遊食 ! 東日本 第9回

札幌・定山渓温泉一泊旅行おすすめの楽しみ方【札幌の旅#1―温泉編】

文●風都ナツメ マップ●フジマキ容子

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 意外な名物から興味を引く観光スポットまで、東日本にはまだ知られていない魅力がたくさん。実際につなぐ旅編集部が東日本の市町村を訪れて、「ワクワクする」シーンを体験レポート。今回は北海道札幌市の旅の様子をお届けします!

 今回訪れたのは、札幌市中心部からバスで約1時間のところにある「定山渓温泉」。登別市の登別温泉、函館市の湯の川温泉を含む「北海道三大温泉」の一つとされていて、年間約240万人が訪れる場所なんです。私は温泉が大好きなのでとても楽しみ。また北海道といえばグルメも欠かせませんよね。今回は温泉編、グルメ編の2本立てでレポートします。(グルメ編はこちらから)

札幌駅を出てすぐ感じる、さわやかな空気が心地いい

 札幌に足を運んだのは9月上旬。訪れた日はまだ夏の暑さが残っており、半袖でも十分な気温でした。私は20年ほど前に札幌に住んでいたので、さわやかな風がスッと鼻を抜ける感じが懐かしく、ちょっと泣きそうになりました。

札幌駅!

ホームの天井には釧路や旭川に向かう特急列車の名前が並び、札幌を起点に道内の各方面とつながっていることが分かります(帰りに撮影)

 定山渓温泉へは、札幌駅から出ている「かっぱライナー号」というバスに乗車して向かいます。バスは基本的に事前予約が必要ですが、席が空いていれば予約なしでも乗ることができます。

乗り場にも「かっぱライナー号」と書いてあって分かりやすい

 バスは札幌駅前からすすきのを抜け、一般道で温泉へと走っていきます。平日午前中の車内は3分の1くらい埋まっていて、そのうち半分くらいは海外の方のようでした。市街地で遊ぶ方が多いのかと思いきや、意外とそうでもないんですね。

定山渓の様子。「かっぱ淵」という場所にかっぱ伝説があるのだそう

こんな感じのかっぱ像があちこちにあります

足湯で高まる私の温泉モード

 支笏湖や洞爺湖、有珠山などを有する「支笏洞爺国立公園」の中のいちエリアが、ここ定山渓です。火山地帯ということで温泉は湧き放題。周辺には無料で楽しめる足湯もあり、「市街地から日帰り温泉に来た」という2人連れと一緒に浸かってきました。日帰り温泉前にまずは足湯で湯慣らしするのも良いですし、日帰り温泉のあとに少し体温が戻った頃に足湯、というのも良いですよね。

良い具合の湯加減

国道沿いの足湯もにぎわっていました

修験僧の美泉定山の像。彼がアイヌの人々の案内で泉源と出会い、湯治場としてこの地を開いたそう

鹿も浸かったかもしれない温泉で私の疲れを癒やす

 今回宿泊する「鹿の湯」は、約130年前に開業した老舗の宿。定山渓を湯治場として開いた美泉定山と一緒に訪れた初代北海道長官に、「野生の鹿が傷を癒しにつかるほどの名湯がある」と言わしめたほどの名湯を楽しむことができます。

部屋数は170室という大きなホテルです

 温泉はさらっとした湯ざわりで、体の芯までゆっくり温まっていく感じ。また大浴場の大きな窓からは豊平川の対岸や流れが見え、私自身も自然の一部に溶け込んだような気分になります。そんなことを考えているうちに、昼間歩き回った疲れがゆっくりととれていくよう。確かにこれなら鹿の傷も癒やせるかもしれません。

 タイミングが良かったのか大浴場は混んでいるというほどでもなく、のんびり過ごすことができました。

脱衣所も大浴場も広々。脱衣所から大浴場へは階段を降りて向かうという初めての造りでした

 2022年にサウナをオープンしたとのことなので体験することにしました。オートロウリュ式のサウナと、かけ流し沢水風呂が設えられたんだそう。

 ロウリュからシュッと自動でミストが吹き出し、蒸気で息も毛穴も「ウッ」と詰まるような感覚になった瞬間、アロマの良い香りがふわり…。心地良さと苦しさがあり、これがアメとムチか…。

サウナの中にいたのは3人ほど。サウナビギナーの私にはとても上段に行く勇気はありませんでした

水風呂は目の前を流れる豊平川源流の沢水を使っているそうで、さっきまで散策していた川が、形を変えて今ここにあるんだと思うと贅沢な気分になります

 「鹿の湯」というだけあって、鹿を模したアイテムもありました。私が気に入ったのはソフトクリーム。チョコレートで作った鹿のツノが付いていて可愛い。

道内の乳製品メーカー「牧家」が手掛けたソフトクリームが大人気。ミルク感が強く、身体中に染み渡る感じ。温泉上がりに手を腰に当てて牛乳を飲んでいるような気分になります

鹿のサウナハット(写真右)

私が泊まった部屋ではありませんが鹿のフックがついている部屋も

私の部屋は和ツイン。ローベッドなのですごく広々した印象で、テンション上がる!

眼下に広がる豊平川

 食事はビュッフェスタイル。和食・洋食・中華以外に、天ぷらなど料理人が目の前で揚げてくれるメニューもあります。ちょっとユニークだったのが「サ飯」。サウナの後に食べるのがおすすめの食事も用意されていました。

「サ飯」の麻婆豆腐。ラム肉を使っているところが北海道っぽい

北海道といえば欠かせないラーメンも「サ飯」枠にラインアップ

大人から子供まで大にぎわいのビュッフェ

定山渓 鹿の湯
住所:北海道札幌市南区定山渓温泉西3丁目32
HP:https://shikanoyu.co.jp/shikanoyu/

定山渓散策のお供はスマホ!

 定山渓では、スマホを片手に定山渓の見どころをめぐる「そぞろ定山渓」という取り組みが行われています。景勝地に立っている看板の二次元バーコードから詳細な説明を読むことができるということで、私も周辺をそぞろ歩き。

美泉の滝(滝つぼにかっぱがいる!)

その横に「おんたまの湯」と書かれた看板と二次元バーコードがありました

二次元バーコードを読み込むと説明を読むことができます

二見公園の中でも二次元バーコードを発見

温泉街の真ん中を流れる豊平川の河原まで降りることができる

 公園の横の散策路を5分くらい歩くと真っ赤な「二見吊橋」へとつながっていて、ここにも二次元バーコードが。私が訪れたタイミングだと葉っぱの緑と橋の赤が映えてとてもきれいでした。紅葉シーズンになれば周囲の色付いた葉っぱとの対比はもちろん、橋の上から美しい景色が望めそうです。冬は冬で、真っ白な景色に赤い橋の組み合わせがとてもきれいだと思います。

橋が好きなので思わず「おおー」と声が出ました。私は橋やダムなど自然の中にある人工物が好きです

橋の上から温泉街の方を望むとこんな感じ

温泉宿泊者だけが楽しめる、秘密のイルミネーション

 2024年10月31日まで、定山渓温泉に宿泊した人限定でイルミネーションが楽しめます。二見公園から二見吊橋までのエリアが会場になっていて、昼間に訪れた時とは雰囲気が一変。木々や川面が華やかな光で彩られてとてもきれいです。

昼間歩いた散策路もライトアップ

宿のチェックイン時に渡される入場チケットが必要です

古来から人々を癒やし続ける温泉郷

 昼間はエリア内にある足湯を満喫し、夜はゆっくり湯浴みを堪能し、私の細胞が「温泉って最高だな」と叫びだしそうなほど良い時間を過ごしました。解説付きのQRコードのおかげで前知識なしでも定山渓温泉の由来を知ることができたり、見どころをしっかり押さえられるのも楽しい。

 札幌の市街地から1時間移動すれば、北海道らしい自然が感じられるところもとても魅力的です。果てのない広い空と力強く生い茂る草木の中で過ごすうちに、心がすっきり洗われたような気分になりました。(旅の一番のお楽しみ、グルメ編はこちらから)

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