドローンを精密かつ安全に、リアルタイムに遠隔操縦することが求められます。このためには、通信が途切れないだけでなく、映像乱れの無い安定的な映像伝送が必要不可欠です。
パケットの遅延に揺らぎが発生すると映像乱れが生じ、操縦精度の低下につながるという課題がありました。無線区間では上り通信と下り通信が同じ周波数帯域を共有していること、および無線品質が低下した際に再送制御が発生することに起因し、揺らぎが発生します。こうした課題に対応するため、操縦者が遠隔から安心してドローン操縦できることをめざし、無線区間で発生する遅延揺らぎを低減して映像品質を安定化する技術の実証に取り組みました。
2.研究の成果
本実証では、ドローン操縦者がネットワークを通じて伝送されたカメラ映像を見ながら、ドローンを遠隔操縦する環境を構築しました。システム構成として、福島県南相馬市のロボットテストフィールドにドローンを配置し、福島県郡山市から操縦を行いました。直線距離で約60km離れた2拠点をフレッツVPNで接続し、無線区間にはローカル5Gを用いています。この環境で、ドローンを遠隔操縦できることを確認しました。
また本システムに、無線区間で発生する遅延揺らぎを補正する機能を実装しました。高負荷な映像伝送を行うと、伝送時間全体に対し12%の時間で映像乱れが検出されましたが、本技術を適用することで、映像が乱れる時間を5%に低減できました。また映像乱れが大きいと、操縦者が操縦を中断して目的地まで到達するのに多くの時間を要するため、移動時間も評価しました。目視操作(南相馬でのドローン操作)で平均35秒要する移動を、郡山からの遠隔操作で実施したところ操縦を中断することなく平均32秒と、同程度の時間で移動完了できたため、操縦に影響のない映像品質を実現できていることが確認できました。

図1 ドローン遠隔操縦 実証構成図
3.技術のポイント
無線区間では、再送制御等で遅延揺らぎが生じ、映像フレームが揺らぐことで映像乱れにつながります。本技術では、無線基地局から収集したトラヒック情報をもとに映像レートをコントローラで分析し、映像レートに合わせてフレーム間隔を光ネットワーク装置で補正することで、無線区間で発生した遅延揺らぎを低減することが可能です(図2)。無線基地局単体では、無線区間の遅延揺らぎに対処することは困難ですが、無線区間と光区間を含めた光無線連携制御により遅延揺らぎを低減し、映像品質の安定化を実現しています。
本技術は、以下3ステップから構成されます。
1. 収集:無線基地局から随時収集することで、映像レート変化に追従
2. 分析:トラヒック情報から正確な映像レートを算出
3. 制御:映像レートに合わせたシェーピング制御により、フレーム間隔を補正

図2 遅延揺らぎを解消する光無線連携制御技術
映像フレーム間隔の分布が理想的な値に近いほど、映像品質が安定しているといえます。本技術適用前は、無線区間で遅延揺らぎがあるため、映像フレーム間隔のバラツキが大きく映像が乱れます(図3)。本技術を適用することで、遅延揺らぎを低減して映像フレーム間隔を理想的な値に近づけられるため、映像の乱れも解消されます。

図3 映像フレーム間隔と映像乱れ
4.各社の役割
- NTT:映像品質安定化技術の実装と、遠隔操縦における本技術の有用性検証
- NTT-ME:実証におけるローカル5Gの設計・構築・運用
- NTTイードローン:実証におけるドローンおよび操縦環境の提供と、目視外操縦性の確認
5.今後の展開
本技術により、遠隔操縦者へ映像品質を安定して届けることができます。ドローンに限らず、無人航空機・ロボットの操縦等への幅広い適用をめざして、この技術の実用化を推進していきます。
また本技術は、点検以外の遠隔業務でも活用できます。様々な分野での遠隔オペレーション業務を推進し、人手不足の解消に向けて取り組んでまいります。
【用語解説】
※1.ローカル5Gについて URL:https://business.ntt-east.co.jp/solution/local5g/
※2.フレッツVPN URL:https://business.ntt-east.co.jp/service/vpnprio/
※3.つくばフォーラム2026 URL:https://www.rd.ntt/as/tforum/
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