間違いを間違いと見抜ける人でないと難しい
ただ、レポートには致命的な間違いといえる点がありました。「シンギュラリティの到来を2029年に前倒しできるとも言及」としている点です。カーツワイル氏は、2029年を人間が対話してAIか人間かの区別がつかなくなるとするチューリングテストをパスする年として、1999年から一貫して主張しており、最新刊のなかでも、その主張を変えていません。一方で、2045年に到来すると予測しているシンギュラリティは「人工知能が人間の知能を超え、その後の技術進化が加速度的に進む転換点」としており、この予測の実現時期も変えていません。しかし、一般的に、チューリングテストを超えるタイミングと、シンギュラリティとが混同されることがしばしばあります。
実際、この間違いがなぜ起きたのかというと、情報ソースとして参照した記事に誤りがあったためです。参照元となるブログでは、最新刊のなかで「カーツワイルがシンギュラリティの到来時期を2029年へと前倒ししている」と紹介しており、間違えた内容が書かれていました。
Deep Researchのレポートは全体としてよくまとまっており、筆者にはこの内容を数日で書けるとはとても思えません。ただ、何度か試していると、こうした細かいミスが混じっていることを発見することがあります。検索をかけて調べる情報先は、ウェブ上の情報であるために、そのサイトの信頼性を正確に判定できないために起きるのだろうと思われます。Deep Research自身は書籍の中身を直接参照はしていないようです。
厄介なのは、文字量も膨大であり、参照先となるリンクも多数であるため、専門知識のある分野であれば、勘が働くためにこうした間違いに気が付きやすいとは思います。しかし、自分が詳しくない分野では、ミスの混入を簡単には見抜けないだろうと思えます。Deep Researchは、ハルシネーションが抑制されるように相当調整されていると感じますが、出力されたレポートがそのまま正確な情報であると受け取ることは危険であるということです。

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