OW2開発陣もカプコン陣営の熱量もかなり高いコラボに
OW2×ストリートファイター6コラボ、EVO JAPANに個人で参戦したゲームディレクターにコダワリを聞いた
5月21日に、「オーバーウォッチ2」に「ストリートファイター6」のコラボコンテンツが実装される。発表ずみのトレーラーでは、ジュノに春麗、ハンゾーにリュウ、ウィドウメーカーにキャミィ、キリコにジュリ、ソルジャー76にガイル、ゼニヤッタにダルシム、ウィンストンにブランカ、シグマびベガのスキンがそれぞれ採用されていた。
オーバーウォッチ2およびストリートファイター6のプレイヤーであれば、興味深いコラボコンテンツではないだろうか。今回、アソシエイトゲームディレクターのAlec Dawson氏に、このコラボについてインタビューを実施したので紹介しよう。
開発陣の多くがストリートファイター6をプレイ&観戦
スキン意外にも色々なコンテンツを用意
──「オーバーウォッチ2」と「ストリートファイター6」のコラボという、ジャンルが違うタイトルのコラボは、かなり面白そうだと思っているのですが、このコラボが実現したキッカケや、きまった時期などを教えてください。
Alec Dawson氏:本作のコラボは開発陣がコラボしたい、好きな作品から選んでいるということが理由に挙げられます。開発陣の多くがストリートファイターを遊んだり観戦したりするので、さまざまなコラボの提案のなかで、ストリートファイターの名前は必ずありました。オーバーウォッチの全体的な美術のスタイルだったり、少し現実離れしたキャラクターが画面いっぱい飛び回るというのも、ストリートファイターに影響を受けたというか似たところではあります。コラボは1年以上準備してきましたので、もうすぐ実際に遊んでもらえると思うとすごくワクワクします。
──ストリートファイターとのコラボということで、日本からの注目度もかなり高いと思われます。スキンの数も過去最多ということでとても力を入れられている印象ですが、今回のコラボに懸ける思いなどをお話いただけますでしょうか。
Alec Dawson氏:これ以上ないくらいワクワクしているというか、内部でコンセプトアートが出回ってからモデルが描き起こされて、実際にスキンが実装されたヒーローがゲーム内で動くというところまで見てきて、すごく素晴らしく思いました。最近の内部のプレイテストでは、ほとんどのシグマがベガになっていますし、私もウィンストンを使うときは必ずブランカのスキンを使っています。ようやくプレイヤーの皆さんもスキンをつけて遊べるということで、開発陣総出で興奮しています。また、今回のコラボでいいなと思うところは、今回スキンが採用されたキャラクターの多くが、「スタジアム」モードで使用可能という点です。さらに来シーズンゼニヤッタもスタジアムに追加されるので、ぜひダルシムのスキンを使用していただけると、よりストリートファイターっぽくなるなと思って、すごく楽しみにしています。
──オーバーウォッチのコラボといえば、特殊なエフェクトやボイスも思い浮かぶのですが、そちらは用意されていますでしょうか。また、用意されている場合はコダワリも教えてください
Alec Dawson氏:今回のコラボはとくにがんばったという感じがします。ボイスにしてもエフェクトにしても、ストリートファイターを象徴するような要素が出てきます。例えばスピニングバードキックや波動拳といったボイスもありますので、ビジュアルとセリフ両方でストリートファイターっぽさを楽しめると思います。また、細かい部分なのですが、より格ゲーらしい音ということで、スキンを使用している際に、近接で攻撃すると、より格ゲーらしい音が出るようになっていますので、そこにも注目していただきたいです。あとは、ストリートファイターといえば、車を殴るボーナスステージも印象的です。そのため、竜巻旋風脚や昇竜拳を繰り出しながら車をボコボコにするというシーンもみられるかもしれません。双方のファンが楽しめる内容になっていますし、楽しい時間を過ごせると思います。
──FPSのタイトルに対戦格闘ゲームのキャラクターを登場させるにあたり、デザイン面ではどのような工夫が必要でしたか? ストリートファイターの筋肉質な体型や衣装を用意して、それをオーバーウォッチの世界に馴染ませる必要があると思うのですが、ヒットボックスに影響を与えないということも重要だと思います。こういった技術面での調整は、どのように行なわれたのか、苦労した点も含めて教えてください。
Alec Dawson氏:全体的なバランスはあると思います。いつもほかのIPとコラボさせていただくときは、オーバーウォッチのヒーローがコスプレをするという説明をしています。今回、やはりストリートファイターのキャラクターは筋肉へのコダワリがすごいですが、例えばジュノはやはり春麗のような筋肉はしていないわけです。そのため、コスプレっぽさはどうしても出てしまうと思います。ほかのヒーローについては、いつもより頑張りました。とくにシグマは本当にベガのシルエットにしたかったですし、ゼニヤッタのダルシムも足がいつもより伸びそうと思ってもらえるようにがんばりました。なので、ストリートファイターに歩み寄るようなデザインになるようにがんばったコラボだと思います。
──ストリートファイターの顔ともいえるリュウがハンゾーだったのがとても驚きました。ハンゾーがリュウになった理由は、やはりアルティメットでドラゴンを使うからでしょうか?
Alec Dawson氏:ストリートファイターとのコラボですから、やはりリュウと春麗は入れなきゃいけないよねということになったので、では誰が主役になるかと考えたときに、ハンゾーがしっくりきました。日本人というルーツもあるので、自然に選ばれたという感じです。
EVO JAPAN 2025に参加!
カプコンの熱量もかなり高かった
──普段から対戦格闘ゲームをプレイされるのでしょうか。また、好きなキャラクターがいれば教えてください。
Alec Dawson氏:個人的にも対戦格闘ゲームは大好きです。今回、EVO JAPAN 2025にも、プレイヤーとして参加しました。キャラクターは、ストリートファイターIV時代からブランカを使っています。Blizzardでは、定期的にみんなで集まって遊ぶ仲間がいますし、今回のストリートファイター6は、もうみんなのめり込んでいます(笑)。
──今回のコラボでカプコンさんともやりとりをされたと思いますけど、印象的なコミュニケーションやフィードバックはありましたでしょうか。
Alec Dawson氏:コラボ先として、とても素晴らしい会社だと思っています。今回、美術やアニメーション、音楽といったさまざまな資料を送っていただきました。コラボの最初から最後までサポートがすごく手厚くて、コラボでできるだけストリートファイターっぽさをだしてほしいという熱意をすごく感じ取れました。今回、会社の枠を飛び越えて、ほかのゲームスタジオさんとのIPコラボをするのが初めてだったのですが、おかげさまで最初から最後まで本当にスムーズに進めることができました。
──オーバーウォッチ内で、格闘という意味では一番ファイターらしいドゥームフィストがいますが、今回彼はスキン候補にいたのでしょうか?
Alec Dawson氏:テスト時には候補に挙がっていました。キャラクターは、もちろんバイソンです。しかし、シルエット的に巨大なボクシンググローブ1つというのがしっくりこなかったので、今回は見送ることにしました。今回のコラボによって、ぜひまたカプコンさんとコラボしたいというふうに思っていますので、もし次回があるとしたら、再度検討したいです。
日本のコンテンツは熱意を感じるしカッコいい
どちらのゲームも遊んでほしい
──オーバーウォッチのコラボは、今回のストリートファイターに加え、カウボーイビバップや僕のヒーローアカデミアなど日本のコンテンツとのコラボが多いですが、こちらは何か理由がありますでしょうか。
Alec Dawson氏:日本のコンテンツはすごくカッコいいものをたくさん作っているし、すごい熱意をもっているように感じます。そのため、オーバーウォッチの開発陣にもファンが多いですし、今回のストリートファイターも、開発陣が熱意をもって大好きといえる作品です。また、社内のSlackのチャンネルの1つに、オーバーウォッチの次のコラボは何がいいかというチャンネルがあり、そこでも日本のコンテンツは多数見られるほか、ストリートファイターのファンもとても多く、ストリートファイター6が出たときはみんなで「対戦しようぜ!」って盛り上がりました。「この人もストリートファイターやってたの?」って思う人も遊んでいるくらい、社内でも人気でした。
──対戦格闘ゲームとのコラボは、異色な組み合わせだとおもうんですけど、どのような効果を生むとお考えですか?
Alec Dawson氏:オーバーウォッチを遊んだことがないストリートファイターのファンの方が、オーバーウォッチを試してくれるといいなとは思っています。特定のキャラクターを深堀して、色々と学んで前までできなかったことができる達成感は、どちらのゲームでも似た点があると思っています。キャラクターの詳細というか、深堀していくとより面白くなるという点は、通じるところがあると思っていますし、ぜひオーバーウォッチのプレイヤーも、ストリートファイター6で遊んでみてほしいです。
──私はストリートファイター6ではジュリを使っていて、オーバーウォッチではキリコではなくほかのサポートをよく選択するのですが、これはキリコを使わなくてはと思いました。私のように、スキンによってプレイヤーのピックプールを増やすという意図はありますか?
Alec Dawson氏:さまざまなヒーローを選択することはいいことだと思っています。オーバーウォッチは、1回のマッチで複数のヒーローを選択できるということが特徴なので、より楽しみが増えると思います。そのため、スキンで使いたいヒーローが増えてくれるというのは、すごくいいことだと思います。また、コラボを通して特定の人に焦点を当てるというわけではなく、ストリートファイターのファンの皆さんにも楽しんでいただきたいです。オーバーウォッチの世界で、ストリートファイターのすばらしさをたたえたいなと思っていたので、「これが私がずっと好きなストリートファイター!」ということがひと目でわかるルックスを目指しましたし、それをヒーローにうまく落とし込めたと思っています。
──今回のトレーラーは、コミック調アニメスタイルで、独特だったのが印象的でした。ストリートファイターコラボのトレーラーをあのようなスタイルにした理由があれば教えてください。
Alec Dawson氏:今回お披露目したトレーラーは、“ストリートファイター”を前面に押し出したかったので、新しい挑戦者がきたり、波動拳が壁を破壊したり、スピニングバードキックが出せたりと、できる限りストリートファイターの象徴的なスタイルを詰め込んだトレーラーになっています。今回、実はもう1つトレーラーを用意しています。そちらの方ではどちらかというとプレイのほうを中心にしていますので、楽しみにしていただければと思います。
──最後に、日本のコミュニティーにコメントがあればお願いします。
Alec Dawson氏:今回のコラボについて、日本のコミュニティーの皆さんに理解いただきたいのは、我々は日本のコミュニティーのポテンシャルの高さをすごく理解していて、すごく評価しています。コミュニティー発祥のイベントもすごく熱があるとも感じています。皆さんのコミュニティーが今後も発展していくことを期待していますし、会社でもサポートしていきたいと思っています。
──ありがとうございました。










