みなさん、こんにちは!
横浜・八景島シーパラダイスの飼育員がお届けする「生きもの日記」。
第44回は、「ふれあいラグーン」でバンドウイルカたちの飼育を担当する廣野朝子がお伝えします。
前回の記事はこちら
9月21日(土)は国際レッサーパンダデー。シーパラで暮らす可愛らしいレッサーパンダファミリー
※過去の連載記事はこちら:横浜・八景島シーパラダイスの飼育員生きもの日記
「ふれあいラグーン」は、見て学ぶだけでなく、動物たちと直接ふれあい、生きもの本来の魅力を感じていただける施設です。
そんな「ふれあいラグーン」で、2024年夏、3頭のバンドウイルカの赤ちゃんが誕生しました!!!
3頭が同じ年に出産するのはシーパラでは初めてです!
今回は、そんな親子たちをご紹介します。
1頭目は、7月21日に出産した「ラビン」!
「ラビン」は子育て経験のあるベテランママ!
私たちの手助けなしで上手に子育てをしてくれています。
「ラビン」の赤ちゃんは真っ白でツルツルなお肌がチャームポイント!
おてんばでとっても好奇心旺盛です。
2頭目は、8月7日に出産した「ループ」。
「ループ」はとっても天然でマイペースな性格。
飼育員は少し心配していましたが、ママになると子供一筋。子育てを楽しんでいるようです。
「ループ」の赤ちゃんは真っ黒でムチムチボディーがチャームポイント。
ママに似てマイペースで、甘えん坊でいつもママと一緒です。
3頭目は、8月29日に出産した「アレカ」!
「アレカ」はとても温厚でおもちゃで遊ぶのが大好き!
「ラビン」「ループ」の子育てを見てきたので上手に真似をして育児に励んでいます。
「アレカ」の赤ちゃんは吻先が短くスマートな体型をしています。
先輩たちを見て育ってきたので怖いもの知らずの性格で元気いっぱいです。
赤ちゃんたちはみんな女の子!すくすく成長しています。
イルカたちは水中で生活していますが、私たちと同じ哺乳類です。
ママのお腹の中で親の1/3のサイズまで成長し、体重は約20kg、体長は約120cmで生まれてきます。
私たち人間と違い生まれる時は、尾ビレから生まれてきます。赤ちゃんはママのお腹の中にいるときお腹の辺りで曲がって入っています。この曲がっていた部分が生まれたての赤ちゃんの体にシワとなって残ります。生まれてきたときは3頭ともシワが残っていましたが、今ではほとんどシワが見えなくなくなっています。
みなさんイルカのおっぱいがどこにあるか知っていますか?
メスのイルカをおなか側から見てみると…
体の下の方に3本の溝があります。中心の長い溝には生殖孔や肛門が隠れており、その両側の短い溝の中に乳首がしまわれています。イルカの乳首は、水中を泳ぐ際に邪魔にならないように普段は見えないところに隠れています。赤ちゃんがミルクを飲むときには切れ込みから乳首が出てきて、その乳首に吸いつくとミルクが口の中に注ぎ込まれるのです。そのため、1回にミルクを飲む時間はとても短く、3〜10秒程度です。
それでは赤ちゃんイルカはどのようにミルクを飲むのでしょうか?
赤ちゃんイルカがミルクを飲むのはもちろん水中です。泳ぎながらミルクを飲みます。水中で海水を飲まずにミルクだけを上手に飲むことができるのには、赤ちゃんイルカの舌に秘密があります。赤ちゃんイルカの舌には葉状突起というヒダがあり、その舌を丸めて乳首に吸いついたときに密着することで、水中でも海水が入ることなくミルクだけを飲むことができるのです。
そしてこの葉状突起は赤ちゃんが成長しミルクを卒業すると必要がなくなり、徐々になくなっていきます。バンドウイルカの授乳期間は1〜2年なのでイルカたちの口の中を見ることがあれば舌にも注目してみてください。
生まれたときは、体重は約20kg、体長約120cmだった赤ちゃんたちはママのミルクを飲んですくすく成長しています。
・ラビンの赤ちゃん生後107日齢 体重67.5kg、体長176cm
・ループの赤ちゃん生後90日齢 体重62.5kg、体長167cm
・アレカの赤ちゃん生後69日齢 体重50.0㎏、体長151㎝
私たち飼育員は、イルカたちの出産直前から赤ちゃんたちが落ち着くまで24時間体制観察を行ってきました。
赤ちゃんたちは、新しい世界に慣れるためにひとつずつ学んで成長していきます。
さまざまなことを教えるのはママたちですが、飼育員も赤ちゃんに異常がないかを日々観察をすることで、普段との変化に気づき育児をサポートしているのです。
①仔の位置(お母さんの左右どちら側にいるか)
②泳ぎ(右回り、左回り)
③併泳個体(誰と一緒に泳いでいるか)
④行動(遊泳、遊び、静止)
⑤哺乳(秒数、左右どちらのおっぱいか)
⑥呼吸(1分間も呼吸回数)
⑦排泄(排便、排尿の色、秒数、性質)
このようなポイントを1分ごとに記録しています。
実際に飼育員目線で親子を見てみるとおもしろいかもしれません。
水族館には「種の保存」「教育・環境教育」「調査・研究」「レクリエーション」4つの役割があります。
その中でも繁殖に関する取り組み「種の保存」に力を入れています。
絶滅危惧種をまもるため、安全な施設に生きものを保護して、それらを増やすことにより絶滅を回避する方法を「生息域外保全」といいます。
横浜・八景島シーパラダイスでは、さまざまな生きものたちの繁殖活動に取り組んでいます。
飼育下で繁殖することで、その生きものの一生を研究することが可能になり、生きものたちが命を繋ぐために必要な環境などを解明し、海の豊かさを守ることに貢献していきます。
私たち飼育員は日頃から生きものたちをしっかり観察し、環境を整え、健康管理のためトレーニングをするなど、健康で楽しく過ごせるようにたくさんの工夫をしています。
今はママにぴたっとくっついて泳いでいる赤ちゃんたちですが、成長すると親と離れて泳ぐ時間が増えていきます。幼い可愛らしい姿は今しか見ることのできない瞬間なので、ぜひかわいい赤ちゃんたちに会いにきてください。
横浜・八景島シーパラダイス
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①「SEAPARADISE Christmas ~シーパラからのクリスマスプレゼント~」を11月30日(土)~12月25日(水)に開催!
https://www.seaparadise.co.jp/event/christmas2024/index.html
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https://www.keikyu.co.jp/visit/otoku/seapara_kippu.html
文/廣野朝子
兵庫県出身。2018年に株式会社横浜八景島に入社し、飼育歴7年目。「ふれあいラグーン」で主にバンドウイルカやコツメカワウソ、ケープペンギンなどの鳥類の飼育を担当。鳥の魅力にハマり、家ではウロコインコの「ぴと」を飼っています。