ライター柳谷智宣、夢にまで見たケンタッキーバーボンフェスティバルに初参加
世界最大級のバーボン祭り参戦記!飲み続けているうちに幻の「キング・オブ・ケンタッキー」に出会った
2025年10月16日 16時00分更新
2025年9月上旬、ウイスキー愛好家として一度は参加したいと夢に見ていた「ケンタッキーバーボンフェスティバル」に参加してきました。他にも多くの蒸留所を見学し、バーボンのチャリティイベントやバーボンマニアのホームパーティにも招いていただきました。今回は、バーボンの聖地の最新レポートを紹介します。
1週間にわたってバーボン尽くしの取材旅行に行ってきました
夢だったケンタッキーバーボンフェスティバル初参戦!
ケンタッキーバーボンフェスティバル(以下、KBF)は「バーボンの首都」米国ケンタッキー州バーズタウンで毎年9月に開催される、バーボンウイスキーの祭典です。アメリカ固有の蒸留酒であるバーボンの豊かな歴史と文化を祝い、多くの蒸留所が参加します。
会期中は、さまざまなブランドのバーボンのテイスティングや限定ボトルの購入ができるほか、セミナーや蒸留所ツアーなど多彩なイベントが楽しめます。世界中のバーボン愛好家が集まる、歴史あるイベントで、今年は9月5~7日に開催されました。
筆者は6日と7日の2日間参加しました。チケットは1日券105ドル、3日券190ドルから、高額なVIPチケットが4種類用意されました。最上級のVIPチケットはなんと6995ドル(100万円超え!)です。会場は12時ですが、VIPは11時から入場できる特典があります。
入り口で受付を済ませて、ICタグ付きのリストバンドをもらいます。入退場のほか、会場内でも、テイスティンググラスをもらったり、試飲する際にリストバンドでチェックインすることがありました。受け付けも専用アプリですし、意外とデジタル化されています。ちなみに、このリストバンドの耐久性が高すぎて手でちぎれず、最終日のホテルで外すのに四苦八苦しました。
会場に入ると、広大な敷地に多数のテントが並んでいます。参加蒸留所数は65、提供されるウイスキーは200種類とすごい規模です。さすが世界最大級のウイスキーの祭典だと感激しました。屋外というのが開放感があり、最高です。
狂喜乱舞して、あちこちのブースでバーボンを楽しみました。ベーシックな商品だけでなく、上位ラインナップも試飲できるブースも多く、幸せでした。ただ、人気のブースには常に人だかりができていて、少し並ぶ必要があります。また、お酒を飲みまくるイベントなのに、参加者のマナーがとてもいいので、驚きました。泥酔や横入り、ケンカなどは一切なく、みんな心底楽しんでいたのです。
ステージも用意され、ウイスキーに関するセッションが開催されたり、バンドが演奏するなどコンテンツも充実。マスターディスティラーや専門家が60人以上参加しており、36のプレミアムイベントが開催されたそうです。古くからの方法で樽づくりのデモンストレーションも行われており、思わず見入ってしまいました。
試飲とは別に、長蛇の列があちこちでできていました。数量限定のレアバーボンを購入するためです。通常はお金を払っても手に入らないお宝なので、ウイスキー愛好家としては垂涎の的です。ただ、これは世界中で問題になっていることですが、ここでも転売ヤーがVIPチケットを購入してレアボトルを買いまくっていました。一般チケットではほぼ手に入れることができません。筆者もあちこちのブースを見たのですが、唯一購入できたのはヘブンヒル蒸留所のブースで買えた「Old Fitzgerald Bottled-in-Bond 7-Year-Old」だけでした。
大手蒸留所はもちろん大人気ですが、それとは別に注目を集めたのが「ダーク・アーツ・ウイスキー・ハウス」でした。自社で蒸留を行わず、調達した原酒を自社でブレンドしたり、熟成させる「ノン・ディスティリング・プロデューサー(NDP)」という作り手です。
アメリカでは、NDPはネガティブなイメージはなく、アーティストや錬金術師のように捉えられています。美味しいバーボンを作る腕があるなら尊敬されるのです。熟成年数などのスペックを見るのではなく、味で勝負するというのがアメリカらしく、新鮮な体験でした。
KBFはまさにバーボンのお祭りでした。大手蒸留所は長期熟成品や特別限定品を積極的に投入し、多くのクラフト蒸留所が台頭。昔は男らしさやワイルドさといったイメージでしたが、「古き良き伝統」と「個性的な高品質」が両立され、今では女性やミレニアル世代にまで消費者層が広がっています。1970~1990年ころまでの低迷を乗り越え、ここまでバーボン人気が高まっているのは凄いことだと思います。元からバーボンは好きですが、目から鱗が落ちる経験の連続で、一層虜になってしまいました。
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