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Core Ultra 9 285KとZ890 Steel Legend WiFiの「ZEFT Z54CM」について聞いた

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2024年11月11日 11時00分更新

文● 宮崎真一 編集●八尋/ASCII

提供: セブンアールジャパン

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特許出願中の「メモリ OC シールド」採用
独自のコンデンサーで数を減らし見た目もスタイリッシュに

──Z890 Steel Legend WiFiで何か特徴的な機能はありますか?

原口 有司氏(以下、原口氏):弊社が特許出願中の「メモリ OC シールド」は、ほかでは見ない機能だと思います。これは特殊な素材でできたシールのような保護シールドでして、メモリ信号のノイズを遮断することができます。各種ファンや簡易水冷クーラーのポンプ、それにビデオカードから発生する電磁波を、このメモリ OC シールドでカットするというものです。これにより、メモリ信号がキレイになり、より高い動作クロックを目指せるほか、安定性の向上が期待できます。これは動作保証ではありませんが弊社製品の中では10133MHz動作する製品もあります。

──メモリ OC シールドはZ890 Steel Legend WiFiだけの機能なのですか?

原口氏:いえ、インテルZ890チップセット搭載マザーボードのすべてに搭載しています。Z890 Steel Legend WiFiは基板が白いので、白色のメモリ OC シールドが装着されていますが、黒い基板のモデルでは黒色のものが搭載されています。どこのマザーボードメーカーもいかにメモリを安定して動作させるか苦労していまして、とくにDDR5を4枚差しで安定させるために、弊社はHynixさんやMicronさんといったメモリチップメーカーさんと協力しています。弊社のエンジニアによると、DDR5を安定動作させるための“鍵”を見つけ、このメモリ OC シールドによりかなり高い安定性を見込めるということです。そのエンジニア曰く、DDR5には設計上の問題点がいくつかありまして、そのすべてを解決したとのことです。

──このシールだけを単体で発売する予定はありますか?

原口氏:ないです。装着する位置が、ほんの数mmでも位置がズレてしまうと効果を発揮しないのとメモリOCシールド専用の配線を用意しているため、添付しただけでは意味がありません。

──ほかはいかがですか?

原口氏:M.2ボトムヒートシンクですね。従来、M.2スロットは上側にヒートシンクを覆う形でしたが、M.2ボトムヒートシンクはマザーボード側にヒートシンクを搭載して、M.2 SSDをヒートシンクで挟み込む構造になっています。つまり、M.2 SSDの熱をヒートシンクを介してマザーボードに逃がすという形ですね。一応、その熱でマザーボード上のデバイスや信号に影響かないかもちゃんとチェックしまして、問題は見られなかったので実装した次第です。マザーボードは基板に銅製の分厚い電源層を備えていまして、それが大きなヒートシンクとしても機能するというわけです。

──今回のZEFT Z54CMはM.2 SSDはPCIe 4.0までの対応ですが、今後PCIe 5.0のSSDを用意する予定はありますか?

中嶋氏:M.2ボトムヒートシンクの説明を聞いていて、結構衝撃を受けました。実際に温度もかなり抑えられるようなので、いよいよPCIe 5.0対応のSSDの取り扱いを検討しようと思います。

電源回路が豪華
M.2スロットも豊富でスライド式

──Z890 Steel Legend WiFiの電源回路もかなり豪華な仕様に見えます。

原口氏:はい。18+1+1+1+1フェーズ構成となっています。Vcore用が18フェーズで、CPUに統合されたグラフィックス機能、メモリコントローラ、それにAI処理に特化したNPU用がそれぞれ1フェーズずつとなっており、SPS(Smart Power Stage)設計により、最大80Aの電流に対応します。さらに、コンデンサにも注目していただきたいです。これまでは、静電容量が560μFのものを採用していたのですが、Z890 Steel Legend WiFiでは、コンデンサメーカーさんに特別に開発していただいた同じサイズで容量を1000μFに増やしたものを実装しています。これにより、コンデンサの数を減らすことができ、耐久性の向上が図れます。このコンデンサによりリプルノイズを減らすことができるので、電圧のブレによりCPUの寿命を減らしづらくなります。

──M.2スロットがかなり豊富に用意されていますね。

原口氏:はい。これはZ890 Steel Legend WiFiではなく、「Z890 Nova WiFi」の話にはなるのですが、M.2 Expansionカードが同梱されています。これはPCI Express x4接続の拡張カードで、カード上にM.2 SSDを4枚搭載可能です。それぞれのSSDはPCIe x1接続になるので速度はそれほど期待できませんが、交換などで余っているSSDをストレージとして活用することができます。Z890 Nova WiFiの場合、マザーボード上に6基のM.2スロットが用意されていますので、M.2 Expansionカードと合わせて計10枚のSSDが搭載できるというわけです。Z890 Steel Legend WiFiの話であれば、ヒートシンクがツールレス仕様で簡単に取り外しができます。

中嶋氏と真重にZ890 Steel Legend WiFiの特徴を説明する原口氏

──突起をスライドさせることで取り外しができるんですね。

原口氏:弊社のモデルは、ギミックとしてボタンの機構のものは搭載しないようにしています。というのも、運送中に誤作動してしまうことがあるんです。弊社では、耐久テストの1つとして、実際に配送を行ってみて問題がないかを確かめています。台湾内で何度も配送を重ねる場合もあれば、台湾と日本で何度か輸送を繰り返すこともあります。日本の配送業者さんは割と荷物を丁寧に扱ってもらえるのですが、海外では結構雑な扱いをされてしまうこともあります。その結果、ボタン式は止めてスライド式にしたといういきさつがあります。確かにボタン式のほうが操作的には簡単なのですが、より高い信頼性の確保を重要視し、スライド式にしています。ただパーツが外れるだけならともかく、そのテスト中に起こった事故が、外れたパーツがラジエーターに傷を入れてしまい、そこから冷却水が漏れてしまっていたというのがありました。

原口氏によるとマザーボードの開発に輸送テストも行なっているという

──Live Mixerなどで見られたLIGHTNING GAMING PORTSやUltra USB PowerといったUSBが、Steel Legendでも採用されていますね。

原口氏:はい。Live Mixerを始め、一部のハイエンドモデルで採用したこれらのUSBをSteel Legendに搭載したことで、ゲームをプレーしないユーザーさんでも、このUSBが何のために用意されているのかが分かりやすくなったと思います。実は社内ではこれらのUSBはLive MixerとPhantom Gamingだけでいいという話もあったのですが、全世界に熱狂的なSteel Legendファンがいらっしゃいまして、その方々の要望に応えた形でもあります。

背面I/OのUSBにはLIGHTNING GAMING PORTSやUltra USB Powerが用意されている

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