WindowsPCでもThunderbolt 5(TB5)を実装したハイエンドノートが登場してきた。すでに、TB5対応のポータブルSSDドライブは発売されており、多機能のドックも発表され始めている。
各社からTB5搭載機器を借りることができたので、使い勝手や速度計測の結果を見てみよう。
TB5のスゴさは
転送速度と給電能力だ
対応機器を発売しているメーカーのサイトではTB5の詳細が解説されているので、ここでは要点だけ押さえよう。
TB5は2023年にインテルが発表した規格で、TB4やUSB4の上位になる、信号&給電規格だ。下記の表のように、双方向のデータ転送速度がTB4の40GbpsからTB5では80Gbpsと倍増している。Byteにすると、TB4の5000MB/sからTB5では10000MB/sに上がるわけだ。
また、TB5では新機能の「Bandwidth Boost」が搭載されており、一方向のデータ転送に特化すれば、最大120Gbpsの帯域幅を実現する。これにより、8Kの高解像度映像や高リフレッシュレートのゲーミングモニターへの出力をカバーしつつ、同時に高速なデータ転送も維持できる。
給電機能の上限も増強され、USB PD 3.1 EPRに対応した電力供給規格に準拠。TB4の最高100Wから、TB5では240Wの電力供給に対応する。
つまり、消費電力が高いワークステーションやゲーミングノートPCでも、TB5ケーブル1本で、データ転送、映像出力、給電を行なえることになる。
TB5を試してみようと、集めた機材はこちらです。
Thunderbolt 5採用のハイエンドゲーミングPC
ASUS「ROG Strix SCAR 18」(G835LX)
78万9800円
ROGのゲーミングノートPCの最上位モデルで、CPUはCoreUltra 9 275HX、GPUはGeForce RTX5090、メインメモリーは32GB(DDR5-5600)、内蔵ストレージは2TB (PCIe4x4)である。
インターフェースはThunderbolt5(Type-C/PowerDelivery対応)×2、USB3.2(Type-A/Gen2)×3、HDMI、有線LAN、オーディオジャック。ボディーサイズは399×298×23.5~32.0mm、重さは3480gだ。
Thunderbolt 5採用で最高80Gbps
OWC「Envoy Ultra」
2TB:7万5889円、4TB:9万8900円
(Amazon OWCショップ価格)
こちらはすでに発売されているTB5対応のポータブルSSDドライブで、MacとWindowsPCでTB5接続可能で、ChromebookやiPadでも相手によってTB3/4/5で繋がる。
ボディーはアルミで側面と底面にはフィンがあり、放熱効果を高めている。 電源供給はバスパワーで、サイズは130×75×20mm、重量327gだ。
14端子搭載で最高140W給電可能
Anker 「Primeドッキングステーション (14-in-1, 8K, Thunderbolt 5)」
4万9990円
こちらは発売となったばかりのTB5対応ドックで、なまえのとおり14の端子を搭載。ACアダプターを内蔵し、140Wの電力を供給できる。サイズは116×116×75mmで重さは約1086g。
前面ポート
・USB Type-Cポート(合計最大45W, 10Gbps)×2
・USB Type-Aポート(最大7.5W, 10Gbps)
・オーディオポート
背面ポート
・Thunderbolt5 アップストリームポート(最大140W, 120Gbps)
・Thunderbolt5 ダウンストリームポート(最大15W, 80Gbps)×2
・USB Type-Aポート(最大4.5W, 10Gbps)×2
・HDMI 2.1
・DisplayPort 2.1
・イーサネットポート(2.5Gbps)
(HDMIポートとDisplayPortの同時利用には対応していない)
側面ポート
・SDカードスロット
・microSDカードスロット
Thunderbolt 5の3製品を使って速度計測
内蔵SSDレベルの転送速度を実感
まずは「Strix SCAR 18」に「Envoy Ultra」を繋いで、速度を計ってみた。
比較対象はPCの内蔵SSD(2TB (PCIe4x4))と、愛用しているSanDiskの「Extreme Pro Portable SSD」2TB(5万3000円)。インターフェースはUSB3.2 Gen2x2で、読み書き速度2000MB/sをうたう製品である。
計測はおなじみCrystalDiskMark8.0.6のx64を使い、PCはTurboモードにして実施している。
「Strix SCAR 18」の内蔵SSDはマルチシーケンシャルのリードは6863MB/s、ライトは6311MB/sだった。OWCの「Envoy Ultra」ではリード6155MB/s、ライト5099MB/sと、同等まではいかないが、リードで内蔵の90%、ライトで80%に届いている。シングルのシーケンシャルライトやランダムライトでは内蔵より「Envoy Ultra」のほうが速く、作業上は内蔵SSDと同等の感覚で使える。
次に、Ankerの「Primeドッキングステーション」を間に挟み、TB5端子に「Envoy Ultra」を接続したところ、マルチシーケンシャルではリード・ライトとも直結した場合より数%ほど速度が落ちたが、それ以外では同等か直結以上の速度が出た。TB5のPCには、やはり「TB5」対応のドックを繋ぎたいところだ。
ちなみに、「Extreme Pro Portable SSD」では、直結でもドック経由でも、マルチシーケンシャルリード・ライトともに2000MB/sというドライブのピーク速度が出ている。
OWC「Envoy Ultra」のTB5速度が非常に速いので、TB4ではどれくらいの速度が出るのかも試してみた。
マシンはこちらも最新の「ROG Zephyrus G16」で、CoreUltra 9 285HにGeForce RTX5090搭載だが、USBのスペックはTB4である。インターフェースはThunderbolt4、USB3.2 Gen2 Type-C、USB3.2 Gen2 Type-A×2、HDMI、SDカードリーダー、オーディオジャックだ。
OWCの「Envoy Ultra」をTB4接続でした結果は、マルチシーケンシャルのリードが3934MB/s、ライトが2936MB/sで、TB5接続時の60%前後となったが、ランダムアクセスでは80~100%と、TB5に近い値が出た。
「Extreme Pro Portable SSD」ではTB4でも2000MB/sが天井になるので、OWC「Envoy Ultra」なら、その2倍の速度で運用できる。
内蔵のSSDがPCIe5に向かい、WindowsPCもスマホもタブレットもストレージ速度は10000MB/sを超えていく。今のPCがTB5ではなくても、作業用ストレージやドックを買うなら、がんばってTB5対応モデルにしたくなる。
現在のマシンでの作業もインターフェースの最高速が出るので、「先買い」は無駄ではない。
PCの買い替え時も、TB5がここまで速いなら、内蔵SSDの容量を欲張って2Tや4Tと奢るより、TB5の外付けSSDで増やしたほうが使いまわしも利く。ぜひご検討を!!
