数字で見るM5チップ
もう少しM5チップについて迫ります。
同じタイミングで発表された14インチMacBook Pro M5搭載モデルと同じチップですが、iPad Proではストレージに応じて、メモリとCPUコア数に変化があります。
256GB・512GBモデルは、9コアCPU・10コアGPU・12GBメモリのM5チップとなり、高性能コアが1つ無効化されています。1TB・2TBモデルでは、MacBook Proと同じ10コアCPU・10コアGPU・16GBメモリ仕様のM5が用いられます。
なお、レビュー機は512GBストレージなので、9コアCPUの仕様です。
M5チップはM4と比べて、メモリ帯域幅30%向上、SSDの読み書き2倍、グラフィックスは60%向上でピーク性能は4倍、AI処理は250%向上と、全く違う世界のチップでと言えます。その結果の一つが、前述の無意味で無慈悲な“ぐりぐりテスト”だったりします。
GPUにはニューラルアクセラレーターが備わり、第2世代ダイナミックキャッシングが導入され、レイトレーシングの世代が上がり、大幅なレンダリング性能向上となりました。
iPad Proをゲーム機としてみた際、レイトレーシングに対応するゲームであれば、M4の倍近くのフレーム数を叩き出してきます。
外部出力も強化され、4K/120Hz、6K/60Hzに対応し、Adaptive Syncもサポート。Apple Pencilもサポートしているため、iPad Proでビデオ編集、アニメーション作成、3Dモデリングなどをするクリエイティブ用途での拡張性が格段に向上したことになります。
N1チップ、C1Xチップの実力
iPad Proで試すのが楽しみだったのが、ワイヤレス接続です。今回、Apple自社製のN1チップ(Bluetooth/Wi-Fi/Threads対応)、そして5G通信を行うApple C1Xモデムが搭載されました。
省電力性をうたう一方で、通信速度の大幅な改善が見られました。同じWi-Fi環境で、M4モデルとM5モデルのiPad Proを比較した際、M5 iPad Proは、30%以上の速度向上が確認できます。
また、これはN1を搭載したiPhone 17シリーズ・iPhone Airにも共通していたことですが、AirDropなどの相手の発見や転送確立の信頼性、転送速度なども向上しており、20GBを超える巨大なビデオファイル群の転送も、途中で途切れることなく実現できました。
ちなみに、N1はWi-Fi 7、Bluetooth 6に対応し、N1を搭載しないM5搭載MacBook Proよりも、ワイヤレスの世代が1つ上がっている状態となっています。
Apple C1Xモデムは、50%の高速化と30%の省電力化がウリの独自モデムで、特にその高い省電力性は、モデムを搭載しないMacとの大きな差別化要因としても重要でした。
街中のカフェ、電車移動中、駅など、いくつかのシチュエーションでも安定して通信することができ、それでいてスタミナ切れを起こさない性能がありがたい存在でした。

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