GeForce RTX 50シリーズまとめ 第15回

本懐を遂げる鍵はDLSS MFGだが、AFMF 2相当の機能も密かに実装

ゲーム15本検証でGeForce RTX 5080がRTX 4090に勝利、ただし……

「UNCHARTED 4: A Thief’s End」

　「UNCHATED Treasure Hunter Collection」に収録されているUNCHARTED 4: A Thief’s Endを利用する。画質は「エピック」、DLSSは「クオリティー」とした。ただし、Radeon環境ではFSR 2を有効にできなかった（原因不明）。

　そのため、ゲーム内のアップスケーラーを使用し、レンダースケールは70％に設定し、AFMF 2を有効化。ステージ「十二の塔」における一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

UNCHARTED 4: A Thief’s End：1920x1080ドット時のフレームレート

UNCHARTED 4: A Thief’s End：2560x1440ドット時のフレームレート

UNCHARTED 4: A Thief’s End：3840x2160ドット時のフレームレート

　RTX 5090と同様、RTX 5080も最低フレームレートがあまり伸びない感じだが、4Kではようやく盛り返したという感じ。このあたりはまだRTX 50シリーズの“こなれていない感”が強く感じられた。

　このタイトルでは、唯一フレーム生成（AFMF 2）を併用できているRX 7900 XTXが強い。4KではRTX 5090に追いつかれている印象だが、最低フレームレートの点ではRX 7900 XTXが優位に見える。ただし、AFMF 2はフレームレート計測手法が異なるため優位と断定するのは危険だ……。

UNCHARTED 4: A Thief’s End：ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値（左3つ。単位：W）、および10Wあたりのフレームレート（右3つ。単位：fps）

　TBPの傾向は同じ。RTX 5080のTBPはフルHD時でRTX 4080 SUPERより30Wも減っているなど、低解像度では仕事をしていない疑惑がある。

　また、RX 7900 XTXのTBPについては、同じテストをPownetics v2で計測した時の値を記載しているためかなり正確だが、ワットパフォーマンスは取得できないため「0」と記載している。

「Dead Space (2023)」

　ここから先はレイトレーシングを利用したゲームでの検証となる。まずはリメイク版Dead Spaceから。画質は最高設定（RTAO含む）、DLSSとFSR 2は 「クオリティー」で、RX 7900 XTXはAFMF 2も有効化。シナリオ序盤に訪れる無重力ハンガーエリアを移動する際のフレームレートを計測した。

Dead Space (2023)：1920x1080ドット時のフレームレート

Dead Space (2023)：2560x1440ドット時のフレームレート

Dead Space (2023)：3840x2160ドット時のフレームレート

　先のUNCHARTEDのデータと合わせて考えると、RX 7900 XTXが強烈に輝いた理由は、ゲーム側にFSR 3やDLSSのフレーム生成が実装されていない場合に限定される。

　もちろん、Starfieldのようにフレーム生成があっても、なお最適化度でRadeonが優越する場合もある。4KでDLSS FGなしとはいえ、RTX 5090とRX 7900 XTX＋AFMF 2が互角に戦えるというのはおもしろい。

　一方で、このタイトルではRTX 5080がRTX 4090と同等以上のフレームレートを発揮している。最低フレームレートではRTX 4090が勝ったがその差はわずかだ。

　CPUの消費電力が普通のゲームよりも格段に高い、というDead Space (2023)のクセが強いせいもあるが、RTX 5080がDLSS MFGなしでもRTX 4090に勝てる場合もあるのだ。

Dead Space (2023)：ベンチマーク中におけるTotal Board Powerの平均値（左3つ。単位：W）、および10Wあたりのフレームレート（右3つ。単位：fps）

　RTX 5080のTBPがRTX 4090どころかRTX 4080 SUPERよりも低くなっていることから、まだRTX 5080のポテンシャルを活かしきっていない可能性もある。

　ただし、この状況においてもワットパフォーマンスはほかのGPUよりも優秀だ。なお、RX 7900 XTXのワットパフォーマンスに記載がないのは、UNCHARTEDと同じ理由である。

「Indiana Jones and the Great Circle」

　Indiana Jones and the Great Circleは画質「究極」、パストレーシングも有効化した設定で検証する。DLSSは「クオリティー」、フレーム生成も有効化。マップ「サンタンジェロ城」内の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。

　ちなみに、検証時点ではRadeonだとパストレーシングが選択できない（＝より軽いレイトレーシング処理になる）ため、テストからは除外している。また、このゲームは本稿に合わせてデータを取得しなおした。

　その理由はRTX 5090レビュー時の設定が筆者の想定とは異なっていた可能性が出てきたためである。よって今回改めて計測して仕切り直しとした。RTX 5090レビュー時のデータに不備があった点について、読者と関係者のみなさまに深くお詫びしたい。

Indiana Jones and the Great Circle：1920x1080ドット時のフレームレート

Indiana Jones and the Great Circle：2560x1440ドット時のフレームレート

Indiana Jones and the Great Circle：3840x2160ドット時のフレームレート

　RTX 5080はRTX 4090には勝てないが、RTX 4080 SUPERに対しては8％程度上回っている。しかし、4K解像度においては、RTX 5080とRTX4080 SUPERはほとんど動けなくなった（2fps程度）。

　理由はVRAM消費量が大きくなりすぎるためだが、こういう条件になるとVRAM搭載量の多いRTX 4090はRTX 5080よりも粘る。なお、VRAM 24GBのRX 7900 XTXのデータがない理由は、前述の通り、画質設定を同一にできないためである。

　Indiana Jones and the Great Circleがここまでのハードウェアスペックを要求する是非はともかく、ビデオカードに20万円以上の投資をしても、RTX 5080では4K＆最高画質では遊べないという事実は少し悲しい。

　このゲームに対し、究極の画質設定で遊びたいならRTX 5090が最善。次善の選択として、RTX 4090しかあり得ないのだ。

Indiana Jones and the Great Circle：ベンチマーク中におけるTBPの平均値（単位：W）、および10Wあたりのワットパフォーマンス（単位：fps）

　とんでもない負荷を要求する割には、TBPの平均値はそれほど高くない。フルHDやWQHDだけを見れば、RTX 5080のワットパフォーマンスはRTX 5090やRTX 4090を若干上回っている。