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年次イベント「Cloudera EVOLVE25」を開催

AIデータ基盤で巻き返しを図るCloudera、“AI-in-a-Box”を発表

2025年10月10日 07時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 ハイブリッドデータプラットフォームのCloudera(クラウデラ)が、2025年9月25日、米国ニューヨークで年次イベント「Cloudera EVOLVE25」を開催した。「Iceberg REST Catalog」などの新発表でプラットフォームを強化したほか、プライベートAIを容易に実装できる“AI-in-a-Box”をDell Technologies、NVIDIAとの協業で発表し、ハイブリッドアプローチを進めた。

 Clouderaでは、コンテナ/Kubernetes技術の「Taikun」を8月に買収したことで「AI時代のデータ基盤が整った」と意気込む。同社幹部は「今後1年間で、これまでの5年ぶんを上回る技術革新を進める」と約束した。

Cloudera CEOのチャールズ・サンスベリー(Charles Sansbury)氏

AI時代におけるデータプラットフォームの重要性と、Clouderaの優位性をアピールした

世界で25エクサバイト以上のデータを蓄積するCloudera

 2008年に創業したClouderaは、エンタープライズ/オンプレミス向けの「Apache Hadoop」ディストリビューションで注目を集めた。2017年にはIPO(新規株式公開)を果たし、2018年には競合のHortonworksと統合したものの、クラウドの波に押されて勢いが減速。2021年にはプライベートエクイティにより買収され、非公開企業として再出発した。

 現在のClouderaを率いるのは、2023年に迎え入れたCEOのチャールズ・サンスベリー氏だ。サンスベリー氏は、SUSEやNovellを擁するThe Attachmate Groupで、COOを務めた経歴を持つ人物。サンスベリー氏の着任後、ClouderaではAI運用のVertra、データリネージのOctopai、そしてコンテナのTaikunといった企業買収を進め、技術面を補強したほか、CTO、CPO(最高製品責任者)などの起用も進めている。

 年次イベントのステージに立ったサンスベリー氏はまず、勢いを増すClouderaの現況を次のように説明した。

 「現在、Clouderaのデータプラットフォームには、25エクサバイト(25EB)以上のデータが蓄積されている。これは、競合するほとんどのデータプラットフォームを上回る規模だ。われわれには“データグラビティ”(データの引力。データ自身は動かず、そこにアプリケーションなどが“引き寄せられる”ことを指す)があり、AIの運用でその重要性はさらに高まっている」

 2024年の売上目標は10置ドルだったが、2025年はそれを10%上回る11億ドルを目指しているという。「Clouderaは、収益性を維持しながら成長している」(同氏)。

 Clouderaの強みは、オンプレミスをベースにクラウドと連携できるハイブリッド戦略だ。サンスベリー氏は「AIがもたらすチャンスは巨大だが、高速なコンピューティング、データの信頼性や複雑性などの課題は、多くの顧客にとって想像していたよりも大きい」と述べたうえで、ハイブリッドアプローチは必須との見方を示す。

 「大規模組織のアーキテクチャはハイブリッド化が進んでいる。データとワークロードは、複数のコンピューティングプラットフォームにまたがることになる」

プライベートAIのメリットはセキュリティ、ガバナンス、コスト

 データがさまざまな場所に分散した環境下でも、AIなどの用途でデータを容易に活用できるようにするのが、Clouderaの「Cloudera Data Platform(CDP)」だ。そして、この技術基盤があるからこそ実現するもののひとつとして、Clouderaが強調するのが“プライベートAI”である。

 「プライベートAIとは、オンプレミスかクラウドかを問わず、データを用いて自社独自のAIモデルを構築、トレーニング、実行できるプライベート環境を指す。この環境下で、企業は事前にトレーニングされたモデルを購入し、自社向けにファインチューニングを行ったうえで、推論処理を展開する」

 サンスベリー氏はそう定義しながら「Clouderaのプラットフォームでは、さらに安全性も提供できる」と付け加えた。

 プライベートAIに関して、Clouderaでテクノロジー戦略の責任者を務めるCSO(最高戦略責任者)のアブハス・リッキー氏は、AI運用における“隠れたコスト”を指摘した。AIのコストと言うと、一般には1トークン当たりの処理コストが注目されがちだ。しかし実際の運用では、データの前処理や準備、モデルの展開、インフラ管理、セキュリティとガバナンスの確保、監視/運用管理システムやバックアップ/DRなどのコストも不可欠である。

 パブリッククラウドでは、この“隠れたコスト”が大きくなりがちだという。リッキー氏が紹介したある顧客企業では、パブリッククラウドで83個のLLMを運用するのと同じコストで、プライベートAI環境では400ものLLMを運用できたという。「オンプレミスのプライベートAIの場合、一定のしきい値を超えたAIワークロードの追加コストは、ほぼゼロになる。一方で、パブリッククラウドでは、直線的なコストの増加となる」(リッキー氏)。

 「プライベートAIは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、デスクトップ、あらゆるエッジデバイスのいずれの環境でも、AI処理を実行できなければならない。Clouderaならば、プライベートAIのメリットを最大限に活用できる」(リッキー氏)

リッキー氏は“プライベートAI”のコスト優位性を説明した。ワークロードが大規模になるほど、パブリッククラウドではコストがかさむ

Cloudera CSO(最高戦略責任者)のアブハス・リッキー(Abhas Ricky)氏、CRO(最高収益責任者)のフランク・オドード(Frank O'Dowd)氏

 Clouderaは、CDPにおいては主要なパブリッククラウドベンダーすべてと連携しているが、「データのセキュリテイ、ガバナンス、そしてコストなどの理由からプライベートで行いたいというニーズは高くなっている」と、同社CRO(最高収益責任者)のフランク・オドード氏は話した。

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2026年04月09日~2026年04月15日
  • 角川アスキー総合研究所