連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第157回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 10月26日〜11月1日
生成AIの普及で「中間管理職の廃止」が進む?、フィッシングで最も悪用されるブランドはあの企業、ほか
2024年11月05日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2024年10月26日~11月1日)は、現場業務に対するAIの影響、国内データセンターサービス市場の伸び、メール誤配信の実態、フィッシング詐欺に悪用される有名ブランド、余暇に対する意識調査のデータを紹介します。
[AI][経営]2026年末までに20%の企業が「AIで中間管理職の半数以上を廃止」(ガートナージャパン、10月29日)
・AI導入で組織構造のフラット化を進める企業、今後は中間管理職の廃止も
・2028年までに大企業の40%が「利益追求」の名目でAIにより従業員の気分や行動を操作/測定
・2028年までに、情報侵害の25%が攻撃者/内部関係者のAIエージェント悪用に起因するように
10月末開催の「Gartner IT Symposium/Xpo」で発表した「2025年以降の戦略的展望トップ10」より。特に生成AIの影響を予想した。例えば、2026年末までに20%の組織がAIを導入して組織構造をフラット化し、中間管理職の半数以上を削減すると予想。上記予想のほかにも、企業が従業員の個人データに基づき開発するLLM=“AIペルソナ”について、従業員退職後の所有権をめぐる条項が雇用契約に盛り込まれるようになる、という予想もある。
[データセンター]国内データセンターサービス市場、運用コスト増加の影響がサービス料金にも反映(IDC Japan、10月28日)
・国内データセンターサービス市場の2023~2028年平均成長率(CAGR)は13%
・課題は建設/設備更新/電力/人件費など全面的な運用コストの増加
・上記の成長予測には「サービス価格上昇」の影響も織り込まれている
データセンター(DC)サービス(コロケーションサービス、クラウドIaaSサービスなど)市場の予測。2023年の市場規模は2兆7361億円で、2028年には5兆812億円規模に達する予想だ。世界的なインフレで建設/設備更新/電力/人件費などが高騰しており、DC運用コストは急上昇しており、それがサービス価格に影響してくる見通しも示している。
[仕事]「メール誤送信の経験あり」は管理者59%、従業員45%(デジタルアーツ、11月1日)
・管理者の59%、従業員の45%がメール誤送信を経験
・「宛先を間違える」「添付ファイルを忘れる」「本文の誤字脱字」など
・30分以内に「本人が誤送信に気が付く」割合は70%
国内企業の従業員と情報システム管理者1500人を対象に、勤務先でのメールの誤送信について尋ねた。管理者の59.9%、従業員の45%がメール誤送信の経験あり。誤送信の内容は「宛先の間違い」「添付ファイル漏れ」などが多く挙がる。「本人が」誤送信に気が付く割合は65%、そして管理者・従業員ともに75%以上が「送信後30分以内」に気付いている。
[セキュリティ]フィッシング詐欺で最も悪用されるブランドは引き続き「Microsoft」(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、10月31日)
・フィッシング攻撃で「Microsoft」ブランドが悪用される割合は61%
・ほかに「Apple」(12%)、「Google」(7%)なども悪用被害
・「アリババ」(1%)が初めてトップ10入り
2024年第3四半期の最新版レポートより、サイバー犯罪者がフィッシング詐欺に利用したブランドのランキング。「Microsoft」は出現率61%でトップ。ほかには「アリババ」(1.1%)が初めてトップ10に入ったほか、2年間ほどトップ10圏外だった「Adobe」が8位(0.8%)に復帰。
[生活]日本の余暇関連市場、コロナ前の98%まで戻る(日本生産性本部、10月29日)
・2023年の余暇の過ごし方は「国内観光旅行」が前年に続き首位
・「仕事より余暇を重視する」回答者が約3分の2まで増加
・2023年の余暇関連市場規模は71兆2140億円、前年比13%増
2023年の余暇活動状況をまとめた「レジャー白書2024」より。参加人口が最も多かったのは前年に続き「国内観光旅行(避暑、避寒、温泉など)」。2位は「外食」(2022年は4位)だった。市場規模は7171兆2140億円(前年比13.4%増)で、コロナ禍前(2019年)の98.5%まで戻った。“仕事と余暇”に対する姿勢では「仕事より余暇に生きがい」が34.1%で過去最高、一方で「仕事に生きがい」は9.7%で過去最低レベルとなった。
余暇活動の参加人口、トップは2022年に続き「国内観光旅行」(出典:日本生産性本部)

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