AWSのフラッグシップイベントであるAWS re:Inventには巨大な展示会場があり、まるで正月のアメ横のような賑わいを見せる。IT関係者であれば誰でも知っているベンダーだけでなく、日本でも知られていないベンダーも軒を連ねている。たとえば、DatadogやSnowflakeも、数年前はそんなAWSチルドレンとも言えるベンダーの1つだった。
2010年創業のDatadogはサーバーのモニタリングという地味な領域からスタートしている。しかし、パフォーマンスやログ監視などさまざまな機能を年々追加し続け、今ではマルチクラウド環境でサービスを利用できるようになっている。2019年にはNASDAQに上場。2023年度は、対前年比30%越えの約20億ドル(約3000億円)という高い成長を遂げている(関連記事:オブザーバビリティで“名実”ともにナンバーワンに ― Datadog正井社長)。
今まさに脂ののっているSnowflakeも、すでにベテランの域だ(関連記事:新Vポイント始動の裏側、短期間・低コストで実現したSnowflakeによる企業間データ連携)。クラウドネイティブなデータウェアハウス(DWH)を作るという目的に向け、元オラクルのエンジニアがSnowflakeを立ち上げたのは今から12年前。こちらも2020年にNASDAQへの上場を果たしたが、時価総額700億ドル(約7.4兆円)をつけて大きな話題となった。現在もAIのための統合データ基盤というシナリオが今のデータドリブン経営の潮流にかっちりはまっており、2023年度は対前年比70%増の約20億ドルの売上を誇る。
両者ともAWSのような巨大プラットフォーマーと寄り添いつつ、ときにはガッツリ戦ってきた。Snowflakeはサービス立ち上げ早々に、Amazon Redshiftというご本家AWSのDWH製品がリリースされたという歴史を持つ。Datadogの対抗となるモニタリングや監視サービスも、AWSが長らくサービスを拡充し続けている領域だ。しかし、両者とも巨人の肩に乗りながら、巨人を超える専門性で実績を高め、特定のクラウドプラットフォームに依存しないポジションを確立してきた。まさに巨大プラットフォーマーと切磋琢磨しつつ、今の地位を築いた両社のタフさは、日本企業も学ぶべきだ。
文:大谷イビサ
ASCII.jpのクラウド・IT担当で、TECH.ASCII.jpの編集長。「インターネットASCII」や「アスキーNT」「NETWORK magazine」などの編集を担当し、2011年から現職。「ITだってエンタテインメント」をキーワードに、楽しく、ユーザー目線に立った情報発信を心がけている。2017年からは「ASCII TeamLeaders」を立ち上げ、SaaSの活用と働き方の理想像を追い続けている。

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