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田口和裕の「ChatGPTの使い方!」 第35回

【無料】グーグル神AIツール5選 「Google AI Studio」はこれがやばい

2025年06月27日 17時00分更新

文● 田口和裕

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【神機能4】1000ページPDF一括解析

 大容量PDF文書の一括解析も得意分野だ。2024年8月20日に従来の300ページ制限が大幅に拡大され、現在は最大1000ページまたは2GBのPDFを一度に処理できるため、政府白書や企業の大型レポートといった数百ページ級の文書も瞬時に解析可能になったという。

 ただし、実際に処理できる情報量にはトークン数(約104万トークン)の上限があり、ページ数が多すぎる場合は一部のみの解析となる点には注意が必要だ。

 たとえば総務省統計局が公開している「日本統計年鑑(2025)」のPDFファイルは800ページ、30数MBと条件を満たしているように思えるが、実際は文字数(トークン数)が120万トークンと上限を越えてしまったため解析ができなかった。

 そこで、もう少しサイズの小さい「情報通信白書令和6年版」のPDFファイルを読み込ませてみよう。こちらはページ数は320ページとそこそこあるものの、トークン数は8万と大幅に少ないので処理できるだろう。

 まずは左側サイドメニューからChatを選び、プロンプトウィンドウの右端の「+」をクリックしてあらかじめダウンロードしておいたPDFをアップロードしよう。

 初回アップロード時に警告が表示されることがある。「他人の著作権やプライバシーを侵害するような生成」を禁止する旨の警告なので「Acknowledge(理解した)」をクリックしておこう。

 アップロードが完了したらプロンプトを入力して「Run」をクリック。

プロンプト:この情報通信白書の主要なトピックを5つ挙げ、それぞれ3行程度で要約してください。特に、AI技術やデジタル政策に関する新しい取り組みがあれば重点的に説明してください。

 多少時間はかかったが320ページから成る白書から5つのトピックをまとめてもらうことに成功した。

 文書内の数値データを抜き出してもらうこともできる。

プロンプト:日本の5G基地局数、AI関連予算、サイバーセキュリティ対策費など、この白書に記載されている具体的な数値データを表形式でまとめてください。可能であれば前年度との比較も含めて整理してください。

 資料を元にさらに深い分析を依頼することも可能だ。単純な要約や情報抽出にとどまらず、文書全体の内容を踏まえた政策分析や将来展望の考察まで対応できる。

プロンプト:この白書から読み取れる日本の情報通信政策の方向性について分析してください。特に「デジタルテクノロジーとの共生」をテーマとした政策の具体的内容と、2030年に向けた展望について詳しく説明してください。

 PDFを読み込ませて分析する作業は「ChatGPT Plus」や「Claude Pro」でも可能だが、Google AI Studioなら1000ページまでの巨大ファイルを読み込むことができるのが魅力。とは言え実際には800ページ程度でトークン制限にかかることもあり、「大容量文書処理の入門ツール」として位置付けるのが現実的だろう。

 もちろん入門ツールと言えども政府白書や企業の年次レポート(400〜500ページ)を読み込んで「この資料の要点は」「特定のデータを抽出して」といった業務なら十分活用できる。

 研究開発の現場では、複数の論文をまとめてアップロードし、「この分野の最新トレンド」「未解決の課題」といった観点で分析してもらうことで、研究の方向性を素早く把握することもできるだろう。

「プロのリサーチャーを置き換える」と言うよりは、「これまで大容量文書の分析を諦めていた人が気軽に挑戦できる」ツールと言った方が正確だろう。より高度な分析をしたい場合は同じくグーグルの無料ツール「Notebook LM」の利用を検討しよう。

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