ミニサイズのワークステーションはなぜかサーバールームに置かれる?

日本の発想を取り入れて進化したHPのワークステーション、その現在地点を知る

小林 編集●ASCII

提供: 日本HP

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ーー新しいZ2 G1iワークステーションでは、ついにCore Ultraが搭載されました。

インテル 太田仁彦氏「新製品の最も大きなニュースは、われわれのデスクトップ向けのAI PC用プロセッサーであるCore Ultra(シリーズ2)を初めて、日本HPが提供しているワークステーションに投入させていただけたことです。

 デスクトップ版のCore Ultra(シリーズ2)は、Coreマイクロアーキテクチャの採用、高性能なPコアと高効率のEコアの組み合わせによる電力効率の高さといったDNAをモバイル版から継承しつつ、より高い電力帯で動かすことを前提としたチューニングです。

 同時にモバイル版同様、すべての製品にNPU(AI処理用のNeural Processing Unit)を搭載し、高性能かつ消費電力を抑えたAI処理ができるようになっています。Core Ultraは元々モバイル向けのCPUとして始まり、ローパワーからハイパフォーマンスの分野まで幅広い展開をしています。これにデスクトップが加わることですべての札(カード)が揃ったことになりますね」

ーーモバイル版とデスクトップ版のCore Ultraの違いについて改めて教えていただけますか。

太田 「バッテリー駆動を中心に考えるか、AC駆動を中心に考えるかで差別化/最適化しているのがポイントです。デスクトップ版とモバイル版は、Pコア/Eコアの数が異なり、それらをリアルタイムで動作させるためのスレッド・ディレクターも最適に振舞います。常に電力供給がなされているデスクトップでは、バッテリーがなくなるという心配がありません。プロセッサーをどのレベルまで高速に稼働させていいか、どのレベルに到達したら電力を大きく削減する動作に変えるかのさじ加減を調整し、より安定的で高いパフォーマンスを、ユーザーに届けられる仕組みになっています。

 その一方で、インテルが継続して取り組んできた動作周波数/パフォーマンスを上げるための試みを、電力効率を高める方向で取り入れています。

 指標の一つがトップノッチのゲーミングアプリを同じレベルで駆動した場合の消費電力です。約4〜5割の電力節約がArrow Lakeという新しいCore Ultra S200シリーズではできています。パソコンのパワーサプライ(電源供給)への要求は年々厳しくなっていますが、その歯止めも効かせることにも取り組んでいるのです。最高性能をキープしながら電力節約のニーズにも応えていくことが、Core Ultra 200Sシリーズの特徴です」

ーー電力消費を抑えたいという要望はワークステーションでも多いのでしょうか?

日本HP 大橋秀樹氏「消費電力については多くの要望をいただいています。ワークステーションを設置する場所はサーバールームではなく一般的なオフィス環境です。200Vの電源が引かれて同じ電力でも電流の量が抑えられ、冷却も万全なサーバールームでは使用する機器の消費電力をあまり気にしなくてもいい側面があるでしょう。しかし、オフィス環境ではそうはいきません。元々使用できる電力に制約があることに加えて、猛暑などの影響で早い時期からエアコンを強くかけることも増えています。一方、ワークステーションを実際に導入する状況では1台、2台ではなく何十台といった規模の機器をずらりと並べて使用することも珍しくありません。空調の効きにくい狭い部屋に大勢の設計者が集まって作業するのです。

 パフォーマンスは維持したいのだけれど、消費電力の高いマシンは使いづらい。こうした状況のなかで、「低消費電力で変換効率のいい電源を搭載したマシンを使いたい」というニーズが高まってきています。ここは「とにかく処理性能が高ければいい」という従来の考え方から変化を感じます。指摘されるポイントもシビアになっていますが、解決の選択肢を増やすことも我々の仕事なのです」

日本HP 中島章氏「ワークステーションでは、しっかりと安定した電源を持ちつつ、CPUの電力は抑えていく技術的な改善、GPUなどを含めたトータルのパフォーマンスが求められます。そのために本体の冷却効率をあげ、電力効率を高めていくことが必要です。われわれHPはそのための経験とノウハウを数多く持っています。いまワークステーションといえば、Windowsを搭載したPCワークステーションが主流ですが、もともとは大型の筐体にUNIXを搭載したものがワークステーションであり、その流れを組んだ高い演算性能と高い表示性能が継続して求められています。

 また、ワークステーションは1台の機器を一人が占有するのが前提となるため、消費電力の低減は”かける台数”分の効果が得られます。1台あたりの電源を少し改善できればその分だけ全体の消費電力を抑えていくことにつながります。地道な取り組みが非常に重要になるのです」

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