「QuTS hero」はランサムウェア対策、安価なSSD/大容量HDDの導入など、中小企業オフィスでも役立つ
NASのデータ保護強化におすすめ! QNAPのハイエンドOSが中小企業向けモデルにも対応
2024年12月06日 11時00分更新
おすすめユースケース:安価になった高速SSD/大容量HDDのNAS導入
ここまでで紹介した機能は、QuTS heroが備える特徴的な機能の一部分にすぎない。ほかにも特徴的な機能は多くあるが、すべてを紹介することはできないので、ここからはQuTS heroの特徴を生かした“おすすめユースケース”を2つ、ご紹介したい。
1つめは「低価格なSSD、大容量HDDの導入」だ。SSDの低価格化、HDDの大容量化は年々進んでいる。それをうまく活用すれば、NAS本体を更新しなくても性能や容量をアップグレードすることができる。
まずはSSD(SATA SSD)の活用からだ。HDDの代わりに複数のSSDでRAIDを構成すれば、読み書きが高速で物理的な衝撃にも強いNASが構築できる。ただし、怖いのがデータ損失につながる「SSDの同時故障」だ。SSDは一定回数の書き込みで寿命を迎えるため、RAIDで同時に導入したSSDは同時期に(近いタイミングで)故障しやすいと言われる。
この問題を解消するために、QuTS heroは「QSAL」という独自の特許技術を採用している。QSALは、SSDの残り寿命が短くなってきた段階で、RAID内の特定のSSDにあえて書き込みを集中させ、そのSSDだけ寿命切れを早めることで同時故障を防ぐ仕組みだ。この賢い仕組みがあるおかげで、SSDでも安心してRAIDを構築できる。
一方、大容量HDDの採用では、RAIDの再構築処理にかなりの時間(数日、数週間レベル)がかかることが問題となる。しかしQuTS heroの場合、先に紹介した「RAIDドライブ自動交換機能」があるので“再構築処理なし”の環境が用意できる。そうした悩みとも無縁だ。
また、NASの機能を停止することなくオンラインのままで、RAIDのHDDを大容量のものに交換することもできる。1台ずつ順に大容量HDDに交換していき、すべて交換し終えればストレージプールの容量が拡張可能になる。今回紹介しているミドルレンジNASの場合、ドライブベイの数が限られているので「ドライブ増設」による容量拡張は難しいが、この方法を用いて、大容量HDDが安価になったタイミングで更新していけば、NASの容量不足の悩みも緩和されるだろう。
おすすめユースケース:WORMによるランサムウェア対策、法的保管文書の保護
QuTS heroを使ったもうひとつの“おすすめユースケース”は「ランサムウェア対策の強化」である。昨今は、中小企業であってもランサムウェア被害に遭うケースが増えており、その対策に頭を悩ませているIT担当者は多いはずだ。
ランサムウェア対策として「重要なデータのバックアップを取得すること」が大切なことはよく知られている。ただしその防御策も見越して、最近のランサムウェア攻撃では、まず手始めにバックアップデータを破壊(暗号化)する手法がとられるようになっている。
ここでQuTS heroの特徴が発揮される。QuTS heroでは、ZFSの「WORM」機能を使った共有フォルダの保護ができるのだ。WORM(Write Once, Read Many)機能をオンにしたフォルダは、たとえ管理者であっても、一度書き込んだファイルの書き換えや削除ができなくなる。バックアップデータをランサムウェア攻撃から保護するには最適な仕組みだ。
QuTS heroではWORMフォルダも簡単に作成できる。さらに、WORMによる書き換えや削除の禁止期間も自由に設定できる(日/月/年単位)。そのため、ランサムウェア対策だけではなく、たとえば法律や社内ルールで長期保管が定められた文書データ(電帳法の対象書類など)の安全な保管と改竄防止にも役立つ。
また、先に触れたセキュリティセンターは、ランサムウェア攻撃によって一度に大量のファイルが書き換えられた(暗号化された)ことを検知する機能を備えている。異常発生のアラートを通知するだけでなく、被害拡大を防ぐためのアクション(読み取り専用への切り替え、スナップショットの取得停止など)も自動的に実行できる。WORMフォルダ以外でも、クリーンな状態のスナップショットを使って元どおりに回復させることが可能だ。
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今回は、QuTS heroが備える特徴的な機能から、「中小企業における重要なビジネスデータの保護」というテーマに絞ってご紹介した。ほかにもドライブ容量を効率化する機能(インライン圧縮や重複排除)、DR/BCP対策に使える機能(スナップショットレプリカ)、Windows PCやWindows Serverのバックアップツール(NetBak PC Agent)など、豊富な機能が追加コストなしで利用できる。さらに知りたい方は記事末尾のリンクから参照いただきたい。
ここまで「機能の豊富さ」ばかりを強調してしまったが、大切なことは、それらが「分かりやすいかたち」「使いやすいかたち」で提供されていることだ。せっかく導入しても使いこなせなければ意味がない。日本語化された分かりやすいインタフェースを備え、誰でも簡単に使いこなせるQuTS heroは、その点でも非常に優れた企業向けNASだと言える。
なお、QNAP正規代理店のユニスターでは、QNAP NASを導入する法人向けに「評価機の無料レンタルサービス」「HDD事前搭載サービス」や「保守サービス(オンサイト、デリバシー)」などを提供している。購入前に最適なモデル選択などを相談することもできるので、ぜひ下記の問い合わせフォームを活用いただきたい。
