DIYで古民家をよみがえらせたい!元教員の挑戦
藤井里美さん/古民家を再生して、姉妹で地元にカフェを開業
愛知県で築88年の古民家をDIYでリフォームし、カフェ「the roof」を開業した藤井里美さん。かつて学校の特別支援教員として働いた彼女が古民家再生とDIYに出会い、古民家カフェを開業するまでのストーリーや、その挑戦に込めた思いをインタビューした。
すべての画像を見る場合はこちら愛知県瀬戸市の「せと末広商店街」 近くにある古民家カフェ「the roof」。築88年の民家を改装した、どこか懐かしい空間で、マクロビ風のランチや手作りのスイーツなどが味わえる。こちらのカフェを開業したのは、元教員の藤井里美さん。56歳から古民家再生を始め、60歳でカフェを開業するなど、好きなことに挑戦し続けている。
定年間近の56歳から始めた古民家再生。達成感がクセになる!?
発達障害などのある児童を教える特別支援教員として働いてきた藤井さん。藤井さんがDIYに興味を持ったのは、ある日立ち寄った書店で鈴木ゆり子さんの著作「専業主婦が年収1億のカリスマ大家さんに変わる方法」(ダイヤモンド社)に出会ったことがきっかけだった。そこには、月5万円の内職生活をしていた地方在住の50代女性が古いアパートをDIYで再生させ、不動産賃貸業で総額5億円もの資産を作ったと書かれていたのだ。
「こんな生き方、仕事があることに衝撃を受け、『私も絶対にやりたい』と思いました。子どもたちも独立し、自分たちが食べていくだけなら苦労しない。これからは社会貢献をしたいと思っていたのですが、一人ができることには限りがあると思っていたところでした。不労所得を得られる仕組みを作り、富を集めることで、より社会へ働きかけることができると感じたのです。また、不動産賃貸業は、物件や入居者のお世話をする仕事でもあります。それが、教員をしてきた自分の性に合っていたのでしょう」と藤井さん。
なかでも一番興味を持ったのが、古民家再生だった。「社会問題にもなっているように地方には空き家がたくさんあります。長期間放置されていたことが原因で修繕をしなければ人が住めるようにならない家も少なくないのです。そういった家を安く購入し、DIYをして蘇らせる。そして、賃貸するのです。もう誰も住めなくなってしまった古い家を自分が手をかけることで生まれ変わらせることができる。そんな達成感に夢中になりました。また、『この家は私が買わなかったら廃墟になってしまう』と、つい買ってしまうのです。廃墟が一つできると、町の雰囲気は沈んでしまいますからね。これも社会貢献の一つだと考えています。」
地元の商店街近くで見つけた古民家。姉妹でカフェを作ることに!
藤井さんがある日見つけたのが、地元にあり慣れ親しんできた「せと末広商店街」の近くにある古民家。
「もともとは工場を経営していた社長さんのお宅だったそうで、広くて部屋数も多く欄間などの設えも立派な建物でした。築88年ということで建物も老朽化が進み、雨漏りなども見受けられました。『自分の手で再生してみたい』と思ったのです。観光名所『招き猫ミュージアム』にもほど近く、人の往来のある場所でした。そこで、『いつかカフェを開きたい』と言っていたお姉さんに声をかけ、姉妹で開業することにしたのです。」
雨漏りの修繕やフローリングを貼る工程は大工さんに依頼し、その他の壁を漆喰で塗ったりクッションフロアを貼ったりする作業は自分たちで行うことに。
「DIY好きなママ友や職場の友達、姉の友達などにも手伝ってもらいました。そのままスタッフとして働いてくれている人もいます。週に3~4日、4時間から6時間ほど作業して、完成までに約半年かかりました。」
古民家カフェの開業にかかる費用は?開業費用を節約するコツも!
カフェを開くために必要な費用で多くを占めるのは、店舗の改装費。また、保健所の営業許可を取るために、要件を満たす厨房やトイレの衛生設備を揃える必要がある。
今回のカフェ開業にかかった費用は下記だという。・物件購入…約240万円(土地・建物)
・物件購入諸費用…約20万円
・工事費…約85万円
・DIY材料費…約15万円
・設備導入…約50万円
・保健所申請費用…約1万8000円
合計:約421万8千円 「できるだけ自分たちでDIYをしたり、家具を中古で集めたりと工夫をしたことで費用が100万円くらいは浮いたと思います。DIYをしない人でも、郊外なら500万円から600万円ほどあれば開業できると思います。
壁を漆喰で塗ったり、クッションフロアやフロアタイルを貼ったりするのは初心者でも挑戦しやすい工程ですので、チャレンジしてみるのもいいかもしれません。また、カフェを開く物件は購入する以外にも、貸店舗として古民家を賃貸するという方法も。初期費用をさらに抑えることもできるでしょう。
また月々の運転資金も考慮しておきましょう。スタッフの人件費と、食材の仕入れ代、光熱費などです。そのほかの固定費として約5万円。レジのシステム利用料や電話代、Wi-Fi利用料、スタッフ用の駐車場などがあります。」
古民家カフェにおすすめなのはどんな建物?場所は?
初期費用を抑えるためには、安い物件を購入する必要がある。
「おすすめは旗竿地や再建築不可の土地に建つ建物です。旗竿地とは道路に接する細い敷地とその奥にある広い敷地で構成された土地のことです。また、接道義務を満たせないため更地にして建物を建て替えることのできない土地だと価格は下がります。今回240万円と安く買えたのは、旗竿地にあり再建築のできない物件だったからなのです。カフェをする上で、通りに面していない旗竿地は『隠れ家』として好まれる傾向もあります。建物をそのまま利用すれば再建築可能かどうかは関係ないでしょう」
場所は、多くの人が訪れやすいところがベターだ。
「観光地や駅前など、便利で人が集まりやすいところを選ぶといいですよ。そういった立地の物件は価格が高くなりがちですが、敷地内に駐車スペースのない物件だと相場より価格が下がる傾向にあります。近隣にパーキングを借りるなどして駐車場が確保できれば大丈夫でしょう。私のお店の場合、敷地内に駐車場はないのですが、すぐ近くに市営駐車場があるり、お客様にはそこを利用していただいています。」
間取りで注意するのはキッチンの広さ。厨房として使用するためには、冷蔵庫や製氷機、電子レンジなどの調理器具、手洗い設備、洗う場所が2つあるシンクなどを置かなければならないため、8帖ほどの広々とした空間が必要だという。やってよかった?実際にカフェ経営をしてみて感じたこと
初めて飲食店を経営し、不動産賃貸業との違いを感じたという藤井さん。
「『the roof』ではランチやドリンク、スイーツまで、時間を惜しまず手間をかけて手作りにこだわっています。事業としての時間効率だけで考えると不動産賃貸業のほうが良いかもしれません。しかし、売上や時間効率だけではない大きなやりがいを感じる瞬間はあります。人が集まる場所を作るっていうのは楽しいんです。また、作品展やライブ会場として活用されることで、文化や作品の発信拠点になることができるのもうれしいです。交流が生まれるパワースポットになっていると感じます。
特に、一緒にカフェを開業した姉は、『得意だった料理をお客様によろこんでいただけることがうれしい』と、充実した毎日を送っているようです。今はカフェの経営を任せています。」
ライフシフトの選択肢の一つとして、古民家カフェの経営はおすすめだという。
「古民家カフェはレトロさをそのまま残すことが魅力に繋がります。普通のカフェを開くよりは手を加える場所が少ないため、初めの一歩としては初期投資が少なく、始めやすいと感じました。初期投資が少ないということは、自分のペースで経営をしやすいというメリットもあります。『インテリアが好き』『DIYが好き』『料理が好き』という方は、その想いやセンスを形にできる古民家カフェを始めてみてはいかがでしょうか?」
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