11月8日・9日に「AIフェスティバル 2024 Powerd by GALLERIA」がベルサール秋葉原にて開催された。目玉となるのは、AIとアートを融合させた作品を募集し、審査のうえ表彰する「第三回AIアートグランプリ」だ。
第三回AIアートグランプリは、AIを利用して作られた動画、漫画、音楽、ゲーム、ハードウェア、パフォーマンスなどの表現物を審査する部門と、絵画にジャンルを絞った絵画部門の2部門にわかれていた。
絵画部門はすでに専攻が終わっており、グランプリはowl_digitalartさんの「不易流行」、GALLERIA賞としてはんなり女史さんの「希望の夜明け」が受賞した。そのほかの優秀賞、佳作については特設サイトをチェックしてほしい。
第三回AIアートグランプリのテーマっは「活きる」で、「人間らしい表現のための手段としてAIを正しく活用していること」「独創性のある表現が行なわれていること」「他社の権利を直接的に侵害していないもの」「日本国内法を遵守していること」という審査基準が設けられている。
審査委員長をメディアアーティスト・東京大学名誉教授の河口洋一郎氏が務め、審査員はイラストレーター・漫画家の安倍吉俊氏、映画監督の樋口真嗣氏、アニメ企画プロデューサーの諏訪道彦氏、弁護士の柿沼太一氏らが務めている。
11月9日には、第三回AIアートグランプリの最終審査会が実施された。最終審査会では、審査員の前で最終選考に残った人たちが自身の作品をプレゼン。審査員からの質疑応答にも答えた。
AIと人間の技術の融合
AIができないことを作者が補正する
最終選考にのこった作品は、映像作品、漫画、アプリなどさまざまだったが、そのなかでも何作品かに共通する点があった。それは、AIが苦手な部分を人が補っているという点だ。ウェブ上やSNSでAIを駆使したイラストや動画を観て感じるのは、「あ、これAIだな」とわかることだ。
それは、例えばイラストでいうとAIで生成したどのイラストも少し似通っているということが挙げられる。これは、AIが持っているデータを元に生成しているからだ。そこに目を付けたのが野火城さんの『ゼロイチ、「ニ」』だ。この作品は、細かい背景にはAIを存分に使用し、キャラクターにもAIは駆使しつつ、AIの違和感が残る部分は自身で修正したのだという。
そのため、AIを使用したということがわからないようなクオリティーに仕上がっていたのが特徴だ。
また、動画についても不気味の谷と呼ばれる現象を始め、AIで作成すると人の細かい動きに違和感を感じる人も少なくないだろう。動画作品の「象牙のナイフ」を制作したelimさんも、プレゼンで「AIとわかったら覚める。リアルを重視したい」と話していた。そのため、elimさんは出来上がった動画を確認して、違和感がある部分があったらプロンプトを追加して極力違和感のないように仕上げたそうだ。
以上のように、これまでのAIを使って同作品を創るのかというところから、AIを使いつつ、足りない部分は自身のスキルを駆使して補正し、より自然な作品を創る作品が増えたなという印象だった。
そして結果だが、審査員特別賞をMasaさんの「100 TIMES AI HEROES」、グランプリをelimさんの「象牙のナイフ」が受賞した。
第三回となったAIアートグランプリ。制作タイミングでもAIはどんどん進化しているようで、今後のAIへの期待感を話すアーティストの方も多かった。どんどんAIが普及していくなか、今後どのような作品が出てくるのか、楽しみだ。