第3ターミナルの出発エリアに「NRT Game Lounge」が登場

ゲームしながら飛行機の出発を待てる! 成田空港の新名所「ゲームラウンジ」で退屈とはおさらば!?

文●いちえもん 編集●ASCII

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搭乗までの待ち時間をゲームで楽しく!

 10月17日、筆者は「成田国際空港」の第3ターミナルにいた。目的は海外旅行ではない。国内旅行でもない。

 第3ターミナルの出発エリアに設けられた「NRT Game Lounge」の取材だ。

世界とつながる日本の玄関口、「成田国際空港」が取材の舞台

 最近、成田国際空港はゲームを用いたイベントを定期的に開催している。その例として挙げられるのが、空港内従業員向けのeスポーツ大会だ。直近では、2025年5月に従業員交流促進イベントの「NARITA CommuFes 2025」を実施したばかり。著名なゲームキャスターやゲストを招くなど、社内交流のイベントにしてはかなり本格的な印象を受ける。

 一方、NRT Game Loungeは空港の利用客を対象とした期間限定のゲームラウンジスペース。こちらも過去に複数回実施されたもので、日本のゲームタイトルを無料で体験できる。成田国際空港が用意した、ゲームによる憩いの場といったところだろうか。

成田国際空港第3ターミナルの休憩スペースに、日本のゲームタイトルを体験できるゲームラウンジスペースが設けられていた

 そんなNRT Game Loungeを特別に取材できたため、レポートをお届けしよう。

「鉄拳8」「都市伝説解体センター」など
日本発のゲームタイトルが無料で遊べる!

 NRT Game Loungeは、第3ターミナル本館3階の保安検査後エリアの休憩スペースにある。7月にオープンした飲食店「鉄板焼 三本亭/三本珈琲店」の近くだ。

保安検査後エリアの休憩スペースにある

 飲食店の前を通り過ぎると、休憩スペース前に立てかけてあった看板が目に入る。訪れたのは午前11時台だが、休憩スペースを含めて、NRT Game Loungeは多くの利用客でにぎわっていた。

 NRT Game Loungeでは、「鉄拳8」「パワフルプロ野球2024-2025」「太鼓の達人 ドンダブルフェスティバル」を大型ディスプレーでプレイできるほか、携帯ゲーム機「Steam Deck」で「都市伝説解体センター」「ぷよぷよテトリス®2」「eFootball™」シリーズも体験できる。

NRT Game Loungeの入口にはこんな看板が

 格闘ゲームからスポーツゲームまで日本発のゲームタイトルが目白押しで、その多くがeスポーツのイベントや大会で採用されているものだ。

 「太鼓の達人 ドンダブルフェスティバル」のドンドンドンと太鼓を叩く音がエリア内に鳴り響いていて、ゲームセンターに迷い込んだような心地だ。この音に惹かれてやってくる人もいるだろう。

3台のディスプレーとデスクが三角形状に配置され、「鉄拳8」「パワフルプロ野球2024-2025」「太鼓の達人 ドンダブルフェスティバル」を体験できるようになっている

別のデスクには、6台の携帯ゲーム機「Steam Deck」が置かれていた。「都市伝説解体センター」「ぷよぷよテトリス®2」「eFootball™」シリーズを体験できる

「パワフルプロ野球2024-2025」の様子。待ち時間を過ごすのにうってつけのタイトルだ

「太鼓の達人 ドンダブルフェスティバル」の様子。専用の太鼓型コントローラーを使って2人対戦ができる

 そんな中、異彩を放っているのが、大ヒットを記録したアドベンチャーゲーム「都市伝説解体センター」だ。筆者も、このタイトルがあることに驚いてしまった。

 ゲームを体験する機会を設けるだけでなく、メジャー/インディーを問わず、日本発のゲームタイトルを世界に向けて発信する意図もあるのだろう。

Steam Deckでゲームを体験している様子

 Steam Deckの体験スペースは基本的にソロプレイになるが、「鉄拳8」「パワフルプロ野球2024-2025」「太鼓の達人 ドンダブルフェスティバル」は2人までの対戦が可能だ。もちろん、一人でプレイしてもかまわない。

 操作方法がわからない場合、または対戦相手がほしい場合は、JCGのスタッフがフォローしてくれるという。

「鉄拳8」で対戦。ゲームパッドだけでなく、アケコンも用意されている。対戦相手が欲しければ、スタッフに声をかければ一緒にプレイしてくれるとのこと

 搭乗アナウンスまでの間、多くの搭乗客がラウンジスペースでゲームを楽しんでいた。むしろ、“待ち時間を楽しんでいた”といった表現が正しいかもしれない。エリア内に広がっていた客たちの笑い声や嬌声、そして太鼓の音は、いまでも忘れられずにいる。

「待ち時間を有効活用してほしかった」という思いから生まれた

 取材の合間に、成田国際空港(株)の藤村舞輝氏にインタビューする機会を得た。NRT Game Loungeを企画した経緯について、いろいろと話をうかがった。

成田国際空港(株)の藤村舞輝氏

——まずは、NRT Game Loungeを設置した経緯を説明いただけますか。

藤村 舞輝氏(以下、藤村氏):NRT Game Loungeのテーマは、搭乗までの待ち時間をゲームで有効活用してもらうことです。

 休憩スペースは搭乗口に近いのですが、搭乗までの時間を過ごせる場所は現状だと飲食店のみで、あとは座って待つしかありません。搭乗するまでの待ち時間で日本のゲームを楽しんでいただければと思い、NRT Game Loungeを設置いたしました。

——旅客機に搭乗するまでの間、搭乗客はここで何分ぐらい待つのでしょうか?

藤村氏:搭乗の3時間前頃から来られる方もいらっしゃいますが、基本的には1時間ほど待たれる方が多いと思います。なので、搭乗アナウンスがあるまでゲームを楽しむ余裕はあるのかなと。

——反響はいかがでしょう?

藤村氏:NRT Game Loungeは、過去に複数回実施したことがあります。その際は多くのお客様にご利用いただき、結果として良い反応が得られました。お客様の反響をはじめ、空港内の各所から高い評価を得たことや、日本製ゲームの人気の高さもあって、再びNRT Game Loungeを実施させていただきました。

——ゲームタイトルを選ぶ基準はありましたか?

藤村氏:タイトル選定はJCGさんにご協力いただきました。基本的には、日本で作られた人気のゲームタイトルにしぼっていますが、インディーゲームも織り交ぜています。NRT Game Loungeから、日本のゲームカルチャーやクリエイターさんの作品を世界に発信していくといった狙いもあります。

 今回でいえば、「都市伝説解体センター」がそうですね。どんどん人気が高まっていけばいいなというところで本作を選んだ次第です。

集英社ゲームズから発売されたアドベンチャーゲーム「都市伝説解体センター」も体験できる

——今回のNRT Game Loungeで印象に残っているところは何かありますか?

藤村氏:まったく面識のない方々が一緒に「鉄拳」をプレイするなど、交流が生まれたことはうれしかったですね。また、昨年よりも飛行機の便が多くなった影響で、このラウンジスペースを利用されるお客様も増えました。海外の方も見かけましたが、日本の方が割と多かったと思います。

搭乗までの待ち時間を有意義に過ごしてもらえるよう、第3ターミナルの出発エリアにNRT Game Loungeを設置したと語る藤村氏

——今回のイベントもそうですが、成田空港ではゲーム関連のイベントが多く開催されていますよね。

藤村氏:そうですね。直近ですと、今年の6月に第1ターミナルで2回目のNRT Game Loungeを開催しまして、その際はYouTuberの「よみぃ」さんを招いて「太鼓の達人」のフルコンボを実演していただきました。今後も、さまざまなゲストを呼んでゲームの大会やイベントを定期的に実施できればと思っています。

——ありがとうございました。

コミュニケーションとしても最適!
空港の過ごし方が大きく変わるかも

見知らぬ人と対戦する、なんてこともあるかも?

 搭乗までの長い待ち時間を有効活用すべく、成田国際空港が企画したNRT Game Lounge。人気のゲームタイトルの無料体験に加え、日本のゲームカルチャーを知ることもできる特別な空間だった。

 藤村氏がインタビューで語ったように、ゲームがきっかけで人同士の交流が生まれた事例もある。本イベントを取材してみて、待ち時間をつぶせるだけでなく、人をつなぐコミュニケーションツールとしてゲームが役立つことも理解できた。

 NRT Game Loungeには待ち時間の有効活用やコミュニケーションの促進など、さまざまなメリットがあるだろう。現時点では期間限定イベントになるが、ゲームラウンジが常設される文化が広がれば、空港の過ごし方が大きく変わるのではないだろうか。

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