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2026年度中の商用導入に向け研究開発を推進

「耳をふさがないノイズキャンセリング技術」NTTが開発 イヤフォンもヘッドフォンも使いません

2025年11月21日 17時00分更新

文● モーダル小嶋/TECH.ASCII.jp

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 NTTは11月13日、室内全体を対象に多様な騒音変動を高速で追従・低減できる「空間能動騒音制御技術(空間ANC技術)」を世界で初めて確立したことを発表した。

 ANCとは「Active Noise Control」の略で、マイクで騒音を検知し、その騒音と逆位相の音をスピーカーから発生させることで、音波の干渉により騒音を低減させる技術。ノイズキャンセリングヘッドフォンなどにも応用されている。

 本技術では、複数ユーザーが同一の空間にいても、耳を塞ぐことなく会話を継続しながら作業が可能な音環境の実現が掲げられている。

「空間能動騒音制御技術(空間ANC技術)」と従来技術の比較

 背景には、WHO(世界保健機関)・ITU(国際電気通信連合)による「セーフリスニング合同勧告」や、European Union(EU)の環境騒音指令など、騒音が健康や生活の質に与える影響が国際的に注目されているという事情がある。

 従来のANC技術では騒音の時間的・空間的変化が大きい環境において追従性が十分でなく、特に車室内や会議室といった複数ユーザーがいる空間では対応が困難だった。

従来技術の概要とその課題

 本技術は、以下の2つの要素技術により、騒音の変動に高い追従性を持つ世界初の空間ANCを実現したとする。

 第一に、GPGPUや多数の音響装置を数マイクロ秒レベルで接続・同期させる、超低遅延・同期型のANC処理技術だ。空間ANCでは、観測した騒音を逆位相の音波で打ち消すプロセスにおいて、マイク間・スピーカー間・収録と再生のすべてにおいて時間的ずれを極限まで抑える必要がある。

 今回の技術では、GPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units:グラフィックス用プロセッサを汎用計算に使う技術)の並列処理と、RDMA(Remote Direct Memory Access:CPUを介さずにデバイス同士が直接データ通信できる技術)を活用し、マイクやスピーカーをわずか2マイクロ秒という遅延で同期させ、消費電力を大幅に削減しているという。

超低遅延・同期型のANC処理技術の概要

 第二に、騒音の「広がりの変化」への追従技術。人間が「不快に感じる広がりの変化」と「不快に感じない広がりの変化」を区別し、演算量を抑えつつ変動に対応する設計が採用されている。

人間の騒音の広がり方の変化に感じる不快さの違いと騒音抑圧追従の必要性

本技術による変動する車室内騒音への追従性評価の一例。時間0でANCを起動、(a)本技術では従来技術と比較しわずか1秒で瞬時に効果を体感でき、(b)騒音の変動に対しても高速に追従し精度の低下が起きない

 今後の展開として、開発された空間ANC技術は、車両走行音・航空機騒音・都市部交通騒音の低減をはじめ、会議室やホテルなどでの静音環境の創出にも寄与するとされている。

 また、さらなる技術開発として、より広い空間への適用や聴覚に関する知見を取り入れた快適性向上技術の統合が示され、NTTグループ各社を通じたサービス展開が見込まれている。

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