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同基盤を土台に変わる“アプリケーションのあり方” ― 担当CMOに聞く

アプリからAIへの転換を支えるデータ基盤「SAP Business Data Cloud」が急成長中

2025年11月25日 11時15分更新

文● 末岡洋子 編集● 福澤/TECH.ASCII.jp

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BDCを土台に変わる「アプリケーションのあり方」

――最終的にはBWユーザーはBDCに移行していくのでしょうか。

 それがSAPの目標です。実際、BCDは最も簡単なBWの移行手段です。BDCのVM内にBWを直接リフト&シフトでき、DatabricksやDataSphereとBW上のデータを共有し、すべてを共通カタログに統合できます。

 これを顧客が手作業で行う必要がないというのが、大きなコスト削減につながります。実際、初期のBDCユーザーの大半は、BWからの移行です。

――BDCを発表して8ヶ月になりますが、顧客の反応はいかがですか?

 具体的な数字は公表できませんが、SAP史上最も急成長しているサービスのひとつです。2月に発表し、4月に一般提供(GA)を開始しました。すでに多くの顧客が本番環境で使用しており、今四半期も目標を達成しています。

 企業規模を問わず、BDCがもたらす価値に魅力を感じているようです。

――BDCを土台とするインテリジェントアプリケーションについて教えてください。

 ファイナンスの「Finance Intelligence」、サプライチェーンの「Supply Chain Intelligence」、営業の「Revenue Intelligence」、HRの「People Intelligence」、支出の「Spend Intelligence」、そしてオペレーショナルとファイナンスのデータを統合する「Cloud ERP Intelligence」などを発表しています。

 重要なこととして、インテリジェントアプリケーションは互いに連携するという特徴があります。単なるダッシュボードではなく、ユーザーのペルソナに合わせて調整されています。つまり、アプリケーションの構築方法を根本的に変えています。

 以前のアプリケーションはベストプラクティスをコード化していました。承認ワークフローや経費精算など、ステップごとのプロセスが明確でした。しかし、現実の業務は必ずしもフロー通りではないです。ただ、カオスとまではいかず、その中間です。そして、(既存の)SaaSアプリケーションには組み込まれてない多くの文脈が含まれています。

 BDC内のすべてのデータを正規化し、調和させることができれば、その上位にあるSaaSモデルのインテリジェントアプリケーションでは、LLMやエージェントにより最適な体験を提供し、さらにビジネス上のさまざまなシグナルを用いてインテリジェントなオーケストレーションが可能です。

 例えば、CFOの次年度の計画をサポートするHR担当者が最初に問うべきは、「何人採用する必要があるか」ではありません。「社内に適切な人材がいるか」です。People Intelligence内のエージェントは、CFOの財務計画からCFOの目標が何であるべきかを理解した上で、HR担当者の意思決定を支援します。

――概念としてのアプリケーションの境界が曖昧になっていくということでしょうか?

 最終的には、ログインを伴うブラウザの境界は消えていくと思います。AIモデルは決定論的ではなく確率的です。企業のデータを考慮しながら、ビジネスを運営するための非常に確率的な方法を提供します。ただ、モデルは一部の数値に基づいてユーザーが何を望んでいるかを推測しますが、正確ではありません。したがって、アプリケーションからの決定論的なワークフローも必要です。

 これらの境界をまたぐ作業はエージェント間で行われ、ブラウザ間ではありません。そのため、ユーザーにとって境界は消えていくでしょう。

――BDCの今後の展開について教えてください。

 BDCでは外部データとの連携を含め、機能を拡充していきます。

 その上に構築されるインテリジェントアプリケーションは、現在のラインアップは氷山の一角に過ぎません。SAPも拡充していきますし、パートナーもコミットしています。McKinseyやAccentureなどがBDC上にインテリジェントアプリケーションを構築する意向を公表しています。インテリジェントアプリケーションにはバックグラウンドで実行される何らかのエージェントがあり、最終的には、これらすべてを調整する“エージェントのエージェント”が必要になるでしょう。

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