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連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第213回

市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 12月13日~12月19日

セキュリティ人材の課題は人手不足ではなく「スキル不足」/生成AIのRAG導入が進まない背景/日本で強いインフレ悲観、ほか

2025年12月22日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。

 2025年の最終回である今回(2025年12月13日~12月19日)は、生成AIのRAG導入が進んでいない背景、需要が急加速する北米データセンター市場の現状、サイバーセキュリティ人材についての課題の変化、インフレに対する生活者の意識と今後の生活水準予想、2025年の新語・流行語に対する人々の意識、についてのデータを紹介します。

[RAG][生成AI] 生成AIのRAG導入は進んでいない? 「導入済み」は2割未満(Digeon、12月16日)
・生成AIのRAG、「導入済み」は2割未満、「導入意向」も4割未満にとどまる
・そもそも生成AIを「業務でまったく利用していない」が3割超と多い
・RAG未導入の理由は「どの業務に使えるか不明」「技術知識/人材不足」などが多い

 全国のビジネスパーソン517名を対象に実施した「RAG認知・導入実態調査」より。LLMが社内のナレッジやドキュメントを参照して回答するRAGは、社内データの有効活用手段として注目されるが、「導入済み」は17.8%、「導入意向」も35.2%にとどまった。そもそも、業務で生成AIを「まったく利用していない」が35.4%を占めるなど、生成AIの業務活用そのものの普及も進んでいない。RAGを導入していない理由は「どの業務に使えるかわからない」(29.1%)が最多、「技術的な知識・人材不足」(27.5%)がそれに続いた。RAG導入で重視する点は「セキュリティ・ガバナンス」(23.6%)、「アウトプットの品質」(13.2%)など。

 ⇒ RAGの導入以前に、生成AIの業務活用そのものも進んでいない現状が浮き彫りに。生成AIについては「チームで使える環境があれば活用したい」(56%)という声が多く、組織として共有する利用環境を整えることが普及のヒントになりそうです。

生成AIの業務活用状況。33.9%が会社として正式/試験導入、14.5%が個人として活用する一方、「まったく利用していない」も35.4%を占めた(出典:Digeon)

RAGを「導入済み」は17.8%にとどまる。「聞いたことがない」「聞いたことはあるがよく分からない」が65.7%と圧倒的に多い(出典:Digeon)

「内容は知っているが導入していない」「聞いたことはあるがよく分からない」と回答した人の、RAGが導入できていない理由(出典:Digeon)

[データセンター] 北米のデータセンター建設、前年比6割増でも空きは2%未満 供給不足が鮮明に(ターナー&タウンゼント、12月16日)
・建設中の北米データセンター、2025年は前年比で6割増加も、ほぼ空室なし
・世界データセンター建設費ランキングで、シリコンバレーやニュージャージーが上位に
・世界全体でも7割超が「過去1年間で6%以上の建設費上昇」と回答

 世界のデータセンター建設プロジェクトに関わる同社がまとめた、北米データセンター事情より。2025年の北米データセンター市場は、建設中のプロジェクトが前年比60%も増加したが、その多くが事前リース契約済みであり、空室率は「2%未満」。急増するAI需要に対する供給不足が鮮明になっている。一方、世界データセンター建設費ランキング(ワット単価指数)では、シリコンバレーが5位、ニュージャージーが6位に入るなど、北米エリアにおける建設費の上昇が目立ち、プロジェクトは複雑化しているという。

 ⇒ AI需要の急増を背景に、一段と需要が高まるデータセンター市場。北米では、グローバル投資ファンド、機関投資家、ハイパースケーラー事業者などのデータセンター投資も「顕著に増えている」とレポートしています。

世界のデータセンター建設費(入札価格)の変化。約半数(47%)が過去1年間で「6~15%増加」、21%が「15%以上増加」とするなど、建設コストの上昇傾向が明らかに(出典:ターナー&タウンゼント)

ワット単価指数に基づく世界主要都市のデータセンター建設費ランキング。なお指数トップの都市は「東京」だ(出典:ターナー&タウンゼント)

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