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基幹システムのモダナイゼーションもさらに加速へ、日本オラクルの新年度事業戦略説明会

“エージェンティックAI時代”に耐えうるデータ基盤とは? 日本オラクル・三澤社長が語る

2025年07月10日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 「AIエージェントが、従来型アプリケーションのCOBOLやJavaで記述された複雑なビジネスロジックに取って代わる時代が近づいている」「エージェンティックAIの世界を本格的に実現するためには、『AIと親和性の高いデータプラットフォーム』が間違いなく必要になる」

 日本オラクルは2025年7月8日、6月にスタートした2026年度(FY26)の事業戦略説明会を開催した。社長の三澤智光氏は、一昨年から掲げる重点施策「日本のためのクラウドを提供」「お客様のためのAIを推進」に引き続き注力していくとしたうえで、5つの領域における具体的な取り組みの方針を示した。

 この5つの領域の中で、特に時間を割いてオラクルが持つ強みと実績、戦略を強調したのが、「ミッションクリティカル」と「AI」の2つだ。

 ミッションクリティカル領域では、Orcle Cloudを通じて基幹システムのクラウドシフト/モダナイゼーション案件を多数成功させてきた実績を強調した。またAI領域では、冒頭の三澤氏コメントにあるように、“AIエージェント時代”を迎えて従来のアプリケーション構造にパラダイムシフトが起き、データプラットフォームの重要性が再び高まるという認識を示した。

日本オラクル 取締役 執行役 社長の三澤智光氏

2026年度(FY26)の重点施策として5つを挙げた

ミッションクリティカル:クラウドシフトで多数の実績、課題はノウハウのパートナー展開

 三澤氏はまず、昨年度(FY25)のグローバルおよび日本の業績を紹介した。

 グローバルの業績は、FY25の総売上高が約8.3兆円(前年比8%増)、第4四半期時点のRPO(契約済み受注残額)が約20兆円(前年同期比41%増)。また日本も、売上高が前年比7.8%増、営業利益が同8.8%増となり「14年連続の最高益を達成できた」という。

 上述したRPOの約80%はクラウド契約が占めており、クラウド全体の成長率はFY25で24%、FY26は40%を超える見込みだという。三澤氏は「オラクルコーポレーション(グローバル)も日本オラクルも、『再成長を遂げ始めた』と言ってよいのではないか」と語る。

オラクルコーポレーション(グローバル)、日本オラクルの昨年度(FY25)業績

 FY26の重点施策の中で、三澤氏が特に力を込めて語った領域の1つが「ミッションクリティカル」だ。企業の基幹システムにおけるモダナイゼーションを支援するため、オラクルでは「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」へのクラウドシフトを支援してきた。三澤氏は「中小規模から大規模まで、本当に多くのお客様で、すごくいい仕事ができたと思っている」と自己評価する。

ミッションクリティカルシステムのOCI採用事例

 顧客事例の1つであるKDDIでは、オンプレミスで運用してきた巨大な基幹システムの老朽化と、ハードウェア/ミドルウェアの保守限界という課題に直面。そこで、OCIへのクラウドリフトを決断した。

 KDDIでは当初、2025年度末までに9システム、その後も継続的にOCIへのクラウドリフトを推進する計画としていた。ところが、オンプレミスのアーキテクチャをそのまま踏襲したクラウドリフトが「思いのほかうまくいった」(三澤氏)結果、2024年度のうちに8システムの移行を完了。その結果、クラウドリフトの対象を、当初計画の44システムから60システムに拡大することにしたという。

 「オンプレミス トゥ オンプレミス(オンプレミス環境から新たなオンプレミス環境へ)の移行プロジェクトでは、かなりの確率でスケジュールの大幅な遅延、コストのオーバーランが起きている。一方で、この(KDDIの)事例では、スケジュールは前倒しとなり、コストのオーバーランもまったく起きていない。さらに、カットオーバー後も安定稼働を続けている。明らかに、オンプレミス トゥ クラウドのほうがメリットがある、と証明できたと思う」

三澤氏は、オンプレミスからオンプレミスへの移行のほうがスケジュール遅延、コストオーバーランが起きやすいと主張した

 ミッションクリティカル領域では、SaaS型の基幹システムである「Oracle Fusion Cloud Applications」の採用も増えているという。導入事例としてビデオで紹介された三井住友フィナンシャルグループ(SMBC)では、いわゆる“Fit to Standard”を「妥協ではなく、戦略と位置付けた」ことで、大きな成果を早期に実現できたと説明。さらに三澤氏は、これからアプリケーションに組み込まれたAIを正しく働かせていくためには、Fit to Standardのアプリケーション導入が原理原則になると説明する。

 このように、基幹システムのクラウドシフトの実績を数多く積んできたオラクルだが、FY26は「そのノウハウをパートナーに展開していく」(三澤氏)ことに注力するという。三澤氏は、そこにはまだ課題も残っていると述べた。

 「こうした(クラウドリフトの)取り組みのほとんどは、これまではオラクルとお客様が主導して進めてきた。課題は何かというと、日本のパートナー様にこのノウハウをまだ伝え切れていないこと。パートナー様の多くが、『それしかやったことがないから』と(クラウドではなく)オンプレミスへの移行を選んでしまう。そこで、われわれが培ってきたノウハウを、いかに多くのパートナー様にトランスファーしていくのかが、いま最も頑張らなければいけないポイントかと思っている」

クラウドシフト、モダナイゼーションに取り組むパートナーを支援していく方針

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