レノボ、Windows 10 EOSやGIGAスクール2期もあり「2025年は慎重なかじ取りに」

文●市川/ASCII 編集⚫︎ASCII

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レノボ・ジャパン合同会社 代表取締役社長 
檜山 太郎氏

 レノボ・ジャパンは5月27日、2025年度の同社ビジネス戦略についてのメディア向け発表会を開催した。

 冒頭で同社代表取締役社長の檜山氏は、レノボの企業理念「Smarter Technology for All」に基づき、技術を通じて日本の産業界に貢献することを大きなミッションとして活動していることを説明。

 同社は、PC・デバイス関連のIDG、インフラ事業のISG、サービス・ソリューションのSSGという3つの事業グループで構成され、グローバルで180市場、7万人の従業員、18の開発拠点、30以上の製造拠点を持ち、国際情勢の変化に対応できる柔軟なサプライチェーンを構築していることが紹介された。

 また、昨年度については、売上が21%、利益が36%伸長したことが報告され、特にPC以外の領域(サービスを含む)が全事業の47%を占めるまでに拡大したことから、レノボが単なるハードウェアメーカーではなく、ソリューションプロバイダーへと進化していることが強調された。

 FY25の事業環境に関しては、Windows 10のEOS(サービス終了)が10月に控えていることやGIGAスクール構想によるPC需要が前半の数量的なピークをもたらす一方、後半に向けては各メーカーの技術やAIへの取り組みが重要になるという見通しが示された。

 これに対応するため、デバイスとしては軽量で高効率なデバイス(ThinkPad)の投入や、製品価格にSIMサービスを5年間含めるConnectサービスなどを提供するとした。

 教育向けでは、GIGAスクール構想に対応し、MIL規格準拠やショートしない基板設計など、子供たちの激しい使い方に耐えうる堅牢なPCを提供しており、GIGA 1での経験を製品開発に活かしていることが述べられた。

 法人向けIT部門支援については、テレワーク普及でIT部門のデバイス管理作業が増加した現状に対し、レノボが導入から展開、資産管理、破棄までをサービスで提供し、IT部門がDXやデータ活用といった、より戦略的な業務に注力できるよう支援する方針が示された。

 続けて、AIへの取り組みについてはIDC CIO調査の結果が共有された。それによると、昨年に比べて、日本企業のAIへの投資割合は約6割増加し、AI PCの試験導入または計画が4割近くに達していること、またAIワークロードのインフラ投資先としてパブリッククラウドよりオンプレミス、プライベート、ハイブリッドクラウドを選択する割合が高いことが明らかになったという。

 またAIの具体的な活用方法は、日本では財務が1位、マーケティングが2位、IT運用が3位となっているようで、檜山氏もFY25に入ってAI関連の問い合わせが増加しており、ユーザーニーズの標準化の兆しが見られると述べていた。

 同社ではFY25を「Smart AI for All」として、AIに対応したデバイスやサービス、使い勝手を提供することを目指している。

 とくに、ハイブリッドAI(個人、組織内、パブリック)のシームレスな管理・運用が重要となるとしていて、AIが個人の日常やビジネスシーンに深く入り込むことで利便性が高まる一方、それを受け入れるかどうかはユーザーによって意見が分かれるため、慎重かつ段階的に進める必要があると述べていた。

 最後に檜山氏は「ポケットからクラウドまで」のエンドツーエンドの製品ポートフォリオ(携帯/Motorola、PC/タブレット、サーバー、データセンター、ネットワーク)を持ち、Microsoft Copilot+ PCへの対応や折りたたみ式PCなどの技術革新を通じて多様なユーザーニーズに応えていく方針とした。

 またレノボの社会的貢献活動として、F1やFIFAワールドカップといったスポーツの技術スポンサーシップ、日本の不登校生徒向けメタバース学校運営(東京、大阪、滋賀で展開)、大阪万博での骨伝導イヤホンを活用した案内システムなどが紹介され、Smarter Technology for Allの企業理念を体現する活動を通じて、日本の産業界に貢献していく決意を明確にしていた。

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