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AIに最適化されたICT基盤で「産業・地域DX」のプラットフォーマーに

AI・IoTなど重点4領域の売上高を「3年で倍に」 NTTドコビジが2025年度の事業戦略を説明

2025年10月06日 07時00分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)は、2025年9月30日、2025年度の事業戦略説明会を開催した。

 同社の代表取締役社長 社長執行役員 CEOである小島克重氏は、AIに最適化されたICT基盤をあらゆる産業・地域へと届ける「産業・地域DCのプラットフォーマー」になると宣言。そのための成長戦略として、「プラットフォームの進化」「重点4領域の事業強化」「パートナーリング強化」の3点を挙げ、重点4領域の売上高を3年先の2027年度に倍(5000億円)にする目標を打ち立てた。

 小島氏は、「AI時代に最適化された『AI-Centric ICTプラットフォーム』により、様々な産業や地域が抱える多様な課題をDXソリューションで解決し、驚きと幸せに満ちた世界を実現していく。これが我々の目指す、『産業・地域DX』の姿」と説明した。

NTTドコモビジネス 代表取締役社長 社長執行役員 CEO 小島克重氏

NTTドコモビジネスは新ステージに突入、「産業・地域DX」のプラットフォーマーに

 NTTグループで法人事業を担う中核会社であるNTTドコモビジネスは、2025年7月1日に、NTTコミュニケーションズから社名変更したばかりだ。小島氏は、「社名を変え、われわれのチャレンジは次のステージに入る」と語る。

 昨年度は、厳しい局面がつづく中堅中小企業セグメントのマイナスを、大企業セグメントでの成長によって補う事業状況だったという。一方で、「ここ1年、改めてマーケットを徹底的に見直してきた」と小島氏。その成果として、2025年度の第1四半期は、営業収益が前年同期比で257億円増(6%増)の4560億円、営業利益が71億円増(10.3%増)の758億円と、堅調なスタートを切った。中堅中小企業セグメントも4%のプラス成長に転じている。

2025年度第1四半期までの事業状況

 同社は1999年にNTTの分社化により生まれ、通信・コミュニケーションサービスから事業をスタート。その後、クラウドやデータセンター、それを取り巻くセキュリティやITマネジメントサービス、さらには、データ流通・利活用の仕組みにまで事業を拡大してきた。そこに、今、AIが加わっている。

 そして、AIに最適化されたICTプラットフォームによって、すべての産業・地域の課題を解決する「産業・地域DX」のプラットフォーマーになることが、同社の新しいステージになる。「今まで積み上げてきた営業価値を、AIに最適化された産業・地域を支える基盤『AI-Centric ICTプラットフォーム』として発展させる」(小島氏)。

 この新しいステージの成長戦略として挙げられたのが、「プラットフォームの進化」と「重点4領域の事業強化」、この2つの戦略を加速するための「パートナーリング強化」である。

事業領域がAIにまで広がり新たなステージへ

分散コンピューティングとNaaSを中核とする「AI-Centric ICTプラットフォーム」

 成長戦略のベースとなるのが、AIに最適化されたICT基盤である「AI-Centric ICTプラットフォーム」だ。

 NTTドコモビジネスの代表取締役副社長 副社長執行役員 CROである金井俊夫氏は、同基盤を「NTTドコモビジネスのAIインフラのビジョン」だと説明。「AIインフラがおろそかだとAI全体のパフォーマンスが上がらない。企業のAI戦略において重要なもの」と強調した。

NTTドコモビジネス 代表取締役副社長 副社長執行役員 CRO 金井俊夫氏

 NTTドコモビジネスは、このAIインフラには、現状「2つの波」があると見立てている。ひとつは「コンピューティングの波」で、過去から集中と分散を繰り返し、現在は分散(ハイブリッド利用)の需要が高まっているという。それは、事業部門におけるオンプレミスの需要増、GPUなどの高発熱化に伴うAIデータセンター不足、都心部と地方での電力需給のアンバランスなどが背景にある。

 もうひとつが「ネットワークの波」で、こちらは土管化とインテリジェンス化の波を繰り返し、現在はインテリジェンス化の需要が高まっているという。土管化とは通信事業社にインフラのみを期待する動きだが、AIやIoTの普及でそれが反転した。AIの自律的な通信によってネットワークの帯域設定が困難になったことや、エンドポイントセキュリティが組み込みづらい産業機器やIoT機器にAIが導入されるようになったことがその理由だとする。

AIインフラに対するNTTドコモビジネスの見立て

 AI-Centric ICTプラットフォームは、こうしたコンピューティングの分散やネットワークのインテリジェント化の要求に応え、さらに、日本企業のAIによる競争力強化や地方企業のAI活用につなげていくためのAIインフラの構想である。

AI-Centric ICTプラットフォームのイメージ

 AI-Centric ICTプラットフォームを構成するひとつが、コンピューティングだ。現在、NTTドコモビジネスでは、液冷対応のデータセンター「Green Nexcenter」を、横浜と大阪で稼働中だ。さらに、分散化の需要に応えるべく、ゲットワークスとの業務提携によって、全国に設置可能なコンテナ型の「プライベートAIデータセンター」も用意する。最短7か月と短納期で、GPUリソースの拡張性も備えており、現時点で1コンテナあたり最大約1.35MWの電力容量まで対応可能だ。

コンテナ型の「プライベートAIデータセンター」

 加えて、AI-Centric ICTプラットフォームの中核となるのが、インテリジェンス化したネットワークにあたる「NaaS」だ。NaaSとは、ネットワークをクラウドのように“必要なときに、必要なだけ使う“利用モデルである。

 NTTドコモビジネスでは、NaaSとして主に、拠点間をつなぐ「docomo business RINK」とIoT向けの「docomo business SIGN」(2025年12月に提供開始)を用意する。(参考記事:IoT構築のハードルを下げる NTTドコビジが“セキュリティ標準搭載”の新NaaS

「docomo business RINK」と「docomo business SIGN」

 docomo business RINKは、AIによる自律的通信にも対応できるよう、ポータルやAPIから帯域の柔軟な変更が可能であり、分単位(月額上限付き)の従量課金となっている。さらに、docomo business RINKとSING共に、コア機能として、ネットワーク内で異常通信を検知し、ポータルからその通信を遮断可能な「WANセキュリティ」の機能を備えている。本機能で、セキュリティ機能を組込みにくい産業機器やIoT機器においても脅威リスクを抑えることができる。

docomo business RINK / SIGNのWANセキュリティ (脅威検知・遮断)

 さらに2026年度には、IT運用をAIで最適化する「AIOps」やコストを最適化する「FinOps」も、AI-Centric ICTプラットフォームのマネージドサービスとして提供予定だ。

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