最新パーツ性能チェック 第457回
“Battlemage”世代の尖兵「Arc B580」レビュー【前編】
インテル新GPU、Arc B580の実力は?AI&動画エンコードは前世代より超強力に
2024年12月12日 23時00分更新
Arc B580 Limited Editionと化粧箱。前世代のA770やA750のLimited Editionと比較すると簡素だが、高級感のある作りではある。国内販売は12月13日23時解禁、予価は4万9800円となる
2024年12月12日23時、インテルは開発コード“Battlemage”の名で知られていたゲーミング向けのディスクリートGPU「Arc Bシリーズ」第1弾として、「Arc B580」のレビューを解禁した。国内販売解禁はメーカーによって微妙に異なるが、ニュースリリースを眺める限り、13日23時以降に発売で間違いないようだ。
Arc Bシリーズの概要については、12月3日に掲出した速報記事(https://ascii.jp/elem/000/004/238/4238877/)をご一読頂きたい。2022年より投入されたArc Aシリーズの後継であり、アーキテクチャーは「Xe」から「Xe2」に更新され、基本的な描画周りからレイトレーシングに至るまでさまざまなところに手が入っている。
Arc Aシリーズは一部の機能をソフトウェア的にエミュレーションしながら実行していた関係で、ゲームによっては非常に性能が出にくく癖の強いGPUとなってしまった。だがBシリーズは前世代の弱点を徹底的にたたき直し、改めてGeForceやRadeonに対抗し得るGPU(インテル談)として再設計された製品だ。
「Fortnite」を1フレーム処理する際には7000近くのAPIコールが発生する。これはその累積処理時間(フレームタイム)をグラフにしたもの。Arc A750(灰色)に比べB580(水色)は、描画行程のさまざまな部分において劇的に処理時間を短縮することに成功している
Arc B580のメインターゲットは、最新ゲームをWQHD&高画質設定で遊びたいゲーマーである。フルHD向けのGPUはすでに「GeForce RTX 4060」(以下、RTX 4060)や「Radeon RX 7600」(以下、RX 7600)といった強力なライバルがいるが、Arc B580は彼らよりもやや安い価格(北米基準)で、かつWQHDでは優位に立てるパフォーマンスをもたらすもの、と定義している。
ただ、Arc B580の国内モデルの予想価格はだいたい5万円~となっており、RTX 4060やRX 7600の実売価格(おおよそ4万円~)よりも高い値付けからスタートとなる。RTX 4060などが出たころとは経済情勢が違うとわかってはいるが、かなり劣勢な状況からのスタートと言わざるを得ない。
今回筆者はB580のリファレンスカードというべき、インテル純正の「Arc B580 Limited Edition」をお借りしてテストできる機会に恵まれた。果たしてインテルの謳い文句は本当なのか? 本稿ではB580カードの外観や前回の速報でカバーできなかった内容を整理し、さらに基本的ベンチマークやクリエイティブ/AI系処理の検証を行う。
PCBが短いので補助電源コネクターも中央付近にある。Flow-Throughデザインを含めNVIDIAのRTX 30シリーズからこのデザインが広まった感があるのだが、ケーブルが中央からニュッと生えるのは見苦しいため、そろそろ次のデザイントレンドへ移行して欲しいところ
DisplayPort 2.1(最大7680×4320ドット@60Hz)とHDMI 2.1a(最大7680×4320ドット@120Hz)で構成されているが、中央のDisplayPort端子はPrimary扱いであり4K(3840×2160ドット)で360Hzにまで対応。他の2基のDisplayPortは4Kでは240Hzまでとなる
カードエッジのゴールドフィンガーはPCI Express Gen 5準拠の構造になっているが、B580自体はGen 4 x8で接続される。今後出るであろう上位モデルがGen 5仕様なのか、もっと先(Arc Cシリーズ)を見越した採用なのかは不明だ
PCI Express Gen 5仕様のゴールドフィンガーの詳細はインテルのサイトにある。GNDのフィンガーが信号用のそれより長く、さらに隣接するGNDはViaを通じて連結される

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