「DIRT 5」
DIRT 5は画質“極高”、レンダースケールは100%に設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
ここまでのパターンを総合すると、高画質設定でのCPU差はかなり縮まり、Ryzen 7 9800X3Dのアドバンテージは相当に薄まる。DIRT 5においてもCore i9-14900Kに対して3%、Ryzen 7 7800X3Dに対しては1%しか上回っていない。ただ最低フレームレートの出方を見るとRyzen 7 7800X3Dより確実に改善されていることがわかる。この平均フレームレートに差が出なくても最低フレームレートで優位という論調はAMDの資料と同じである。
消費電力に関して特にいうことはない。
「Days Gone」
Days Goneは画質“最高”に設定。ワールドマップ東方、敵の大群を殲滅するミッション“箱船に入りなさい”中において、敵の巣付近の一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
平均フレームレートにおいてRyzen 7 9800X3Dが一番低くなったが、トップとの差は2fps以内。このベンチマークでは敵配置が微妙に異なる上に手動計測なので誤差と切り捨ててもいいだろう。ただ最低フレームレートはCore i9-14900KやRyzen 7 7800X3Dよりも9800X3Dが伸びている。
CPUの消費電力と平均フレームレートだけを見ればRyzen 7 7800X3Dが優秀。というより3D V-Cacheの効果が絶大なのだろう。
「Dead Space (2023)」
リメイク版Dead Spaceは画質“ウルトラ”、アンチエイリアスはTAA、TAA品質は“高”に設定。ゲーム序盤に訪れるハンガーエリアの無重力空間を移動した際のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 9800X3Dは平均・最低フレームレート両面において7800X3Dを上回っている。その差は2%程度と小さいためRyzen 7 7800X3Dユーザーが乗り換えるメリットがあるとはいえない。
Dead SpaceのCPUパワーの使い方は特別に高いというのは前回と共通。今回もCore i9-14900Kが平均226Wを記録しトップとなった。Ryzen 7 9800X3Dと7800X3Dの差も非常に大きいことからも、このゲームがCPUパワーをかなり重視していることがよくわかる。
「Enshrouded」
Enshroudedは画質“マックス品質”、アンチエイリアスは“FSR 3 Native AA”に設定。ゲーム中に存在する尖塔“低木の牧草地”から西に飛び、一定のルートを移動した際のフレームレートを計測した。
画質最低設定では平均190fpsあたりでキャップになるが、最高設定では56fpsあたりでキャップとなった。Ryzen 7 9800X3Dは数値上では平均フレームレートで3番手だが、1番手との差は1fps未満であり、これは計測のブレの範囲内である。Ryzen 7 9800X3Dは最低フレームレートにおいて他のCPUより高い数値を出してはいるが、同様の理由によりこれも誤差と切り捨てるべきだろう。
画質を最高設定にしてもCPUの消費電力は大して高くない。低設定でもCPUの消費電量は低かったゲームなのだが、今回の検証ではRyzen勢の消費電力が減っている一方で、Core i9-14900Kのみ電力の著しい増大(50W程度)が認められる。画質を上げたことでメモリーアクセスが増えた可能性があることが示唆されている。
「F1 24」
F1 24では画質“超高”をベースにレイトレーシング処理に関してはすべてオフに設定。加えてアンチエイリアスは“TAA&FidelityFX”、異方性フィルタリングは16xに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。なおベンチマークシーンは“モナコ”、天候は“ウェット”を選択している。
画質低設定は結果がブレやすいゲームだが、画質を上げるとGPU側の処理で頭打ちになるせいかブレが小さくなる。肝心のフレームレートに関してはここまで観察してきた多数のゲームと同様にどのCPUでも大きな差はつかなかった。Ryzen 7 9800X3Dの平均フレームレートが最も高くなったが、最下位の7800X3Dとの差は4fps、つまり2%程度と非常に小さかった。
消費電力の傾向は変わらず。Core i9-14900KユーザーがRyzen 7 9800X3Dに乗り換えたならば、光熱費的には大きなメリットが得られるだろう。ただしその場合マザーも買い換えになるため、元を取るには相当な時間が必要だ。
「Far Cry 6」
Far Cry 6は画質“最高”、アンチエイリアスTAAに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
Ryzen 7 9800X3DはCore i9-14900Kよりも9%程度高いフレームレートを出しているだけでなく、最低フレームレートでは20%上回った。Ryzen 7 7800X3Dは平均フレームレートにおいては9800X3Dに対し約5%低いだけだが、最低フレームレートにおいてはCore i9-14900Kと同様に20%程度下回っている。最低フレームレートにおけるアドバンテージがRyzen 7 9800X3Dの最大のアピールポイントといえるだろう。
消費電力の傾向に特筆すべき部分はない。
「Final Fantasy XVI」
Final Fantasy XVIでは画質“ウルトラ”、スーパーレゾリューションを無効(レンダースケール100%)に設定。ゲーム序盤、過去回想編で訪れるマップ内を移動した際のフレームレートを計測した。
ここではCore i9-14900KがRyzen 7 9800X3Dを平均・最低フレームレートで上回ってはいるが、その差はわずかで決定的なアドバンテージにはなっていない。Ryzen 7 7800X3Dも僅差で9800X3Dに食らいついているが、ここまで見てきたさまざまな検証データを見るにつけ、パフォーマンスを絞り出しにくいCPUであるという印象が付いて回る。
Ryzen 7 9800X3Dと7800X3Dの差が低画質設定検証時よりも小さいこと、さらに平均フレームレートも差が小さいことから、GPU側が律速になっていることが示唆される。
「For Honor」
For Honorは画質“超高”に設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
低画質設定検証時は600fpsを超えていたが、高画質設定にすると265fpsあたりで打ち止めになる。Core i9-14900Kのみ最低フレームレートが150fpsを割っているが、これはベンチマーク開始直後に到来するカクつきのせいだ。Ryzen 7 9800X3Dを使っていても見てわかる程度の強いカクつきが発生するが、3D V-Cacheを搭載したRyzenの場合落ち込む時間が短い一方で、Core i9-14900Kは落ち込む時間がわずかに長い(このシーンにおける真の最低フレームレートは30fps未満)。必ず同じタイミングで発生するこのカク付きの原因は不明だが、少なくとも3D V-Cacheによって緩和されることがこのグラフに表れている。
低画質設定時のFor Honorはフレームレートが上がるためCPUの消費電力も高めだったが、高画質設定になるとCPUの仕事量が減るため消費電力も控えめになる。
「Forza Horizon 5」
Forza Horizon 5では画質“エクストリーム”、アンチエイリアスはMSAA 2Xに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
画質“最低”設定だとRyzen 7 9800X3Dを筆頭にした階段状のグラフであったが、今回のように最高画質設定寄りの状況ではどのCPUでも同じようなフレームレートになった。強いていえばRyzen 7 7800X3Dが微妙に弱い程度だろうか。
平均フレームレートは同じであることから、ワットあたりのフレームレート(ワットパフォーマンス)は圧倒的にRyzen 7 7800X3Dが有利、Core i9-14900Kは圧倒的不利となることは明白である。
「Forza Motorsport (2023)」
Forza Motorsportでは画質系の設定すべてを最高、アンチエイリアスはTAAに設定。ゲーム内蔵ベンチマークにおけるベンチマークシーン再生中のフレームレートを計測した。
前回はRyzen 7 7800X3Dが9800X3Dを平均フレームレートで上回ったが、今回の高画質設定検証では逆転……といっても1fpsにも満たないため誤差と断言しても差し支えない結果だ。Core i9-14900Kとの差も同様にわずかであり、GPUが相当な律速になっていることがうかがえる。
消費電力については言及すべき部分はない。Ryzen 7 9800X3DはCore i9-14900Kの半分以下の消費電力で同じ結果を出している。
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