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第三回AIアートグランプリの最終選考、授賞式を見てきた

AI×アートは、AIのできないところを補足してリアルに近づける作品が増えた

2024年11月10日 11時00分更新

文● 八尋 編集●ASCII

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「AIフェスティバル 2024 Powerd by GALLERIA」で、「第三回AIアートグランプリ」の最終選考と授賞式が行なわれた

 11月8日・9日に「AIフェスティバル 2024 Powerd by GALLERIA」がベルサール秋葉原にて開催された。目玉となるのは、AIとアートを融合させた作品を募集し、審査のうえ表彰する「第三回AIアートグランプリ」だ。

 第三回AIアートグランプリは、AIを利用して作られた動画、漫画、音楽、ゲーム、ハードウェア、パフォーマンスなどの表現物を審査する部門と、絵画にジャンルを絞った絵画部門の2部門にわかれていた。

 絵画部門はすでに専攻が終わっており、グランプリはowl_digitalartさんの「不易流行」、GALLERIA賞としてはんなり女史さんの「希望の夜明け」が受賞した。そのほかの優秀賞、佳作については特設サイトをチェックしてほしい。

絵画部門グランプリの「不易流行」

サードウェーブの取締役社長 兼 COOの井田晶也氏から、グランプリの商品としてGALLERIAのノートパソコンが贈られた

GALLERIA賞は「希望の夜明け」が受賞

希望の夜明け

佳作の作品

 第三回AIアートグランプリのテーマっは「活きる」で、「人間らしい表現のための手段としてAIを正しく活用していること」「独創性のある表現が行なわれていること」「他社の権利を直接的に侵害していないもの」「日本国内法を遵守していること」という審査基準が設けられている。

 審査委員長をメディアアーティスト・東京大学名誉教授の河口洋一郎氏が務め、審査員はイラストレーター・漫画家の安倍吉俊氏、映画監督の樋口真嗣氏、アニメ企画プロデューサーの諏訪道彦氏、弁護士の柿沼太一氏らが務めている。

メディアアーティスト・東京大学名誉教授の河口洋一郎氏が審査委員長を務める。河口氏は「激動のAI時代になってきています。今はすごく複雑な作業はできないですが、今後はできるかもしれません。自分の専門分野において、AIによって自分を高める、眠っている才能の100%を引き出すというのが、今後の突破口になると思います。新たな流れを作ってほしいです」と挨拶した

 11月9日には、第三回AIアートグランプリの最終審査会が実施された。最終審査会では、審査員の前で最終選考に残った人たちが自身の作品をプレゼン。審査員からの質疑応答にも答えた。

志村翔太さんの「異邦人」

野火城さんの『ゼロイチ、「ニ」』

elimさんの「象牙のナイフ」

Starm.productsさんの「AIとkawaiiの融合」

異業種データサイエンス研究会 (関東) の「付喪神ジェネレータ」

Samさんの「墨」

北澤和巳さんの「MOMO TARO」

Masaさんの「100 TIMES AI HEROES」

koguさんの「Qveria - 空想世界事典」

米城 陽さんの「Chronovital Resonance」

AIと人間の技術の融合
AIができないことを作者が補正する

 最終選考にのこった作品は、映像作品、漫画、アプリなどさまざまだったが、そのなかでも何作品かに共通する点があった。それは、AIが苦手な部分を人が補っているという点だ。ウェブ上やSNSでAIを駆使したイラストや動画を観て感じるのは、「あ、これAIだな」とわかることだ。

 それは、例えばイラストでいうとAIで生成したどのイラストも少し似通っているということが挙げられる。これは、AIが持っているデータを元に生成しているからだ。そこに目を付けたのが野火城さんの『ゼロイチ、「ニ」』だ。この作品は、細かい背景にはAIを存分に使用し、キャラクターにもAIは駆使しつつ、AIの違和感が残る部分は自身で修正したのだという。

『ゼロイチ、「ニ」』のプレゼン

 そのため、AIを使用したということがわからないようなクオリティーに仕上がっていたのが特徴だ。

 また、動画についても不気味の谷と呼ばれる現象を始め、AIで作成すると人の細かい動きに違和感を感じる人も少なくないだろう。動画作品の「象牙のナイフ」を制作したelimさんも、プレゼンで「AIとわかったら覚める。リアルを重視したい」と話していた。そのため、elimさんは出来上がった動画を確認して、違和感がある部分があったらプロンプトを追加して極力違和感のないように仕上げたそうだ。

「象牙のナイフ」のプレゼン

elimさんは作品についてのラップも披露した

ギターを弾く手に違和感がないように試行錯誤を繰り返したのだという

 以上のように、これまでのAIを使って同作品を創るのかというところから、AIを使いつつ、足りない部分は自身のスキルを駆使して補正し、より自然な作品を創る作品が増えたなという印象だった。

佳作の作品

優秀賞の作品

審査員特別賞の作品

 そして結果だが、審査員特別賞をMasaさんの「100 TIMES AI HEROES」、グランプリをelimさんの「象牙のナイフ」が受賞した。

グランプリをelimさんの「象牙のナイフ」が受賞

グランプリの商品としてGALLERIAのデスクトップパソコンが贈られた。井田氏は作品について「リアリティとデジタイリティのリンクがすごくされていて、すっと入りやすい作品でした」と称賛した

 第三回となったAIアートグランプリ。制作タイミングでもAIはどんどん進化しているようで、今後のAIへの期待感を話すアーティストの方も多かった。どんどんAIが普及していくなか、今後どのような作品が出てくるのか、楽しみだ。

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