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ASCII.jpが選ぶ! 2025年の注目データセンター

大阪市内で2026年1月に運用開始する“コネクティビティデータセンター”、注目を浴びる背景やターゲットを聞く

クラウド時代に選ばれるデータセンターへ オプテージ「曽根崎データセンター」はネットワークへの接続性が強み

2025年02月19日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

提供: オプテージ

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オプテージ 曽根崎データセンター(OC1)完成予想図

 「2026年1月の運用開始まではまだ1年ほどありますが、すでに想定を超える数のお問い合わせをいただいています」

 パブリッククラウドの普及によって、企業向けデータセンター市場には大きな変化が起きている。ハイブリッドクラウド構成の中で自社データセンターをどう位置付けるのか、何をデータセンターに配置すべきなのか、といった「データセンターの役割」の見直しが進む。

 関西電力グループの総合情報通信事業者、オプテージが、2026年1月に大阪市内で運用開始を予定している「曽根崎データセンター(OC1)」も、そうした市場の変化を受けて新設されるデータセンターだ。そのキーワードは「コネクティビティ(接続性)」だという。

 コネクティビティをコンセプトとして掲げるこのデータセンターは、どんなユーザーに、どんなメリットをもたらすのか。オプテージでデータセンターとクラウドビジネスの責任者である津田和佳氏に、詳しく話を聞いた。

オプテージ ソリューション事業推進本部 副本部長(データセンター、クラウド)の津田和佳氏

オプテージの国内/海外バックボーンネットワーク

「コネクティビティ重視」のデータセンターが求められる理由

 オプテージ 曽根崎データセンターは、14階建(うちサーバールームは7.5フロア)で最大1,200ラック程度収容可能な都市型データセンターだ。その略称である「OC1」が「Osaka Connectivity 1」を意味することからも分かるように、その設計においては特に「ネットワークへのコネクティビティ」が重視されている。

 こうしたコンセプトを採用した背景には「クラウド時代の新たなユーザーニーズ」があることを、津田氏は説明する。

 「お客さまシステムのクラウド移行が進んでいますが、もちろん『すべてをクラウドへ』というわけではありません。オンプレミス、つまりデータセンターに残す必要があるシステムやデータも必ずあります。そこで、『クラウドとの接続がしやすいデータセンター』に対する需要が非常に高まっています」

 企業におけるクラウド利用が成熟し、ハイブリッドクラウドやマルチクラウドの構成も一般化したことで、「オンプレミスとクラウド」や「クラウドとクラウド」を連携させる必要が生まれてきた。そこで、データセンターのコネクティビティという側面に注目が集まりはじめた。

 具体的にはまず、メガクラウド等が主要都市に設置するダイレクト接続拠点(POP)と、大容量/低遅延のネットワークで容易に接続できる機能を備えることがポイントとなる。

 コネクティビティを重視するもうひとつの理由は、エンドユーザーに快適なインターネットサービスを提供したいと考える企業への対応だ。ここでは、インターネットトラフィックの相互接続拠点となるIXや大手ISPと、大容量/低遅延のネットワーク接続を提供できることがポイントとなる。

 「動画配信やゲームといったコンテンツサービスはもちろん、最近ではより一般的なサービスにも動画が組み込まれるようになり、トラフィック量は急増し続けています。今後もこの傾向は続きますから、快適なサービスを提供するためにも、やはりデータセンターには高いコネクティビティが求められます」

 こうしたコンテンツサービス事業者は、国内では東京(東日本)を拠点としていることが多いが、ユーザーの増加に伴って「西日本にもデータセンターを持ちたい」というニーズが高まっているという。エンドユーザーに近い場所にデータセンターを構えれば、より低遅延で快適なサービスが提供できるからだ。同時に、東西にデータセンターを持つことで、大規模障害や災害などへの備え(BCP/DR対策)にもなる。

「オプテージ OC1」が持つ“高いコネクティビティ”の特徴

 こうしたデータセンターニーズの変化をふまえて新設される曽根崎データセンター(以下、OC1)は、具体的にどのようなメリットを提供できるのか。

 まずはデータセンターの「立地」からだ。OC1は、大阪の商業中心地である梅田エリア(大阪市北区)に立地する。主要駅(大阪駅/梅田駅/新大阪駅など)からのアクセスの良さはもちろんだが、それだけではない。関西でのIXやメガクラウドなどのネットワーク集積拠点となっている堂島エリアや心斎橋エリアとの距離が近い。

OC1の立地は、大阪都心にあるオプテージの既存データセンター、他社主要データセンターが位置するエリアとの距離が近い(3km圏内)

 通信事業者であるオプテージは、堂島エリアや心斎橋エリアに直結する光ファイバー回線を自社保有しており、これを使ってOC1からの接続サービスを提供できる。つまり、OC1に設置されたラックは、メガクラウドのPOPや主要IX、ISPと、大容量/低遅延でネットワーク接続できるわけだ。

 さらにOC1には、大手3社のIXサービス(JPNAP、JPIX、BBIX)が接続拠点を開設することも発表されている。加えて、データセンター間接続のサービス提供も予定している。つまり、堂島エリアや心斎橋エリアに続く大阪都心の新たなネットワーク接続ポイント、トラフィックの集約拠点となるデータセンターとして、OC1はインターネットや他のデータセンターへも高いコネクティビティを持つことになる。

 他のデータセンターやIX/DCIサービスへの接続工事が短期間で済むように、OC1の各ラックにはあらかじめ接続用パッチパネルがラック上部に設置されている。顧客の機器からここに接続すれば、構内接続(クロスコネクト)が簡単にできる仕組みだ。そのため、IXやDCI、データセンター内の他のラックとの接続ならば、申し込みから1週間程度で利用開始できる。

 “立地とコネクティビティ”という観点では、海外とつながる海底ケーブルの陸揚局が集中している伊勢志摩(三重県)への回線アクセスが良いこともメリットだ。オプテージでは、OC1から伊勢志摩への接続サービス(帯域サービス)を提供することも可能であり、海外に進出する日本企業、その反対に日本に進出する海外企業が利用するのにも都合が良いはずだと、津田氏は説明する。

 「たとえば最近では、東南アジア、インドなどの市場で、動画やゲームといったサービスの利用が伸びています。北米などのコンテンツ企業がアジアに進出する際、そのハブとしてOC1をご利用いただく、といったことも考えられます」

関西電力グループの企業として環境対策も意識、「再エネ100%」採用

 それでは、OC1のコネクティビティ以外のメリットはどうか。

 従来のデータセンターで重視されてきたポイントは、もちろんOC1でも重視している。たとえば地震対策(南海トラフ地震の想定である震度6強に対応した免震設計)や、洪水災害対策(河川氾濫や高潮発生を想定した施設設計)、厳重な物理セキュリティ対策などは、最新の技術と設計を取り入れたうえで実装している。

 近年の顧客ニーズ変化に対応するものとしては、「RE100」要件に対応した実質再生可能エネルギー100%の採用がある。高効率空調システムや省エネ機器の採用などで消費電力を抑えながら、関西電力が提供する「再エネECOプラン(トラッキング付帯)」を活用して、カーボンニュートラルなデータセンター運用を実現する計画だ。

 「これまでOC1をご紹介してきた中では、大手のお客さまを中心に、再エネ100%電力を利用したいという声もお聞きしました。データセンターの環境負荷に対する意識は年々高まっており、数年後にはこれが当たり前になってくるかもしれません。そういう意味でも、OC1はお客さまのカーボンニュートラル目標達成を支援できる、安心してご利用いただけるデータセンターです」

OC1を1つめの“ハブ”として、コネクティビティを世界に拡大していく

 今回のOC1開設は、オプテージでは十数年ぶりのデータセンター新設となる。従来型のデータセンターとはコンセプトが大きく異なる「コネクティビティ重視」のOC1は、ターゲットとしている顧客層も違うという。

 「これまでのデータセンターは、オンプレミスで利用したい関西圏のお客さまを中心にご利用いただいています。一方でOC1では、そうしたお客さまに加えて、大容量の通信を必要とする動画配信やゲームといったコンテンツサービスのお客さま、生成AIを活用してサービスを展開されるお客さま、さらには海外のお客さままでがターゲットになります。要は、さまざまなクラウドとデータセンター、インターネットをつなぐ“ハブ”を必要とされているお客さまですね」

 ターゲット顧客の拡大に合わせて、営業体制も強化したという。データセンターの営業部隊を増強したうえで、拠点を東京に移し、新たなターゲット層の掘り起こしを進めている。

 これまでは、自社保有する光ファイバー回線を使った通信サービスを関西圏の企業に提供することが中心だったが、OC1の開設を通じて、そこにも変化が訪れることを期待していると津田氏は語る。

 「OC1に国内、海外のお客さまが集まることで、関西を中心としたオプテージの光ファイバー回線も使っていただける。データセンターに合わせて、ネットワークのビジネスももっと伸ばしていけると考えています」

 さらに津田氏は、将来に向けたオプテージのビジョンとして「OC1だけで終わるつもりはありません」と強調した。

 「もちろんお客さまの需要次第ですが、OC1を中心として、大阪や東京、さらには海外にもビジネスを拡大し、より多くのお客さまから選ばれる企業になっていく。今回のOC1は、そうした構想のスタート地点にあたるものと位置付けています」

■オプテージ 曽根崎データセンター(OC1) 仕様

 ・敷地面積:2,239.81㎡
 ・階層:14階建(うちサーバールームは7.5フロア)
 ・収容ラック数:最大1,200ラック程度  ・床耐荷重:2,000kg/㎡
 ・提供電力容量:7.4MW(フロアあたり約1MW)
 ・ラックあたり電力容量:最大12kVAまで対応
 ・通信回線:キャリアニュートラル

★ OC1 クロスコネクト料金「1年間無料」キャンペーン

 OC1へのIXサービス(JPNAP、JPIX、BBIX)の接続拠点開設にあわせて、お客さまラックと各IXのクロスコネクト料金を1年間無料とするキャンペーンを実施しています。

 ・お申し込み期間:2026年1月31日まで
 ・対象のお客さま:上記の期間内にOC1の利用申し込みをされたお客さま
 ・ご提供する特典:お客さまラックから各IX事業者(JPNAP、JPIX、BBIX)ラックまでのクロスコネクト(構内接続)料金が、OC1の利用開始から1年間無料

 詳しくは下記のWebフォームからお問い合わせください。
   https://optage.co.jp/business/form/dc_contact/form.html

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