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買収に関してはノーコメント でも3000人規模のイベントでそのすごさは伝わった

OpenAIを魅了したWindsurf その野心は「開発にかかる時間を99%削ること」

2025年05月08日 07時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII

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 2025年5月7日、日本マイクロソフトのオフィスで開催された「AI駆動開発Conference Spring 2025」では、OpenAIによる買収が報道されたばかりのWindsurfのCEOらが登壇。会場の参加者が一番知りたかったOpenAIとの関係については「ノーコメント」だったが、OpenAIのようなトップAI企業がなぜWindsurfを魅力的に感じたかは理解できた。

イベント会場は開発者たちで満員となった

Cursorと双方をなすAIエディター「Windsurf」

 有志とスポンサーによって開催された今回の「AI駆動開発Conference Spring 2025」。現地開催が245人が満員となり、オンライン参加は2800人強という集客。この数ヶ月で一気に業界を変えつつあるAI駆動開発への高い関心が伺える。

 冒頭、基調講演にオンラインで登壇したのはOpenAIによる買収が報じられたWindsurf CEOのヴァラン・モーハン(Varun Mohan)氏。「The Making of Windsurf, Why We Built It」というタイトルで、Windsurf(Codeium)の会社概要とビジョンについて説明した。

 WindsurfはMIT卒業生を中心に2021年に創業。当初はExafunctionというGPUのインフラ企業として立ち上げられたが、その後はCodeiumと社名を変更してVS CodeのフォークとなるAIエディター「Windsurf」をリリース。リリースから3ヶ月後でユーザーは100万人を超えた。競合としては日本企業でも導入が増えているCursorが挙げられる(関連記事:「めちゃめちゃ文章を書くのが楽になった」―― AIと共に書く時代)。

Windsurfの創業からの歩み

 Agentic IDEを謳うWindsurfは、複雑なタスクをこなすために独自の検索・コンテキストエンジンを搭載し、自然言語を用いたソフトウェア開発を可能にする。IDEという名前の通り、AIネイティブのエディターに加え、各種ツールと連携する各種プラグインなども利用でき、同日にはレビューツールも加わった。機能としては、オートコンプリートや提案を行なうタブ、チャットによる開発支援を行なうカスケード、インラインでのコード編集を可能にするコマンドなどを備え、いよいよワークフローも追加された。

野心的な目標を達成するための圧倒的な進化スピード

 現在はエンタープライズ企業をターゲットとし、セキュリティやコンプライアンスにも注力している。Windsurfを導入したエンタープライズユーザーとして紹介されたのは、2万人のエンジニアが所属するJPモルガンチェイスだ。

 同社ではWindsurfにより、ユニットテストのコード記述に費やす時間を40%、コードの理解するための時間を68%も削減した。生産性とオンボーディングの向上により、1000人のエンジニア増員が可能に。AI開発の導入で人員削減されたわけではない点がポイントと言える。こうしてテクノロジーのイノベーターとして価値創出が認められたWindsurfは、JPモルガンチェイスから「Hall of Innovation」の称号を得て、殿堂入りしたという。

JPモルガンチェイスでのWindsurfの導入効果

 また、小売大手のユーザーでは、新規コードの記述時間を43%まで削減。プルリクエストにかかる時間も17%削減し、トータル400万時間を削減できた。とにかく開発にかける時間を大幅に減らせるのが、Windsurfの魅力と言える。

 そしてWindsurfが掲げる究極の目標は「開発時間の99%削減」。この野心的な目標こそがOpenAIを魅了したのは間違いない。「今は50%まで実現できた。あと50%だ」(モーハン氏)とのことで、卓越したエンジニアたちが「ウェーブ」と呼ばれる新機能をリリースを続けている。ウェーブは試験的な機能も含めて、2~3週間という単位でリリースされ、「6ヶ月前のバージョンが古く思えるくらい」という迅速な進化を遂げるとのこと。同日リリースされたウェーブ8ではMicrosoft Teamsとの連携を実現している。

「Our Journey To 99%」

エンジニアだけがソフトウェアを作る時代は終わる

 登壇では、「Windsurf日本ラウンチをテーマにしたWebアプリ」をスクラッチで開発するというデモも披露された。あくまで開発者の作業を支援する立場のAIアシスタントに比べ、アイデアを元にエージェントが能動的にアプリを作ってしまうWindsurfは、ソフトウェアの開発という工程に大きな変化を促す存在になりそうだ。

 Windsurfは、今までコーディングをしたことのないパワーユーザーでも、アプリケーションを作れるという価値を創出する。これがノーコード・ローコードの延長線上に位置するAI開発ツールの大きなインパクトだ。実際、グローバルの開発者人口は現在の3000万人から4000万人に増加すると見られており、「エンジニアだけがソフトウェアを作る時代は終わる」とモーハン氏は語る。

 モーハン氏に続いて事例を紹介したWindsurfのガートナー・ジョンソン氏は、そんなパワーユーザーの代表とも言える。以前はコードを書いた経験はないが、現在は100%Windsurfを使って、先月は10万行以上のコードを書いたという。

コードを書いた経験がないのに、Windsurfでコードを書いているガートナー・ジョンソン氏

 Windsurfは、コードの自動生成やレビューの効率化などを通して、開発者の生産性向上を実現する。新しいコードの46%はすでにWindsurfに記述され、この比率はすでに60%に達しているという。パーソナライズされたコードの承諾も38%となり、開発者の信頼度も高まっている。1日あたりのトークン数も4000億を超えるとのことだ。

 AI開発ツールの進化で開発者の役割は大きくシフトするという。「今までエンジニアは『なにを作るか』『どうやって作るか』『ビルドする』という3つの課題を抱えていた。しかし、このうち『どうやって』と『ビルドする』に関しては、すでにAIは優秀だ。エンジニアは『なにを作るか』に軸足を置き、本来やるべき難しい課題を解き、価値を見いだすことに集中できる」とモーハン氏は語る。

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