Core Ultra 9 285KとZ890 Steel Legend WiFiの「ZEFT Z54CM」について聞いた
さっそくCore Ultra 200SのBTOPC登場! ASRock原口氏に聞いた採用マザボのコダワリに、一同唸る
2024年11月11日 11時00分更新
機能開発の積み重ねをAIという言葉でまとめないでほしい
Core Ultra 200Sの見どころはNCUだけではない
──Core Ultra 200Sシリーズは“AI”にフォーカスしたCPUと言っていいと思います。マザーボードでは、このAIに特化した機能などは用意されていますか?
原口氏:正直な話をしますと、“AI”にまだいいイメージを持っていないユーザーが結構数いると予想しています。弊社のマザーボードでも、一部の機能などは自動的に行なわれますので、それにAIの名を冠することは簡単なのですが、その機能を1つ1つは我々が積み重ねてきたもので、AIという言葉に簡単にまとめられるものではないと思っています。もちろん、Core Ultra 200SシリーズのAI処理を担うNPCが、最高性能を発揮できるようにマザーボードとして万全の開発/設計はしていますが、とくに機能についてAIに特化したものを用意するかどうかは、現時点で時期尚早かなと思っています。
──セブンアールジャパンとしてはZEFT Z54CMについてAI特化について何かアピールは行なうのですか?
中嶋氏:弊社としましてもAIがすべての人に受け入れられる機能だとは思っていません。ディープラーニングや画像生成などでGPUを活用しているお客様はいらっしゃいますが、Core Ultra 200Sシリーズの見どころがNCUだけと考えられている方は多くないと思っています。今後、このNCUを活用するソフトウェアが多く登場してくると期待しています。
──Z890 Steel Legend WiFiは、Thunderbolt 4に対応したType-Cを2つ用意されている点も魅力的ですね。
原口氏:これまでは、Thunderboltを実装しようと思うと別途コントローラチップを搭載する必要があったのですが、Core Ultra 200SシリーズではCPUにその機能が内蔵されるようになりました。ですので、比較的安価にThunderboltを実装できるようになり、しかも弊社はCPU周りの電源回路ごとThunderboltの認証を受けています。どういうことかというと、Thunderboltの認証はコントロールチップとその電源回路が必要になるのですが、CPUにその機能が内蔵されたことで、CPUの電源回路で認証が取得できるというわけです。弊社のインテルZ890マザーボードを見比べてもらうとよくわかるのですが、一部のマザーボードではこの電源回路を共通化することで、モデルごとの認証取得が必要なくなり、開発期間の短縮とコストダウンを実現しています。
──ASRockのマザーボードを採用するメリットは何かありますか?
中嶋氏:弊社の特徴の1つに、BTOに数多くのケースを用意している点が挙げられます。そこで問題になってくるのが、各ケースの前面USBの仕様です。USB 3.0が用意されているのか、Type-Cはあるのか、ポート数は全部でいくつなのか、ケースによってかなりバラツキがあります。しかし、弊社ではそれらのポートは、全部使うことができるようにしたいと考えています。BTOでケースを変更すると、使えないポートが生じてしまうのは避けたいです。そうすると、フロントパネルのポートが豊富に用意されているマザーボードが必要です。ハイエンド品は充実していますが、それ以外の製品でもASRockさんのマザーボードは前面ポートの数が充実しており、採用しやすいですね。
ケースなどさまざまなメーカーとしっかり協業
汎用性にはかなり気を使っている
──ASRockとしてはそのあたりに配慮をして開発を行っているのですか?
原口氏:我々は他社さんと比較すると、ノートパソコンやスマートフォンも手掛けておらず、セグメントはかなり限られているのが実情です。ですが、その中で手札を最大限に活かすためには、周りの会社さんとの協力が必要と考えています。とくにケースについては、研究開発を常に行なっていますし、いろいろなメーカーさんと協業をさせていただいています。やはり、この業界を盛り上げたいという点でも汎用性についてかなり気を付けています。
──前面USBを気に掛けるのは、多くのケースを手掛けるセブンアールジャパンらしいですね。
中嶋氏:さらに、ASRockさんはレスポンスが早いという点は、弊社にとってはかなりメリットが大きいです。とくに、アドレサブルRGB周りでは、かなりASRockさんにお世話になりました。以前、接続部品との相性でLEDがうまく動作しないということがありましたが、ASRockさんからすぐに改善したBIOSを用意していただきました。ほかにもASRock側でのメモリモジュールの検証情報を共有いただいたりと、モデル開発でかなり助かっています。
──Core Ultra 200Sシリーズ搭載モデルについて、今後どのような展開を考えていますか?
中嶋氏:マザーボードがここまで白色なら、全部黒色のモデルがあってもいいかなと思いました。また、ASRockさんから推していただいたZ890 Nova WiFiも積極的に採用を検討していきたいですね。
真重氏:Core Ultra 200Sシリーズ搭載モデルだけでも、約100モデルのご用意を予定しております。今後もさらにラインナップを拡充していく計画です。ちなみに、弊社では年間でおよそ1000から2000モデルを発売しております。これだけ多くの型番を揃えるのは大変なのですが、お客様一人ひとりに最適な商品をお届けしたいという思いから、きめ細やかな対応に努めております。なお、弊社では多くのケースを始め、BTOのバリエーションはかなり豊富だと自負していますが、それらのモデルすべてで動作確認やテストを行なっており、それをデータベースとして蓄積しています。弊社のBTOでカスタマイズされたお客様だと見たことがあると思うのですが、ケースを変更したりすると一部のCPUクーラーやマザーボードが選択できなくなります。これも、そのデータベースの情報が反映された結果です。
Core Ultra 200Sシリーズの最上位モデルであるCore Ultra 9 285Kは、コアなゲーマーを始め多くのユーザーが注目しているCPUであることは間違いない。そのCPUが安定して高性能を発揮できるように開発されたASRockのZ890 Steel Legend WiFiは、最新規格の機能をふんだんに搭載し、使い勝手の向上も図られている点は評価できよう。
またセブンアールジャパンは、ZEFT Z54CMだけでなく、Core Ultra 200Sシリーズ搭載パソコンを数多く用意するとのことなので、ASRockのマザーボードと合わせて期待がふくらむばかりだ。