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“製造・卸・小売”の垣根を越えてサイバーリスクに対抗

業界横断で“サイバー攻撃から供給網を死守” NTT・アサヒ・トライアルらが「流通ISAC」始動

2026年04月07日 08時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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製造・卸・小売企業の現状とISACへの期待

 同日開催された会見では、製造・卸・小売の3業態を代表する発起人が流通ISACへの期待を述べている。

 まずは、アサヒグループジャパンの代表取締役社長 兼 CEOである濱田賢司氏だ。同社は、DXを「経営戦略を動かす機動力」として位置付けるが、その推進に伴い情報セキュリティの重要性が高まっていると語る。「われわれメーカーと卸、小売が密接につながるサプライチェーンにおいて、ひとたびセキュリティリスクが顕在化すれば、個社にとどまらず社会全体に影響をおよぼしかねない」と濱田氏。

 だからこそ、流通ISACを通じて業界全体でセキュリティレベルの強化を図ることで、「『安定供給』というメーカーの責任を果たしたい」(濱田氏)と強調した。

製造業としての流通ISACへの期待

 続いては、トライアルホールディングスの代表取締役社長である永田洋幸氏だ。同社は、小売業に加え、リテールAI事業を主軸に据え、購買データを製造・卸・小売間でシームレスに共有するオープンエコシステムの構築に取り組んでいる最中だ。「こうした連携が広がるほど、セキュリティリスクも相互に影響し合う。流通データを適切に守り、安全に管理していくことは、今後ますます重要性を増す経営課題」だと永田氏。

 永田氏は、「サイバーリスクはもはや、一社だけで対応できる課題ではない。世界的にも有効とされるISACの活動に期待を寄せている」と語った。

小売業としての流通ISACへの期待

 最後は、卸を代表して登壇した三菱食品 相談役の京谷裕氏だ。 飲食料品や日用品を中心とする中間流通は、広範かつ複雑なサプライチェーンを形成しているという。 例えば三菱食品では、約3000社の小売業、約6500社のメーカー、そして、約400社の物流パートナーとデータ連携を行っており、「サイバーセキュリティ上のリスクポイントが多岐にわたり、インシデントが発生すると食品流通という社会インフラに甚大な影響を及ぼしかねない」と京谷氏。

卸売業界のセキュリティ課題

 同社自身でも、「迅速に復旧する」「事業を止めない」対応を重視したセキュリティ対策に取り組むが、やはり企業単体では限界があるという。京谷氏は、「すべての流通業界で協力してサイバーセキュリティ強化に取り組んでいきたい」と抱負を語った。

きっかけは業界横断のデータ活用における問題意識

 こうした流通ISACの検討が始まったのは2024年頃。NTTとトライアルホールディングスが、流通データを用いたサプライチェーンマネジメント最適化に取り組む中で、業界横断でセキュリティを強化する必要性が浮き彫りになったという。そこから賛同企業を募り、情報通信領域の「ICT-ISAC」や米国の通信インフラ領域の「Comm-ISAC」に参画するNTTグループが支援する形で、座組みがまとまった。

NTTグループのISAC参画の実績

 NTTの代表取締役社長 社長執行役員CEOである島田明氏は、「流通業界は構成される企業数が多く、システムも複雑。 セキュリティ上の課題を解決するには、団体主導で標準化を進めて、セキュリティ水準を引き上げることが重要」と語る。加えて、「この業界横断の取り組みが、セキュリティ以外にも広がっていくと面白い展開になる」と付け加えた。

 流通ISACは、まずは飲食料品・日用品の領域から活動を開始し、将来的には対象となる領域を広げていくことも視野に入れている。

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