2CCD構成なぶんだけ不利になる場合も
ここまでの検証で3D V-Cacheは一般的な処理(アプリ)ではメリットが得られにくいことが判明した。ここから先はいよいよゲームでの検証である。今回はCPUパワーの差が知りたいため、画質は低設定&解像度はフルHD(1920×1080ドット)とし、ゲームグラフィック描画においてGPU側にボトルネックが発生しにくい状況を作った。言い方を換えれば、CPU側で実行するゲームの処理をどれだけ回せるかに注目するテストである。ちなみにフレーム生成は一切使用していない。
フレームレートの計測には「CapFrameX」を用い、フレームタイムは「MsBetweenDisplayChange」基準による集計とした。なお、Pownetics v2を接続している関係でGPU(Radeon RX 9070 XT)はPCI Express Gen 4接続としている。
「Overwatch 2」
Overwatch 2ではAPIはDirectX 11、画質「低」をベースにレンダースケール(RS)100%、さらにフレームレート上限を600fpsに設定。マップ“Eichenwalde”におけるBotマッチを観戦中のフレームレートを計測した。
Ryzen 9 9950X基準で見るとRyzen 9 9950X3Dは確かにフレームレートが伸びているが、Ryzen 7 9800X3Dと大差ない。ただ今回の検証環境の場合フレームレートのソフト的なキャップ(600fps)に引っかかってしまい、CPUの性能が出し切れていない感がある。ただそれでも最低フレームレートではRyzen 9 9950X3D>Ryzen 7 9800X3Dとなっており、コアが増えたことのメリットが示唆されている。
「Call of Duty (Black Ops 6)」
Call of Dutyは「Black Ops 6」を使用した。画質は「低」、レンダースケールは100%に設定。ゲーム内ベンチマーク再生時のフレームレートを計測した。
今回テストしたゲームの中でこのBlack Ops 6がRyzen 9 9950X3Dの強さが示されたゲームであった。Ryzen 9 9950Xに比べると最低フレームレートが40fps近く上がるだけでなく、Ryzen 7 9800X3Dに対しては平均フレームレートで25fps近く伸びている。ただしこの差を得るためにRyzen 7 9800X3Dを捨ててRyzen 9 9950X3Dにするメリットはあるとまでは言えない。
「Monster Hunter: Wildsベンチマーク」
Monster Hunter: Wildsは公式のベンチマークツールでは画質は「低」、レイトレーシングは使用せずFSR 3は「ネイティブAA」として利用する。ベンチマークシーン再生時のフレームレートを計測した。
Monster Hunter: Wildsベンチマークの画質設定は今回使用した低設定よりもさらに軽い「最低」設定もあるのだが、最低設定にするとテクスチャーの荒れが酷いためあえて低設定でテストしている。
フルHDかつ画質も抑えているため超高fpsが出るかと思っていたが、実際は平均144fpsあたりで頭打ち(V-Syncの影響ではない)になってしまった。Ryzen 9 9950X3Dは9950XやCore Ultra 9 285Kに対してはアドバンテージがあるものの、Ryzen 7 9800X3Dと横並びの結果になった。
「S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl」
S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobylでは画質「低」、アンチエイリアスは「TAA」、フレーム生成もオフとした。ゲーム中最初に到達する拠点内において一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
平均フレームレートでのトップはRyzen 7 9800X3D、続いて僅差でRyzen 9 9950X3D、3番手にCore Ultra 9 285Kと続いた。Ryzen 9 9950X3Dや9950Xは平均フレームレートは比較的出ているもののRyzen 7 9800X3Dに比べるとフレームレートの落ち込みが激しい。2CCD構成ゆえの弱点と断言できるだけの材料はないが、グラフはそのようなことを示唆している。
「Kingdom Come: Deliverance II」
Kingdom Come: Deliverance IIでは画質「低」とし、アップスケーラーはオフとした。マップ内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
ここでもRyzen 9 9950X3DはRyzen 7 9800X3Dのすぐ後ろまで詰めているが平均フレームレートで抜き去ることはできなかった。このゲームではRyzen 9 9950X3DやCore Ultra 9 285Kが3D V-Cache搭載Ryzenに平均フレームレートにおいて肉迫しているが、最低フレームレートの出方において3D V-Cache搭載モデルが強いことがよくわかる。

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