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GeFore RTX 50シリーズまとめ 第20回

RTX 5070 Ti・4070 Ti・RTX 4070、Radeon RX 7900 XT・GREとも比較

GeForce RTX 5070、RTX 4090に上下関係を叩き込まれる

2025年03月04日 23時00分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトライッペイ/ASCII

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画像系のAI処理でも当然のように勝つRTX 4090

 再びUL Procyonに戻り、今度は「AI Computer Vision Benchmark」を試す。このテストは画像に対する認識処理や、超解像といった用途での推論回数をベースにスコアー化するテストである。UL ProcyonのAI系ベンチマークの中では初期から入っているテストだが、RTX 50シリーズに対応するTensorRTがようやくUL Procyonに組み込まれたので検証に加えた次第だ。

GeForce RTX 5070、RTX 4090に上下関係を叩き込まれる

UL Procyon:AI Computer Vision Benchmarkの総合スコアー

GeForce RTX 5070、RTX 4090に上下関係を叩き込まれる

UL Procyon:AI Computer Vision Benchmarkにおける推論回数(その1)

GeForce RTX 5070、RTX 4090に上下関係を叩き込まれる

UL Procyon:AI Computer Vision Benchmarkにおける推論回数(その2)

 RTX 4090にはタスクが軽すぎるのか、LLMに比べるとRTX 4090の輝きはそれほど感じられない。しかしながら、Real-ESRGANではほかのGPUよりも頭ひとつ抜けている印象だ。このテストだけで見ると、今となってはありふれたAI用途においては、RTX 5070はRTX 4070 Tiを上回るパフォーマンスを発揮しているシーンが多い印象だ。

 最後はUL Procyonの「AI Image Generation Benchmark」。こちらもRTX 50シリーズ+TensorRTで動く環境が整ったので、テストを実施した次第だ。テストは最も重い「Stable Diffusion XL (FP16)」を選択した。GeForceならばTensor RTを、RadeonならばONNXを利用している。

UL Procyon:AI Image Generation Benchmarkにおける総合スコアー

UL Procyon:AI Image Generation Benchmarkにおける画像1枚あたりの出力時間

 このテストは1024×1024ドットの画像を1枚ずつ、合計16枚出力するタスクが実行される。ここでもRTX 5070がRTX 4090の半分程度の性能であることがわかる。RTX 4070 Tiと比較した場合は、SM数の規模の違いがモノを言うらしく、RTX 5070はRTX 4070 Tiの85%程度の性能にとどまった。

 ただし、RTX 4070と比較すればSM数は純増となるため、RTX 5070は総合スコアーにおいて22%程度高いスコアーを獲得している。ここまでのテストの結果から言うに及ばずだが、世代間における性能向上はもちろんきっちり仕上げてきているわけだ。

今回の結果は“すべてわかっていた”こと

 ここでRTX 5070 レビュー前編は終了である。RTX 5070は当初2月中の発売を予定していたが、RTX 50シリーズ全体の出荷量の厳しさから3月にずれこんだ。そのずれこんだ先の発売日は実は○○というレビュアーにとっては悪夢のような展開であった(○○の意味はすぐに明らかになるだろう)。

 待たされたぶんだけ出荷量が増えることを期待したいが、今回のRTX 5070もほかのモデルと同様に初期出荷量に問題を抱えているというウワサもあり、「いますぐ良いビデオカードが欲しい」人には生殺しも良いところだろう。

 さて、今回の検証ではRTX 5070はRTX 4090に勝てたシーンはDaVinci Resolve Studioのエンコード時間だけであった。RTX 5070がRTX 4090と肩を並べるには、DLSS MFGのゲームが必要だということは発表時点から指摘してきたことだが、今回ゲーム以外のベンチマーク結果を積み上げてみると、RTX 4090の怪物具合がよくわかる。

 いくらGDDR7を搭載したからといえ、演算器の数が幅を利かす処理では、RTX 4090に届くはずもない。やる前から“わかりきった”ことだったのだ。しかし、それはRTX 4090のSM数がRTX 5070の2.7倍弱もあるからであって、SM数の近いRTX 4070 TiやRTX 4070などと比較すると案外良い勝負になった。

 テストによってはRTX 4070 Tiに勝てないこともあったが、GDDR7のメモリー帯域が効く状況ではRTX 5070は案外良い勝負になった。RTX 5070がSM数のハンデを跳ね返すシーンも観測できた。RTX 5070は型番こそRTX 4070の後継だが、チューニング的にはRTX 4070 Tiにゲーマー向けの付加価値(DLSS MFGやSmooth Motion)を重視した後継モデルである、と位置付けても良いかもしれない。

 RTX 4070 Tiの初値(2023年1月)は15万円弱からのスタートだったので、RTX 5070のボリュームゾーンが12〜13万円ならまあ良い落としどころと言えなくもない。ただし、少しSM数を削り過ぎた結果、既存のAI系タスクでは伸びが悪く、NVEncも1基に減っているなど、お買い得感が削がれているのはとても残念である。

 となると、RTX 5070に買い換えるか否かのギリギリのボーダーラインはRTX 4070上に引かれることになる。RTX 4070からであれば、RTX 5070はSM数も増えており、DLSS MFGやSmooth Motionという今すぐ試せる恩恵も得られる。この理屈ならば、RTX 5070は性能と付加価値向上のぶんだけ値段が上がった製品と言えるだろう。

 後編は多数のゲームを利用して、RTX 5070のパフォーマンスを検証する。NVIDIAがCES 2025で見せたマジックはまやかしか、それともリアルか? 乞うご期待だ。

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