原作サイドとも綿密に調整

開発陣にガチファン多数でコダワリと熱量がスゴイ「ディアブロ」×「ベルセルク」コラボインタビュー

文●八尋 編集●ASCII

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ガッツのマントはかなりこだわった
キャラクターをどのクラスに割り当てると自然になるかもかなり考えた

どのクラスにどのキャラクターを割り当てるかは結構考えたという

──世界観に共通点があって落とし込みやすかったとのことですが、逆にここは難しかったという点はありますか?

Emil Salim氏:ゲームコンセプトやビジュアル的にはマッチしていることがあるので、全体的にはやりやすかったというのが正直なところです。ただ、難しくて何度かトライしたのは、ガッツが羽織っているマントです。甲冑の一部ではあるんですけど、このマントのテクスチャをゲーム内に落とし込むというのが難しかったです。漫画の感じを出すために、何回か違うバリエーションを試みました。

ガッツが羽織っているマントは、とてもコダワったとのこと

Viviane Kosty氏:開発陣がベルセルクが大好きなので、熱意も強かったというのがやりやすかった理由の1つです。ただ、強いてあげるのであれば、骸骨の騎士の甲冑ですね。実際に漫画のサイズ感をゲーム内に落とし込むとなると、腕が甲冑を突き抜けたり、甲冑と同化したりすることが起きてしまったので、このサイズをキープしながらゲームに落とし込んでも自然に見えるようにするというのは、かなり注意して作りました。今回のコラボを制作するうえで、将来に向けて勉強になった部分もあったので、それはすごくいい経験になったと思っています。

──それぞれのクラスにおいてどのキャラクターを割り当てるかというのはどう決まったのでしょうか?

Emil Salim氏:どのクラスにどのキャラを割り当てたときに自然に見えるかというのが一番大事だったかなと思います。もう少し詳しく話しますと、ガッツに関しては2通りのセッションがあります。1つは甲冑を来ているバージョンと、もう1つは傭兵時代のバージョンがあります。これを2つのクラスに分けました。ローグには、傭兵時代のガッツを割り当てました。これは、ローグがヒットアンドアウェイの戦闘を使うタイプなので、傭兵時代の戦闘スタイルが合っているなと感じたからです。もう1つは、バーバリアンは近接戦闘特化タイプなので、狂戦士の甲冑を割り当てました。この狂戦士の怒りといったものが戦闘スタイルとしてよく見せられるのが、バーバリアンしかいないと思っていたので、この選択肢になりました。基本的には、ゲームに落とし込んだときにできるだけナチュラルになるように選択するということを念頭に置いて、キャラクターの割り当てを決めました。

Viviane Kosty氏:今回のコラボの割り当てについてですが、イモータルのほうはどちらかというと、ベルセルクのストーリーの部分をイモータル内で再現してみたかったというのが根本にあります。生存者の厄災というイベントを実施しようと考えていまして、漫画の敵キャラクターを登場させたり、ガッツが体験した蝕に関しても、極力近いものを再現しようとして、イベントを作り上げました。そのため、装備だけではなく、ストーリーの部分もみんなで楽しんでほしいです。もちろん装備でも、原作のアイディアをいっぱいだせるように心がけましたし、開発陣がやりたかったことは、今回のゲームではできたのではないかと思っています。

Emil Salim氏:これは付けたしになりますが、アーティストとしてこのコラボをやるよと聞いたときは、ベルセルクに関して知ってはいたのですが、この機会に改めてガッツリ読み込みました。最終的にコラボが終わるくらいには、ガチガチのファンになっていました。そのため、時間は有限でしたが、どちらのタイトルでもコアな部分はしっかりと作り込まなくてはという意気込みで、開発してきました。ただ、皆さんもご存知のとおり、ベルセルクの世界観はすごいので、そういった意味でもほかにやりたかったことは結構あった中、ベルセルクファンならこれを選ぶだろうというチョイスになっていると自負しています。

Viviane Kosty氏:さらに付け加えると、コンテンツが色々ありすぎて何を選ぶか迷うとなった際、最終的に落ち着いたのが、黄金世代のストーリーの部分でした。ここがベルセルクのコアなストーリーの最初の切りだしのところだと感じますし、一番アイコニックな部分になるので、ここにフォーカスしてやったほうが、原作側もゲームファン側も納得いくのではと思い、今回はそこを包括しました。

原作の世界をどれだけディアブロの世界で表現できるか
ゾッド戦や蝕イベントも気合十分なコダワリ方

──イモータルの方で、ゾッドとのボス戦や蝕をモチーフにしたであろうステージについて、原作の激しい戦いをどうゲームプレイに落とし込んだのでしょうか?

Emil Salim氏:今回、イベント+ボス戦ということになりますけど、こちらは分けて体験することができます。イベントをやらないとゾッドと戦えないという風にはなっていません。イベントの方は、蝕を再現したらどうなるかということをモチーフに制作しました。なので、イベントを進めていくうちに蝕が発動します。発動した後、ゲーム内の敵がどんどん湧いてくるというのはもちろんなんですけど、漫画を再現しているほか、実際敵の強さも上がったりしています。また、蝕発動中はプレイヤーはダメージを受けたりと、追加の要素が入っていますので、そういった形でゲーム内で蝕を体験いただけるんじゃないかと思います。ゾッドのボス戦は、これはもう黄金時代のかなりアイコニックな場面になているという風に僕らも思っていますし、原作ファンの方もそう思っていると思いますので、どれだけ忠実に再現できるかが課題になりました。主なポイントですが、ゾッドとガッツ、グリフィスがたたかっているときに、アイコニックなポイントだったりとか、セリフが登場したりします。それを極力ゲームの中でも再現したいと思いながら、今回のボス戦をデザインしました。また、ゲーム内で手に入るベヘリットを装備した状態で戦いに挑んでみてほしいです。これは、開発側からのヒントになります。

ゾッド戦が楽しめる。原作通りであれば、結構絶望

蝕もできるだけ漫画を再現しているとのこと

ベヘリットを持った状態でゾッド戦に挑んでほしいとのこと

──ディアブロIVとイモータルだと、IVが魑魅魍魎イモータルがゴーレムがペットとしてピックアップされていますが、それぞれ選んだ理由があれば教えてください。

Viviane Kosty氏:魑魅魍魎を選んだ理由としては、実際かなり色々なチョイスの中から選択しました。ペットにしたら喜ぶだろうなと思うキャラクターはいっぱいいたりするんですけど、開発陣の方で一番印象に残るのが魑魅魍魎だなという風に、皆で考えました。ベルセルクの世界はダークなんですけど、なぜかこのキャラクターは見ていると安心感があるといいますか、なんだか変な気持ちになるのが、やっぱり印象強いというところがあります。なので、ディアブロの世界も希望がないような世界観なんですけど、この中に魑魅魍魎みたいなキャラクターが入ってきたら、安心要素といいますか、緩和剤になりそうだなと思いました。もちろん、ファンサービスというのもあります。BLIZZARDの社風として、ファンベースを大事にしたいというのがあるので、ゲームのファンもベルセルクのファンもしっかり尊重したチョイスという意味で、魑魅魍魎が一番それにふさわしいんじゃないかなと、私たちで思っていました。

ディアブロIVでは、魑魅魍魎がペットに

Emil Salim氏:開発がスタートした時点でかなりチームと密にプランを練って、今回の2つのイベントを作り上げましたので、先にディアブロIVのチームが魑魅魍魎を選んだので、イモータルのほうはゴーレムでいこうかなと考えました。原作だと色々な形のゴーレムがいたりするので、ゴーレムもペットにしやすいのではないかと考えました。原作のチームの方々とも話し合って、カスタマイズしたいとお願いしたところ、かなり協力的にOKをもらいました。そのため、ごれーむは葉っぱのカスタマイゼーションが入っていたり、ちょっと光っていたりと、一味違うゴーレムも存在します。

イモータルではゴーレムがペットに