このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 5 6 7 次へ

田口和裕の「ChatGPTの使い方!」 第34回

ローカルAI、スマホでサクッと動かせる グーグル「AI Edge Gallery」

2025年06月13日 17時00分更新

文● 田口和裕

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「Gemini Nano」で本格展開か

 グーグルのAI Edge Galleryは、スマホローカルLLMの新たな可能性を示す実験的なアプリだ。最新のGemma 3nを使った画像認識機能や、Prompt Labの多彩なテンプレートなど、これまで主流だったPocketPal AIでは体験できない機能が魅力的である。

 特に注目すべきは、5Bパラメータのモデルを2GB程度のメモリで動作させるPLE技術の実用性だ。完全オフラインでありながら、テキスト生成は実用レベルに達しており、プライバシーを重視するユーザーや通信環境が不安定な場所での利用価値は高い。

 一方で、画像認識の精度にはまだ課題が残り、ハルシネーション問題も無視できない。また、GitHubからのAPKインストールという導入方法は、一般ユーザーには敷居が高いのも事実だ。

 最も重要なのは、Gemma 3nで実証されたPLE技術が、2025年後半に登場予定の次世代「Gemini Nano」に統合されることだ。これにより、AndroidやChromeに標準搭載されるAI機能が飛躍的に向上し、サードパーティアプリからもAPI経由でアクセス可能になる可能性が高い。将来的には、キーボードアプリでの文章補完、カメラアプリでのリアルタイム画像解析、音声アシスタントの高度化など、OS全体でのAI体験が根本的に変わるはずだ。

 AI Edge Galleryは、そうしたスマートフォンAIの未来を一足早く体験できる貴重なプラットフォームといえるだろう。

 なお、ローカル実行とは言え、モデル自体に学習時から安全性制約が組み込まれており、残念ながら一定のガードレールが設定されているようだ。

田口和裕(たぐちかずひろ)

 1969年生まれ。ウェブサイト制作会社から2003年に独立。雑誌、書籍、ウェブサイト等を中心に、ソーシャルメディア、クラウドサービス、スマートフォンなどのコンシューマー向け記事や、企業向けアプリケーションの導入事例といったエンタープライズ系記事など、IT全般を対象に幅広く執筆。2019年にはタイのチェンマイに本格移住。
 新刊:発売中「生成AI推し技大全 ChatGPT+主要AI 活用アイデア100選」、:https://amzn.to/3HlrZWa

前へ 1 2 3 4 5 6 7 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ