日本は、人型ロボットの発展に向いている
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが、11月12〜13日開催の「NVIDIA AI Summit Japan 2024」で、記者向けに質疑応答のセッションを実施した。
現在、ロボティクスや人型ロボットの分野にも注目しているジェンスン・フアンCEO。彼によれば、日本の環境は人型ロボットの発展に適した土壌であるようだ。
「私たちがロボットを作るとして、それが車輪を持っている場合は、この部屋(会議室)に入れることが困難です。車輪付きのロボットがお風呂に入って掃除を手伝ったり、キッチンで皿洗いを手伝ったりすることは非常に難しい。工場で作業をすることも難しいです。
なぜなら、自動車工場のようなロボット向けに設計された場所は少数派だからです。世界には1200万もの工場がありますが、ロボット専用に設計された工場は、そのうちの数百に過ぎません。残りの大多数は、人間の作業を前提に設計されているのです。
したがって、ロボット技術を社会に役立て、家庭や病院で人々を助けたり、手術で医師を支援したりするには、人型ロボット(の発展)が唯一の解決策になります。
ロボット技術を広く普及させるには、量産が必要です。大量生産が可能であれば、大規模な研究開発が実現し、技術の進歩は加速します。しかし、用途ごとに異なるロボットを作ると生産量が限られ、研究開発の規模は小さくなり、結果として、技術の質が低下し、市場規模も拡大しません。これも、人型ロボットが必要な理由です。
現在、ロボット技術は飛躍的な進歩を遂げており、あと5年もすれば、非常に完成度の高いロボットが実現すると私は信じています。世界では年間1億台の自動車が生産されていますが、将来的には人型ロボットが何十億台も生産されるでしょう。重い物を持ち上げるためのロボットから、人間の伴侶となるロボットまでさまざまです。車にスポーツカーやセダン、トラックがあるように、ロボットも多様化するでしょう。
日本はこの分野において、完璧な国だと思っています。自動車や精密機械、重工業を製造しており、世界有数のメカ先進国だからです。今後は、これらの技術にAIを統合することが重要になってくるでしょう。AIを学習させるスーパーコンピューターを構築し、シミュレーションを行ない、実際の用途でAIを稼働させることが必要になります」(ジェンスン・フアンCEO)