ライター柳谷智宣、夢にまで見たケンタッキーバーボンフェスティバルに初参加
世界最大級のバーボン祭り参戦記!飲み続けているうちに幻の「キング・オブ・ケンタッキー」に出会った
2025年10月16日 16時00分更新
Bourbon Bonanza~ウイスキー愛好家たちが創る、未来への一杯
幸運なことに、チャリティイベントの「Bourbon Bonanza」にも参加することができました。このイベントの始まりは、2015年、著名なシェフであるショーン・ブロック氏と、慈善団体「Jeeps For Joy」の創設者マイク・ジャシンスキー氏の出会いから始まりました。二人は希少なウイスキーをきっかけに意気投合し、ワシントンD.C.で初の子供たちのためのチャリティイベントを開催。2万5000ドルを集め、今日の活動の礎を築きました。
その後、活動はバーボンの聖地ケンタッキー州バーズタウンへと拡大。ウィレット蒸留所をはじめとする多くのパートナーと協力し、その輪を広げていきました。一時期、新型コロナウイルスの影響で中断を余儀なくされましたが、2022年に復活。以降、過去8年間を上回る資金を集めるなど、驚異的な成功を収めています。
アメリカ人と聞くと、個人主義で自己責任のイメージがありますが、寄付やボランティア、シェアといった考え方も強く根付いています。Bourbon Bonanzaの前夜祭にも参加したのですが、そこでは、蒸留所のオーナーやマスター・ディスティラーをはじめ、アメリカのウイスキー業界の有名人が集まり、自慢のボトルを振る舞っていました。
プレミアバーボンをはじめ、シャルトリューズやスコッチ、カルバドスなど、さまざまなお酒が飛び交うなか、初見の筆者にも気前よく貴重なボトルを注いでくれました。あまり英語が話せないのに、一緒に楽しく飲んでくれて感動です。とても暖かいコミュニティでした。
イベントのハイライトの一つは、入手困難な「ユニコーンボトル」が並ぶサイレントオークションです。ウイスキー愛好家たちが持ち寄った貴重なコレクションが出品され、その収益が慈善団体へ寄付されます。この日も多くのボトルが高値で落札され、素晴らしい取り組みだと感じました。
提供されるバーボンは、一般のイベントでは見られないようなラインナップです。ウィレット蒸留所などがこのイベントのために特別に選んだ希少なシングルバレルウイスキーをテイスティングできるほか、古酒もたくさん振る舞われていました。有名シェフが腕を振るう素晴らしい料理も提供されており、長丁場でも快適です。さらには、高級シガーである「ダビドフ」も無料で配られており、驚きました。
下世話な話をすると、1本10万円20万円で買えないようなウイスキーのボトルがごろごろしており、少々の寄付金ではすぐに元が取れてしまいます。もう、バーボン愛好家たちのギブの精神がすごくて、心打たれました。
提供されるのはバーボンだけではありません。例えば、シアトルにある最高峰のウイスキーバー兼レストラン「The Ballard Cut」のブースでは、多数のジャパニーズウイスキーを提供していました。「山崎18年」が普通に並んでいるのは目を疑いました。
今回、筆者はKen's Bar 京橋店のオーナーである松山謙氏にお願いしてツアーに参加させていただきました。松山氏は日本のバーボンウイスキーのパイオニア的存在で、バーボンウイスキーのプライベートブランド「Ken’s Choice」も手掛け、世界的にも高い評価を受けています。
The Ballard CutのブースでもこのKen’s Choiceの「Ken's bar 20th ANNIVERSARY」が提供されていました。松山氏が訪れると、The Ballard CutオーナーのTommy Patrick氏がブースに呼び込みました。すると、すぐに多くの人が集まってきて、松山氏本人がKen’s Choiceを振る舞い、あっという間にボトルが空になってしまうほどの大盛況となりました。
筆者はあまりチャリティイベントに参加した経験がないのですが、ウイスキーを楽しみながら、社会に貢献できるというのは誇らしく、まさに一石二鳥の最高の体験となりました。
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